図でつかむ
どちらの細胞にも、細胞の中心にある核と、外側を包む細胞膜、その内側の細胞質がある。植物の細胞はさらに外側を細胞壁でおおわれ、内部に緑の粒である葉緑体と、大きな袋の液胞をもつ点が動物細胞と異なる。
細胞とは
顕微鏡で細胞を観察する
細胞をそのまま見ると、核はうすく透けてほとんど見えない。
酢酸オルセイン液または酢酸カーミン液で染めると、核が赤色(酢酸カーミンでは濃い赤紫色)に染まって観察しやすくなる。
タマネギの表皮など、うすい細胞の層を使うとプレパラートが作りやすい。
動物細胞と植物細胞に共通するつくり
核:染色液でよく染まる丸い部分。遺伝子(染色体)を含み、細胞のはたらきを調整する
細胞膜:細胞の一番外側をおおう、うすい膜。細胞の中身を保ち、物質の出入りを調節する
細胞質:細胞膜の内側、核を除いた部分全体
植物細胞だけにあるつくり
| つくり | 形・色 | はたらき |
|---|---|---|
| 細胞壁 | 細胞膜の外側の厚いかべ | 体(細胞の形)を支え、丈夫にする |
| 葉緑体 | 緑色の小さな粒 | 光を受けて光合成を行い、養分をつくる |
| 液胞 | 細胞質の中の大きな袋 | 不要な物質や水、色素などをたくわえる |
動物細胞:核・細胞膜・細胞質 のみ
植物細胞:核・細胞膜・細胞質 + 細胞壁・葉緑体・液胞
→ 植物細胞は動物細胞のつくりに、光合成・支持・貯蔵のための3つが上乗せされている
単細胞生物と多細胞生物
単細胞生物:体が 1個の細胞だけでできている生物(例:ゾウリムシ、ミカヅキモ)。1つの細胞で栄養をとり、呼吸し、なかまを増やす、すべてを行う
多細胞生物:体が 多数の細胞でできている生物(例:ヒト、植物の多くなど)
細胞の階層 ── 集まって体をつくる
細胞 → 同じはたらきをする細胞が集まって 組織 → 組織が集まって特定のはたらきをする 器官 → 器官が集まって 個体
例:筋細胞が集まって筋組織 → 筋組織や他の組織が集まって胃という器官 → 多くの器官が集まってヒトという個体
細胞呼吸 ── すべての細胞で行われる
全身の細胞は、養分(ブドウ糖など)と 酸素を使って、生きるためのエネルギーを取り出している。これを細胞呼吸(細胞による呼吸)という
→ このとき二酸化炭素と水ができる
肺による呼吸で取り入れた酸素は、血液によって全身の細胞まで運ばれる
- 葉緑体は細胞の中にある緑の粒であって、細胞そのものではない。
- 植物の細胞がすべて緑色をしているわけではなく、根の細胞などには葉緑体がない。
- 「緑色に見える部分=葉緑体をもつ細胞」と整理する。
- 単細胞生物は1個の細胞だけで、栄養をとる・呼吸する・なかまを増やすなど、生きるために必要なはたらきをすべて行っている。
- 「単細胞=簡単なつくり」ではなく、「1つの細胞にすべての機能が詰まっている」と理解する。
この章でつまずきやすいところ
細胞のつくりは、共通する部分と植物だけの部分が入り混じって出てくるため、本文を読みながらどちらの話をしているのか迷いやすい単元です。読んでいる途中でつまずきやすい場面を整理します。
細胞膜と細胞壁を同じものだと思い込んでしまう
- つまずく場面:植物細胞の図を見ながら、外側に線が2本(細胞膜と細胞壁)あるのを見て、名前が似ているためどちらも同じ「外側のかべ」だと思ってしまう場面。
- 克服のコツ:「動物にもあるか」で見分ける。細胞膜はうすい膜で動物細胞にも植物細胞にも必ずある。細胞壁は細胞膜の外側にある厚いかべで、植物細胞だけにある。図では内側の線が細胞膜、外側の太い線が細胞壁と対応づける。
- ミニ例:「植物細胞に共通してあるが動物細胞にはないものは?」と問われたら、細胞膜ではなく細胞壁と答える。
植物細胞ならどれも葉緑体をもつと思い込んでしまう
- つまずく場面:植物細胞の図で葉緑体が緑の粒として描かれているのを見て、植物のすべての細胞に葉緑体があると思い込む場面。
- 克服のコツ:「光が当たる部分か」で見分ける。葉緑体は主に葉や茎の緑色の部分の細胞にあり、光の届かない根の細胞には基本的にない。「植物細胞=すべて緑」ではなく「光合成をする細胞に葉緑体がある」と整理する。
- ミニ例:タマネギの表皮の細胞をそのまま観察すると、葉緑体は見えにくい。これはうろこ状の葉(りん葉)の内側の細胞で、光がほとんど当たらないため。
組織と器官の順番を逆に覚えてしまう
- つまずく場面:「細胞→組織→器官→個体」の並びを読んだ直後、組織と器官のどちらが先に来るのか、名前の似た感じにつられて逆に覚えてしまう場面。
- 克服のコツ:大きさの順で覚える。細胞が集まったものが組織(同じ種類の細胞の集まり)、組織が組み合わさって特定のはたらきをするのが器官(胃・葉など)。「同じものが集まる→組織」「役割を持つまとまり→器官」と役割の違いで区別する。
- ミニ例:筋細胞が集まると筋組織。筋組織・その他の組織が組み合わさると、胃という1つの器官になる。
練習問題
動物細胞と植物細胞の両方に共通してあるつくりを3つ答えよ。
答えを見る
核・細胞膜・細胞質
次のはたらきをもつ、植物細胞だけにあるつくりの名前を答えよ。
- 体を支える厚いかべ
- 光合成を行う緑の粒
- 不要な物質や水をたくわえる袋
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(1) 細胞壁 (2) 葉緑体 (3) 液胞
ゾウリムシのように体が1個の細胞でできている生物を何というか。また、その細胞1個は生きるためにどんなはたらきを行っているか、簡単に述べよ。
答えを見る
単細胞生物。1個の細胞だけで、栄養をとる・呼吸する・なかまを増やすなど、生きるために必要なはたらきをすべて行っている。
まとめ
- 細胞は生物の体をつくる基本の単位。
- 共通のつくり:核・細胞膜・細胞質。
- 植物細胞だけのつくり:細胞壁・葉緑体・液胞。
- 1個の細胞でできる単細胞生物と、多数の細胞でできる多細胞生物がある。
- 多細胞生物では細胞→組織→器官→個体の順に積み上がる。
- すべての細胞は、養分と酸素から細胞呼吸でエネルギーを取り出している。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「細胞」という名前は、コルクを見た科学者がつけた発展
「細胞(cell)」という言葉は、1665年にイギリスの科学者ロバート・フックが、自作の顕微鏡でコルクの薄い切片を観察したことから生まれました。小さな部屋のようなつくりが並んでいるのを見て、修道院の小部屋を意味する言葉から「cell」と名づけたのが最初です。ただしフックが見たのは、すでに中身が失われたあとの細胞壁の跡でした。
葉緑体は、もとは別の生き物だったと考えられている発展
植物細胞の中にある葉緑体は、大昔に光合成を行うシアノバクテリア(藍藻)が別の細胞に取り込まれ、共生するようになったものだと考えられています。これを細胞内共生説といい、葉緑体が独自のDNAをもつことなどが、もとは独立した生き物だった証拠とされています。
あなたの体は、約37兆個の細胞でできている実生活
ヒトの体を形づくる細胞の数は、長年「約60兆個」と言われてきましたが、近年の研究によって「約37兆個」がより正確な数字だとわかってきました。理化学研究所などの研究機関は、体中の細胞1つ1つの特徴を調べて「細胞地図」をつくる国際プロジェクトにも参加しています。
ゾウリムシは1つの細胞で池の中を生きぬく発展
単細胞生物の代表であるゾウリムシは、体長0.2〜0.3mmほどの1つの細胞で、まわりの小さな繊毛を動かして泳ぎ、バクテリアなどを食べて生きています。池や田んぼの水の中にふつうにすんでいて、たった1個の細胞の中に、動く・食べる・なかまを増やすといった生きるための機能がすべて備わっています。
