図でつかむ
西のアンデス山脈・北のアマゾン盆地・南のパンパという3つの自然の並びと、1494年のトルデシリャス条約でブラジルだけがポルトガル語になった理由を、図で押さえてください。
南アメリカ州の全体像
- 面積:約 1,800万 km²
- 人口:約 4億3千万人
- 主な国:ブラジル・アルゼンチン・チリ・ペルー・コロンビア・ベネズエラ・ボリビア・ガイアナ・スリナムなど、独立国は合計12か国(フランス領ギアナはフランスの海外県で独立国ではない)
- 地形:西部に アンデス山脈(南北約7,500km、世界最長)、北中部に アマゾン盆地(世界最大の熱帯雨林)、南部に パンパ(草原)
アマゾン川と熱帯雨林
- アマゾン川:流域面積 世界1位、長さ世界2位(約7,000km)。流域の 97%は熱帯雨林。
- セルバと呼ばれる熱帯雨林が広がる。
- 「地球の肺」と呼ばれ、世界の 酸素供給と二酸化炭素吸収に大きく貢献。
- 世界の生物種の 10%以上が生息するとされる。
- 農地開発(大豆畑・牧場)のため、年間 東京都2個分程度の森林が失われている。
- 火災での消失も増加(2019・2020年に大規模火災)。
- 世界の気候への影響が懸念されている。
アンデス山脈と高山の暮らし
- 長さ:南北 約7,000km(世界最長)
- 最高峰:アコンカグア山(標高6,961m)
- 標高:4,000〜5,000m級の高山が連なる
- 高山気候:標高が高くて冷涼。年中春のような気候の地域もある。
家畜:リャマ(荷物運び)・アルパカ(毛織物)
主食:じゃがいも(原産地)・とうもろこし
都市:ボリビアの ラパスは標高が高く、政府機能が置かれる都市として有名(憲法上の首都はスクレ)
遺跡:マチュピチュ(ペルー、インカ帝国の遺跡)
植民地の歴史 ── ポルトガル語とスペイン語
南アメリカは15世紀末から、ポルトガルと スペインに植民地として分割されました。1494年の トルデシリャス条約で大陸を2つに分け、東をポルトガル、西をスペインに割り振りました。
- ポルトガル領 → 現在のブラジル:公用語は ポルトガル語
- スペイン領 → 他のほとんどの国:公用語は スペイン語
- 例外:ガイアナ(英語)/スリナム(オランダ語)/フランス領ギアナ(フランス語、独立国ではない)
- メキシコ・中米・カリブ・南アメリカをまとめて 「ラテンアメリカ」と呼ぶ。
- ラテン語系言語(スペイン・ポルトガル・フランス語)が公用語の地域、という意味。
ブラジル ── 南米最大の国
- 首都:ブラジリア(リオデジャネイロではない)
- 面積:約 851万 km²(世界5位)
- 人口:約 2億1千万人
- 言語:ポルトガル語
- 産業:コーヒー・大豆・サトウキビ・鉄鉱石・バイオエタノール(サトウキビ由来)が重要。順位は年で変わるため資料集で確認。サトウキビを発酵させてつくるバイオエタノールは自動車のガソリンに混ぜて使われ、石油の輸入依存とCO2排出をおさえる役割を果たしている。
- 工業化:一次産品の輸出だけでなく、鉄鉱石を生かした製鉄業や航空機(エンブラエル社)・自動車の製造業も発達している。新興国グループBRICSの一員として、経済成長を続ける国の代表例とされる。
1908年以降、日本から大量の移民がブラジルへ。今は日系ブラジル人が 約270万人住む。
サンパウロには 日本人街(リベルダージ地区)がある。
その他の主要国
- アルゼンチン(首都ブエノスアイレス):パンパで 牛肉・小麦・大豆。
- チリ(首都サンティアゴ):細長い国土。銅の輸出が多い。ワイン。
- ペルー(首都リマ):アンデスの遺跡(マチュピチュ)。銀・銅の鉱業。
- コロンビア(首都ボゴタ):コーヒー。麻薬問題も深刻だった。
- ベネズエラ(首都カラカス):原油資源が豊富だが、経済不安が続く。
農業と資源
| 産物 | 主な国 |
|---|---|
| コーヒー | ブラジル・コロンビア |
| 大豆 | ブラジル・アルゼンチン |
| 牛肉 | アルゼンチン・ブラジル |
| 銅 | チリ(世界有数) |
| 石油 | ベネズエラ・ブラジル |
| 鉄鉱石 | ブラジル |
この章でつまずきやすいところ
南アメリカ州は、アマゾン・アンデス・植民地支配の影響と覚えることが多く、本文を読む途中で位置や言語、暮らしのイメージがごちゃ混ぜになりがちです。ここでは読みながらつまずきやすい場面を4つ取り上げ、整理のコツを示します。
南アメリカ全体を熱帯雨林の大陸だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「アマゾン」「地球の肺」と続けて読むうちに、南アメリカ全土が熱帯雨林のイメージになり、後ろに出てくる「アンデス高地の冷涼な気候」や「パンパの草原」がうまくつながらず手が止まる場面です。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。西側に南北に長いアンデス山脈、北中部にアマゾン盆地の熱帯雨林、南部にパンパの草原、と東西・南北で気候帯がちがうと覚えると、本文の地形の話と気候の話が一本につながります。
- ミニ例:ペルーやボリビアはアンデス山脈が国土を縦断するため、首都や主要都市が標高の高い高地にあり冷涼な高山気候になり、同じ南アメリカでもアマゾン流域の熱帯雨林の暮らしとは大きく異なります。
ブラジルもスペイン語だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「15世紀末から南アメリカは植民地化が進む」と読んだ直後に、ブラジルの説明にも目を通したとき、「じゃあブラジルもスペイン語のはず」と早合点して、ポルトガル語の記述で頭が止まってしまう場面です。
- 克服のコツ:時系列と因果関係でとらえます。1494年のトルデシリャス条約で大陸を東西に分け、東がポルトガル領、西がスペイン領になりました。だから現在のブラジル(東側)だけがポルトガル語、他の多くの国はスペイン語、という流れで結びつけると忘れません。
- ミニ例:ブラジルの公用語はポルトガル語で、サンパウロやリオデジャネイロでもポルトガル語が使われます。一方で隣国アルゼンチンやチリはスペイン語です。
本文の都市名が増えて首都の位置を見失ってしまう
- つまずく場面:本文で「サンパウロ」「リオデジャネイロ」など海岸沿いの有名な都市名が次々に出てきたとき、地図のどこを見れば首都がわかるのか一瞬迷い、本文と地図の対応で手が止まる場面です。
- 克服のコツ:地図の見る場所で整理します。ブラジルの首都ブラジリアは海岸沿いではなく、内陸の高原につくられた計画都市です。地図では沿岸の大都市ではなく、内陸部の印を確認すると首都の位置を見失いません。
- ミニ例:サンパウロやリオデジャネイロは大西洋岸の大都市、ブラジリアは内陸の高原につくられた首都、と沿岸=大都市/内陸=首都で位置をおさえます。
アマゾンの開発をただ「悪いこと」と決めつけてしまう
- つまずく場面:本文で「森林破壊」「広大な森林が失われている」と読み進めると、開発はすべて悪いものに見えてしまい、後に出てくる「大豆畑や牧場」「資源・農産物輸出による経済発展」とのつながりがうまく整理できない場面です。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。農地開発や資源輸出は経済発展という利益を生む一方で、森林破壊や気候への影響という課題も生みます。教科書では「開発の利益と環境保全をどう両立させるか」という比較で扱われます。良い・悪いの二択ではなく、両方の側面で見るのがコツです。
- ミニ例:アマゾンでは大豆畑や牧場の拡大が輸出をのばす一方、森林の減少が生物多様性や世界の気候に影響すると整理されます。
練習問題
答えを見る
山脈:アンデス山脈(南北約7,000km)
熱帯雨林:アマゾン(流域面積世界1位)
答えを見る
ブラジル:ポルトガル語。他は スペイン語が多い。
理由:1494年のトルデシリャス条約で、ポルトガルとスペインが大陸を東西に分け合って植民地化したから。
答えを見る
家畜:リャマ・アルパカ
主食:じゃがいも・とうもろこし(じゃがいもの原産地)
答えを見る
コーヒー。ほかに大豆・サトウキビなども重要。生産順位や割合は最新資料で確認。
まとめ
- 南アメリカ州は アマゾン(熱帯雨林)と アンデス(最長山脈)の大陸。
- アマゾンは 「地球の肺」。森林破壊が世界の気候に影響する。
- アンデスの高山では リャマ・アルパカと じゃがいもの暮らし。
- ブラジルだけ ポルトガル語。他は スペイン語。トルデシリャス条約による分割の名残。
- 主要産物:コーヒー(ブラジル)・銅(チリ)・大豆・牛肉・石油・鉄鉱石。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
アマゾンの都市ベレンで国連の気候会議COP30が開かれた時事
2025年11月、国連の気候変動会議COP30が、アマゾン川河口に位置するブラジルのベレンで開かれました。世界最大の熱帯雨林アマゾンの近くを会場に選ぶことで、森林を守ることが地球の気候を守ることにつながる、というメッセージが世界に発信されました。
出典:環境省 脱炭素ポータル
衛星でアマゾンの森林破壊を見張っている発展
アマゾンの森林が農地開発や火災で減るようすは、人工衛星を使って宇宙から監視されています。日本のJAXAなどの観測では、2023年1月の時点でブラジルのアマゾンで約150万か所もの森林の減少が確認されており、地球温暖化への影響が心配されています。
ブラジルはサトウキビのエタノールを燃料に混ぜている時事
ブラジルは、サトウキビからつくるバイオエタノールを自動車の燃料に利用する世界有数の国です。2025年8月からは、ガソリンに混ぜるエタノールの割合を27%から30%(E30)へ引き上げました。植物由来の燃料を使うことで、二酸化炭素の排出をおさえるねらいがあります。
アンデスの「リチウム三角地帯」が注目されている発展
ボリビア・チリ・アルゼンチンが国境を接するアンデス高地の塩湖地帯は「リチウム・トライアングル(三角地帯)」と呼ばれ、世界のリチウム埋蔵量の半分以上が集中するとされます。リチウムは電気自動車やスマートフォンの電池に欠かせない資源で、日本のJOGMECなども開発協力に関心を寄せています。
アンデスの氷河がとけて水不足が心配されている発展
アンデス高地の氷河は、地球温暖化の影響でこの数十年に大きく縮小しています。氷河は高地の都市にとって大切な水源で、ボリビアの首都ラパスなどでは水不足が心配され、日本も衛星を使った観測や水資源管理の研究で協力してきました。
日本にはおよそ21万人のブラジル人が暮らす時事
1908年に始まった移民の歴史とつながり、現在は日本にも多くのブラジル国籍の人が暮らしています。出入国在留管理庁によると、2025年6月末時点で約21万1千人にのぼり、その多くは愛知県など製造業がさかんな地域に集まっています。
