物質の3つの姿(状態)
身のまわりの多くの物質は、温度によって 固体・液体・気体 の状態を変えます。同じ物質でも、温度によって粒子の動きかたが変わるからです。教科書では、ロウ・水・エタノールなどを例にしてこの変化を考えます。
- 水蒸気は気体の水。目に見えない。
- やかんの口から出る白い 湯気は、水蒸気が空気中で冷やされて小さな水滴(液体)にもどったもの。
- 気体の水は本来、透明で見えない。見えている時点で、それは液体(水滴)の集まり。
状態変化の6つの呼び方
3つの状態のあいだの変化には、それぞれ専用の名前があります。6種類あるので、矢印の向きとセットで覚えましょう。
融解固体 → 液体(例:氷 → 水)
凝固液体 → 固体(例:水 → 氷)
蒸発液体 → 気体(例:水 → 水蒸気。沸騰もこの仲間)
凝縮気体 → 液体(例:冷たいガラスのまわりに水滴)
昇華固体 → 気体(例:ドライアイス、ナフタレン)
凝華気体 → 固体(例:冷凍庫の霜、冬の朝の霜)※昇華と呼ぶ教科書もあり
融点と沸点
固体が液体になり始める温度、液体が気体になる温度には、それぞれ決まった呼び方があります。
ちなみにエタノールの融点は約 -114℃。だから日常の温度では、エタノールはずっと液体の状態。
加熱しても温度が上がらない時間がある
氷を弱火でゆっくりあたためながら温度をはかると、不思議なことが起こります。
グラフを見ると、温度が上がる区間と、横にまっすぐな(温度が止まる)区間が交互にあらわれます。
- 固体(氷)と液体(水)が混ざっている間、加えた熱は「氷を水にかえる」のに使われる。
- 液体(水)と気体(水蒸気)が混ざっている間、加えた熱は「水を水蒸気にかえる」のに使われる。
- つまり 状態変化中、加えた熱は粒子の運動を変えるのに使われ、温度上昇には使われない。
状態変化と体積・質量
状態が変わると、見た目(体積)は大きく変わります。でも、量(質量)はどうでしょう? ここがテストでよく聞かれるポイントです。
固→液質量:変わらない / 体積:ふつうは少し増える(水は逆に減る!)
液→気質量:変わらない / 体積:大きく増える(水→水蒸気で約1700倍)
理由状態が変わっても、粒子の 数 は変わらないから質量は同じ。粒子の 間隔 が変わるから体積は変わる。
- ふつうの物質は、固体より液体のほうが体積が大きい(粒子の間隔が広がるから)。
- ところが 水では逆。氷(固体)のほうが、水(液体)より体積が大きい。
- だから水を入れたペットボトルを冷凍庫に入れると、ふくらんで破れることがある。
- 湖が冬に凍るとき、氷が水の上に浮かぶのも同じ理由(氷のほうが軽い=同じ質量で体積が大きいから)。
粒子モデルで考える
3つの状態の違いを、粒子(小さな丸)の様子で絵にしてみます。
固体 → 液体 → 気体と熱を加えるほど、粒子は 自由に動けるように なっていきます。逆に冷やすと、粒子の動きがおとなしくなり、気体 → 液体 → 固体と戻っていきます。粒子の数自体は最初から最後まで変わらない、というのがポイントです。
次回の予告:気体の発生と性質
次回は、酸素・二酸化炭素・水素・アンモニアなど、中学理科でよく出る気体の発生方法と、それぞれの性質(におい、水へのとけ方、燃えるか)をまとめます。
この章でつまずきやすいところ
状態変化の本文は、似た言葉や、グラフの読み方の落とし穴が多く、読みながら頭が混乱しやすい単元です。ここでは「読んでいる途中で迷いやすい場面」に絞って、立ち止まり方とほどき方を整理します。
湯気を「気体の水蒸気」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「やかんの口から出る白いもの」のところを読みながら、見えている白い湯気を気体の水蒸気だと思ってしまう。けれど、すぐ後ろには「水蒸気は目に見えない」と書いてあって、どっちが正しいのか分からなくなる。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。目に見えるかどうかが判定ポイント。気体の水蒸気は透明で見えない。湯気のように白く見えている時点で、それは小さな水滴=液体。水の話に限れば、「白く見える=小さな水滴(液体)/透明で見えない=水蒸気(気体)」と覚えると、本文も問題もぶれない(煙など別の単元では別の話になるので、ここでは水に限定)。
- ミニ例:やかんの口のすぐ上は実は何も見えない部分があり、その少し先で空気に冷やされて湯気(液体の水滴)になる。教科書ではこの白い部分を「水蒸気」とは呼ばない。
状態変化を化学変化と同じだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「氷→水→水蒸気」と姿が大きく変わる説明を読みながら、こんなに別物に見えるなら新しい物質ができているのでは、と感じてしまう。化学変化との区別がつかず、後の「質量は変わらない」という結論が腑に落ちない。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。状態変化で変わるのは粒子の並び方と動き方だけで、粒子そのものや数は変わらない。だから別の物質はできず、質量も変わらない。「粒子の数が変わる=化学変化」「粒子の並び方が変わる=状態変化」と区別する。
- ミニ例:氷も水も水蒸気も、教科書では同じ水という物質として扱う。100gの氷をとかしても、得られる水は100gのままで、増えも減りもしない。
温度変化グラフの水平部分を「加熱が止まった」と読んでしまう
- つまずく場面:本文の温度変化グラフのところで、加熱を続けているのに温度が0℃や100℃で止まっている横ばい部分を見て、火を弱めたのか、何か実験のミスかと迷ってしまう。なぜ熱を加えているのに温度が上がらないのかが読み取れない。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。加熱中の熱には、温度を上げる役目と状態を変える役目の二つがある。氷がとけている途中(固体と液体が共存している状態)や、水が沸騰している途中(液体と気体が共存している状態)では、加えた熱は粒子の動き方を変えることに使われ、温度上昇には回らない。だからグラフは横ばいになる。
- ミニ例:氷がとけている途中は、加熱を続けても温度は0℃のまま。氷が全部とけ切ってから、ようやく水の温度が上がり始める。
「水も他の物質と同じで、固体のほうが体積が小さい」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「固→液で体積はふつう少し増える」と読んだ直後に、水だけ逆だという例外の話が出てきて混乱する。ロウの実験のイメージのまま「氷のほうが水より体積が小さいはず」と思い込み、ペットボトルが破れる例の意味が分からなくなる。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。ふつうの物質と水だけは逆と先にメモする。同じ向きでそろえて比べると、「ふつうの物質:固体→液体で体積が増える/水:固体→液体で体積が減る(=液体→固体で逆に増える)」となる。質量はどちらも変わらないのは共通。「体積だけが例外、質量は共通」と切り分ければぶれない。
- ミニ例:水を入れたペットボトルを冷凍庫に入れると、液体の水が固体の氷になるときに体積が増えるのでパンパンにふくらむ。湖で氷が水に浮かぶのも、同じ質量なら氷の方が体積が大きい=かさが大きい分だけ軽いので、水の上にういていると整理できる。
練習問題
- 固体 → 液体
- 液体 → 気体
- 気体 → 液体
- 液体 → 固体
- 固体 → 気体(液体を経由しない変化)
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(1) 融解 (2) 蒸発(沸騰を含む) (3) 凝縮 (4) 凝固 (5) 昇華
例:(1)氷→水、(2)水→水蒸気、(3)冷たいガラスに水滴、(4)水→氷、(5)ドライアイスやナフタレン。
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質量:変わらない(100gのまま)。状態が変わっても、粒子の数は変わらないから。
体積:少し小さくなる。水では、氷(固体)のほうが水(液体)より体積が大きい。だからペットボトルの水を凍らせると、ふくらんで破れることがある。
※ 教科書のロウの実験では、固体 → 液体で体積が増える。水はそれと逆に、氷 → 水で体積が減る点に注意。
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解答例:空気中には目に見えない水蒸気(気体の水)がふくまれている。冷たいコップにふれると、水蒸気が冷やされて液体の水(水滴)にもどる。この変化を 凝縮 という。コップ自体から水がしみ出してきたわけではなく、空気中の水蒸気が水になっただけなので、コップの中身は減らない。
まとめ
- 物質の3つの状態:固体・液体・気体。粒子の動きかたで違いが決まる。
- 状態変化の名前は6つ:融解・凝固・蒸発・凝縮・昇華・凝華。矢印の向きとセットで覚える。
- 融点は固体が液体になる温度、沸点は液体が沸騰する温度。純粋な物質では1点で決まる(水:0℃と100℃)。
- 状態変化中は 加えた熱が温度上昇に使われないので、グラフが横ばいになる。
- 状態変化で 質量は変わらない(粒子の数は同じ)。体積は変わる。水では氷より水のほうが体積が小さいという性質がある。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
高い山では水が100℃より低い温度でわく実生活
水の沸点は気圧によって変わり、気圧が低いほど低い温度で沸騰します。空気がうすい富士山の山頂では約88℃、もっと高いエベレストでは約70℃で水がわいてしまうため、なべでごはんを炊いてもしんがのこることがあります。これは沸点が物質だけでなくまわりの気圧でも決まることを示す身近な例です。
フリーズドライ食品は『昇華』で水分をぬく実生活
みそ汁の具やコーヒーなどのフリーズドライ食品は、まず食品を凍らせて中の水分を氷にし、真空に近い状態にして氷を液体にせず直接水蒸気にする『昇華』で乾燥させています。高い温度をかけずに水分をぬくので、色や香り、栄養が残りやすいのが特長です。教科書で習う昇華が食品づくりに使われている例です。
ドライアイスは液体にならず気体になる発展
ドライアイスは二酸化炭素の固体で、約−79℃という低温です。ふつうの気圧のもとでは液体を経ずに固体から直接気体へと昇華するため、とけても水たまりができず、白いけむり(空気中の水蒸気が冷えてできた細かな水滴)が出ます。気体の二酸化炭素は空気より重く低い場所にたまるので、せまい部屋で大量に使うときは換気が必要です。
水は4℃でいちばん重く、氷になると軽くなる発展
ふつうの物質は冷やすほど体積が小さく密度が大きくなりますが、水は4℃で密度が最大になり、それより冷えると逆に体積が増えていきます。氷になると分子がすき間の多い結晶をつくるため水より体積が大きく軽くなり、水に浮かびます。この性質のおかげで、冬の湖は表面から凍り、底まで凍りきらないので魚などが生きのびられます。
液体窒素は気体になると体積が約700倍にふくらむ発展
窒素は−196℃まで冷やすと液体になり、これを液体窒素といいます。実験で物を一気に冷やすのに使われ、室温にもどると蒸発して気体になり、体積はおよそ700倍にもふくらみます。液体から気体になると粒子のあいだが大きく広がり体積が激増するという、状態変化の性質がよくわかる例です。
