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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

磁界と電磁誘導 ── 電気と磁気の関係

電流が流れると 磁界ができる。逆に、磁界の変化で 電流が生まれる(電磁誘導)。電気と磁気は表裏一体。モーターや発電機の原理がここにあります。

図でつかむ

電流を流す → 回る(モーター) 力がはたらいて回転 N S コイル 磁界の向きは N → S + − 電流 左手の法則:人差し指=磁界・中指=電流・親指=力 電気エネルギー → 運動エネルギー 電気と磁気は 表裏一体 磁石を動かす → 電流(発電機) すばやく出し入れ S N 棒磁石 コイル G 検流計 動く間だけ 針が振れる 止めると 流れない 大きくする:速く動かす・強い磁石・巻き数↑ 入れる↔抜くで電流の向きは逆になる 運動エネルギー → 電気エネルギー 電磁誘導は身のまわりで大活躍 IH調理器・Suica・ワイヤレス充電 ── 発電所(水力・火力・風力・原子力)もコイルと磁石で発電
モーターは電流→磁界の中で力を受けて回転、発電機は磁石の出し入れ→誘導電流 ── 逆向きの関係

左は電流を流すとコイルが磁界から力を受けて回るモーター、右は磁石を動かした間だけ検流計の針が振れる電磁誘導(発電機)です。「電気→運動」か「運動→電気」か、矢印の向きで2つを整理しましょう。

磁界とは

用語
磁界
磁石や電流のまわりにできる 磁力が働く空間。磁石のN極から出てS極に入る向きが磁界の向き。

磁石の磁界

  • 磁石にはN極とS極がある
  • 同じ極どうしは反発、異なる極は引き合う
  • 磁界の向き:N極から出てS極に入る
  • 鉄粉をまくと磁力線が見える

電流による磁界 ── 右ねじの法則

公式
右ねじの法則
電流の向きに 右ねじを進めると、ねじを回す向きが 磁界の向き。
直線電流の場合

電線に電流を流すと、電線のまわりに 同心円状の磁界ができる

右手で電線を握り、親指を電流の向きに → 他の指が磁界の向き

コイルの磁界

電線をぐるぐる巻いたものを コイルという

コイルに電流を流すと、棒磁石のような磁界ができる

→ 電磁石として使える(電流を切れば磁力もなくなる)

磁界の中の電流が受ける力 ── フレミングの左手の法則

公式
フレミングの左手の法則
磁界の中に電流が流れると、力が働く。左手で:
人差し指 = 磁界、中指 = 電流、親指 = 力の向き
力の大きさ

電流が大きい → 力大

磁界が強い → 力大

磁界の中にある導線の長さが長い → 力大

モーターの原理

モーター

磁石の間に置いたコイルに電流を流す

→ フレミングの左手の法則で力が働く

→ コイルが回転する

→ 電流の向きを切り替えて連続的に回転(整流子)

→ 電気エネルギー → 運動エネルギー

電磁誘導

用語
電磁誘導
コイルの中の 磁界が変化すると、コイルに 電流が流れる現象。
このときコイルに流れる電流を 誘導電流という。
電磁誘導の実験

コイルに磁石をすばやく出し入れする

→ コイルに電流が流れる(検流計の針が動く)

磁石を動かさないとき → 電流は流れない

→ 磁界の変化が電流を生む

観察事実から結論へ

目的:コイルの中の磁界が変化したとき、電流が生じるかを調べる。

観察事実:磁石を入れると検流計の針が一方へ振れ、抜くと反対側へ振れる。止めている間は針が戻る。

考察:電流が生じる条件は「磁石があること」そのものではなく、コイルを通る磁界が変化することである。

結論:磁界の変化で誘導電流が流れ、変化の向きが逆になると誘導電流の向きも逆になる。

誘導電流の向きと大きさ

  • 磁石を入れるときと抜くときで、誘導電流の 向きが逆
  • 磁石を速く動かす → 大きな電流
  • 磁石の磁力が強い → 大きな電流
  • コイルの巻き数が多い → 大きな電流

発電機の原理

発電機

磁石の間でコイルを回転させる(または磁石を回す)

→ 磁界が変化 → 電磁誘導 → 電流が発生

→ 運動エネルギー → 電気エネルギー

水力・火力・風力・原子力発電では、この原理で発電機を回して電流を取り出す

電磁誘導の応用

  • 発電機:発電所のタービン
  • 変圧器:電圧を変える(交流のみ)
  • IH調理器:金属鍋を電磁誘導で発熱
  • 非接触ICカード(Suicaなど):磁界で電力を供給
  • マイク:音による振動 → 磁界変化 → 電流
  • ワイヤレス充電
つまずきポイント①:電気と磁気の関係
  • 電流 → 磁界(電磁石・モーターの動力)
  • 磁界の変化 → 電流(発電機の原理)
  • 2つは表裏一体の関係。
つまずきポイント②:フレミングの左手の法則
  • 左手の 人差し指・中指・親指を直角に。
  • 「人 = 磁、中 = 電、親 = 力」と覚える。
  • 右手と間違えない(右手の法則は別物)。

この章でつまずきやすいところ

磁界と電磁誘導は、用語を覚えただけでは本文の途中で迷いやすい単元です。電流と磁界の向きが入れ替わったり、フレミングの左手と右ねじを取り違えたりする場面を意識して読み直すと、原理がつながって見えてきます。

電流と磁界の役割を逆に思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の「電流→磁界」と「磁界の変化→電流」を読み進めるうちに、どちらが原因でどちらが結果か分からなくなり、モーターと発電機の説明文でも主語が混ざってしまう場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理する。電流を先に流すと磁界ができる側が電磁石やモーター、磁界の変化が先にあって電流が生まれる側が電磁誘導や発電機。本文で「流す」「動かす」のどちらが先に書かれているかを毎回確認する。
  • ミニ例:本文の「モーターは電流から運動、発電機は運動から電流を取り出す」という一文を、矢印の向きを声に出しながら読み直すと、原因と結果が逆転しないで済む。

右ねじの法則をフレミングの左手と混同してしまう

  • つまずく場面:本文を読み進めて「右ねじの法則」と「フレミングの左手の法則」が続けて出てきたとき、どちらが磁界の向きを決める法則で、どちらが力の向きを決める法則か頭の中で入れ替わってしまう場面。
  • 克服のコツ:見分け方として、求めたいものが磁界の向きなら、直線電流のまわりの磁界は右ねじの法則、コイル内部の磁界は右手で握る方法、と使い分ける。求めたいものが力の向きならフレミングの左手、と用途で振り分ける。指の対応は「親指=力・人差し指=磁界・中指=電流(FBI/力・磁・電の順)」と覚える。
  • ミニ例:直線電流のまわりに同心円状の磁界の向きを聞かれたら右ねじ、磁界の中の導線が受ける力の向きを聞かれたら左手、と問いの言葉で道具を選ぶ。

磁石を入れたままでも誘導電流が流れ続けると思い込んでしまう

  • つまずく場面:電磁誘導の実験文を読んでいる途中、「コイルに磁石を入れると電流が流れる」という記述だけが残り、磁石を中に入れたまま静止させても電流が流れ続けるかのように勘違いしてしまう場面。
  • 克服のコツ:因果関係を「磁石の有無」ではなく「磁界の変化」に置き直す。教科書では、誘導電流が生じる条件はコイルを通る磁界が変化することと整理する。動かしている間だけ針が振れ、止めれば針は戻る、という観察事実とセットで覚える。
  • ミニ例:本文の「磁石を動かさないとき → 電流は流れない」という一文を、入れる・止める・抜くの三段階で順に追うと、変化があるときだけ電流が生じることが確かめられる。

誘導電流の大きさを決める条件を、磁石の有無だけで判断してしまう

  • つまずく場面:練習問題で「誘導電流を大きくするには?」と問われたとき、本文の中ほどで読んだ「速く動かす・磁力が強い・巻き数が多い」の三つが思い出せず、磁石を強くすることだけに気を取られてしまう場面。
  • 克服のコツ:見分け方として、誘導電流の大きさは「磁石を動かす速さ・磁石の強さ・コイルの巻き数」の三つで決まる、と動作・磁石・コイルの三系統に分けて整理する。一方、電流の向きを変える要素は「磁石の動きの向き」と「磁石の極(N/S)」の二つで、大きさと向きの条件を分けて覚える。
  • ミニ例:本文の「磁石を速く動かす→大きな電流」「巻き数が多い→大きな電流」を、動きの条件とコイルの条件に色分けしてメモすると、問題文のどこを読めばいいかが見える。

練習問題

問題1(用語)
  1. 磁石のまわりにできる空間
  2. 電流が流れることで生まれる磁界の向きの法則
  3. 磁界の変化で電流が生まれる現象
  4. 磁界の中の電流が受ける力の向きの法則
答えを見る

(1) 磁界 (2) 右ねじの法則 (3) 電磁誘導 (4) フレミングの左手の法則

問題2(電磁誘導)

コイルに棒磁石をすばやく入れたら検流計の針が振れた。次は逆に取り出したらどうなるか。

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逆向きに針が振れる。磁界の変化が逆なので、誘導電流の向きも逆になる。

問題3(応用)

モーターと発電機は何が違うか。

答えを見る

モーター:電気エネルギー → 運動エネルギー(電流を流して回す)

発電機:運動エネルギー → 電気エネルギー(回して電流を取り出す)

原理的には逆向き、構造はよく似ている。

問題4(実験の考察)

コイルに棒磁石を入れたまま静止させると、検流計の針は振れ続けるか。理由も答えよ。

答えを見る

振れ続けない。棒磁石を止めるとコイルの中の磁界が変化しなくなるため、誘導電流が流れなくなる。

まとめ

  • 磁界:磁力が働く空間。電流のまわりにもできる。
  • 右ねじの法則:電流の向き → 磁界の向き。
  • フレミングの左手の法則:モーターの力の向き。
  • 電磁誘導:磁界の変化 → 電流(発電機)。
  • 応用:モーター・発電機・変圧器・IH調理器・Suica。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

IH調理器はなぜ鍋だけが熱くなる?実生活

IH調理器は、天板の下にあるコイルに変化する電流を流して磁界を変化させ、その上の金属鍋の中に「渦電流」という電流を生み出します。鍋には電気抵抗があるため、この電流によって鍋自体が発熱して調理ができます。電磁誘導で鍋を直接発熱させるので、コンロの天板は鍋から伝わる熱でしか熱くならず、効率と安全性が高いのが特長です。

出典:コトバンク(渦電流/電磁調理器)

Suicaは電池なしでなぜ動く?実生活

Suicaなどの非接触ICカードの中には、ICチップとコイル状のアンテナが入っています。改札機が出す磁界の変化をこのコイルが受け取り、電磁誘導でカードに電流(電力)が生まれるため、電池がなくてもチップが動いてデータをやり取りできます。0.2秒ほどのタッチの間に、電力供給と通信が同時に行われています。

出典:一般社団法人 電気設備学会誌(J-STAGE)

方位磁針が北を向くのは地球が大きな磁石だから発展

地球の内部の外核では金属の流れによって電流が生じ、それが磁界をつくっているため、地球全体が一つの大きな磁石のようになっています(これを地磁気といいます)。地球の北極側がS極になっているので、方位磁針のN極が引かれて北を指します。地磁気は地球内部の活動で少しずつ変化しており、方位磁針の指す北の向きも長い年月の間に動いています。

出典:気象庁 地磁気観測所

発電所の電気も電磁誘導でつくられている実生活

火力・水力・原子力などの発電所では、燃料の熱や水の流れでタービンを回し、それにつながった発電機のコイルや磁石を回転させています。コイルの中の磁界が変化することで電磁誘導が起き、電流が生まれます。私たちが家庭で使う電気の多くは、教科書で学ぶ電磁誘導のしくみそのものでつくられています。

出典:資源エネルギー庁(広報パンフレット)

スマホのワイヤレス充電も電磁誘導発展

ワイヤレス充電は、充電器側の送電コイルに変化する電流を流して磁界を変化させ、スマホ側の受電コイルに電磁誘導で電流を生み出すしくみです。二つのコイルを近づけて磁界をしっかり結びつけることで、ケーブルをつながなくても効率よく電力を送れます。電磁誘導方式を使ったQi(チー)という国際規格が広く使われています。

出典:Wireless Power Consortium(Qi規格の運営団体)公式サイト