解の公式
x = (−b ± √(b² − 4ac)) / (2a)
覚え方
- 分母:2a
- 分子:−b ± √(b² − 4ac)
- √ の中(判別式):b² − 4ac
- 声に出して「マイナスビー、プラスマイナス、ルートのなかは、ビーじじょうマイナスよんエーシー、ぜんぶ にエーぶんの」
使い方 ── a, b, c を拾って代入
a = 1, b = 5, c = 6
x = (−5 ± √(25 − 24)) / 2
= (−5 ± √1) / 2
= (−5 ± 1) / 2
→ x = −2 または −3
a = 1, b = −3, c = 1
x = (3 ± √(9 − 4)) / 2
= (3 ± √5) / 2
a = 2, b = 5, c = −3
x = (−5 ± √(25 + 24)) / 4
= (−5 ± √49) / 4 = (−5 ± 7) / 4
→ x = 1/2 または −3
計算の手順 ── 3ステップで
- 右辺 = 0 の形に整理し、a, b, c を抜き出す。
- 判別式 b² − 4ac を計算(√ の中身)。
- x = (−b ± √(判別式)) / 2a に代入し、できる限り簡単化。
判別式 ── 解の個数を見抜く
D > 0:異なる2つの実数解
D = 0:重解(1つだけ)
D < 0:実数解なし
x² + 3x + 1 = 0 → 9 − 4 = 5 > 0 → 異なる2つの解
x² − 4x + 4 = 0 → 16 − 16 = 0 → 重解(x = 2)
x² + 2x + 5 = 0 → 4 − 20 = −16 < 0 → 解なし
解の簡単化(約分・ルート簡単化)
a = 1, b = 2, c = −4
x = (−2 ± √(4 + 16)) / 2
= (−2 ± √20) / 2
√20 = 2√5
x = (−2 ± 2√5) / 2 = −1 ± √5 ← 約分も忘れずに
- b = −3 のとき、−b = +3。マイナスの2乗は (−3)² = 9(必ず+)。
- −4ac の符号は c の符号で決まる。c = −3 なら −4·a·(−3) = +12a(プラスに)。
- 分子に共通因数があれば 必ず約分。(−2 ± 2√5)/2 → −1 ± √5 までやって完成。
- ルートの中は 必ず簡単化(√20 → 2√5 など)。
代入を文字で書く ── ミスを防ぐ書き方
a = 1, b = −7, c = 2 のとき:
x = (−(−7) ± √((−7)² − 4·1·2)) / (2·1)
= (7 ± √(49 − 8)) / 2
= (7 ± √41) / 2
「−b」「b²」「−4ac」を 1ステップずつ計算するとミスが激減。
この章でつまずきやすいところ
解の公式は「丸暗記すれば終わり」と思いがちですが、本文や問題を読み進める途中で、符号の拾い方や分母の使い方、判別式の正負の感覚で迷いやすい場面が必ず出てきます。読み飛ばしがちな小さな迷いを4つ拾います。
−b の「マイナス」を、b の符号と二重に処理してしまう
- つまずく場面:本文で「a=1, b=−3, c=1」と書かれた例2を読んでいるとき、公式の −b に b=−3 をそのまま入れて「−(−3)=3」までは書けるのに、次の行で符号がまた変わったような気がして手が止まる。
- 克服のコツ:見分け方として、公式の「−b」は b の符号をひっくり返す指示と読む。b が負なら −b は正、b が正なら −b は負。b の値そのものを書き換えるのではなく、−b 全体を一度だけ計算すると決めると、二重マイナスの迷いが消える。
- ミニ例:b=−3 のとき、−b=+3 と紙の端にまず書く。x=(3 ± √(9−4))/2 と置いてから、判別式の中身に進むと符号を取り違えない。
b² の計算で、b が負だと答えも負になる気がしてしまう
- つまずく場面:例2の判別式 b²−4ac を計算する途中で、b=−3 を見て「マイナス×マイナスだから…」と一瞬迷い、(−3)² を −9 と書きそうになる。本文の「b² は b が負でも正になる」という注意書きを読み返すかどうかで止まる。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。2乗は「同じ数を2回かける」操作なので、負×負=正、正×正=正のどちらでも結果は必ず0以上になる。「b² が負に見えたら計算ミス」という合図にすると、その場で気づける。
- ミニ例:b=−3 なら (−3)²=(−3)×(−3)=+9。b=−7 でも (−7)²=+49。先に括弧をつけて (b)² と書く癖にすると、符号の取り違えが起きにくい。
分母の 2a を、−b にだけ掛けて √ の項に掛け忘れる
- つまずく場面:例5の x=(−2 ± √20)/2 を書いたあと、「分母の 2 はどこにかかっているんだろう」と迷う。−2 と √20 のうち、片方だけを 2 で割ってしまい、−1 ± √20 のような中途半端な式を書いてしまう。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。分母の 2a は、分子の「−b ± √(b²−4ac)」全体にかかる。約分するときも 分子の各項すべてに同じ操作をするのが原則。分子に共通因数がないなら、勝手に分母だけ消してはいけない。
- ミニ例:(−2 ± 2√5)/2 のように分子の両方の項が 2 でくくれるときだけ約分できる。−2/2=−1、2√5/2=√5 となり、答えは −1 ± √5。片方だけ割るのは禁止。
判別式が負になった瞬間、計算を間違えたと思い込んでしまう
- つまずく場面:練習問題3の x²+x+1=0 で D=1−4=−3 と出たとき、「√の中が負はおかしい、どこかで符号を間違えたはず」と最初の式まで戻って確かめ直し、時間を使ってしまう。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。判別式 D=b²−4ac の符号は、解の個数を決めるための情報であり、D<0 は計算ミスではなく「実数の解がない」という結論そのものを意味する。中学範囲では D<0 なら「解なし」と答えて終わりでよい。
- ミニ例:x²+x+1=0 では a=1, b=1, c=1 なので D=1−4=−3。負になったので、教科書では 「実数解なし」と整理する。√の中の計算が合っているか一度だけ確かめ、合っていれば結論として書く。
練習問題
- x² − 5x + 3 = 0
- x² + 3x − 1 = 0
- x² − x − 1 = 0
答えを見る
(1) x = (5 ± √(25−12))/2 = (5 ± √13)/2
(2) x = (−3 ± √(9+4))/2 = (−3 ± √13)/2
(3) x = (1 ± √(1+4))/2 = (1 ± √5)/2
- 2x² + 3x − 1 = 0
- 3x² − 5x + 1 = 0
- 4x² − 4x − 1 = 0
答えを見る
(1) x = (−3 ± √(9+8))/4 = (−3 ± √17)/4
(2) x = (5 ± √(25−12))/6 = (5 ± √13)/6
(3) x = (4 ± √(16+16))/8 = (4 ± 4√2)/8 = (1 ± √2)/2
- x² + x + 1 = 0
- x² − 6x + 9 = 0
- 3x² + 5x − 1 = 0
答えを見る
(1) D = 1 − 4 = −3 < 0 → 解なし
(2) D = 36 − 36 = 0 → 重解
(3) D = 25 + 12 = 37 > 0 → 異なる2解
まとめ
- 解の公式:x = (−b ± √(b² − 4ac)) / 2a。
- 使う前に ax² + bx + c = 0 の形に整理し、a, b, c を抜き出す。
- 判別式 D = b² − 4ac:D > 0:2解/D = 0:重解/D < 0:解なし。
- 分子の共通因数は 約分、ルートの中は 簡単化。
- 符号ミスを避けるには 1ステップずつ書く。特に b、c が負の場合。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
解の公式が完成するまで1000年以上かかった発展
二次方程式を解く方法は、7世紀インドのブラフマグプタや9世紀のフワーリズミがすでに研究していました。しかし、すべての場合に使える今の形の解の公式が整ったのは、16世紀末のステヴィンや、1637年のデカルトの時代になってからです。みんなが暗記している1本の公式は、長い数学の歴史の到達点なのです。
解の公式は「平方完成」から作られている発展
解の公式は天から降ってきた呪文ではなく、ax²+bx+c=0 を平方完成して x について解いた結果です。前の単元で習った平方完成を一般の a, b, c に対して行うと、x=(−b±√(b²−4ac))/(2a) という公式そのものが導かれます。だから公式は丸暗記だけでなく、なぜその形になるかを一度自分で導いてみると理解が深まります。
三次・四次方程式にも「解の公式」がある発展
二次だけでなく、三次方程式(x³…)や四次方程式(x⁴…)にも係数だけから解を求める公式が存在します。これらは1545年にイタリアのカルダノが著書『アルス・マグナ』で発表したもので、四次の公式は弟子フェラーリが見つけました。ただし式は非常に長く、二次の解の公式のようには気軽に書けません。
五次以上には「解の公式」が存在しない発展
では五次方程式にも公式があるのかというと、答えはノーです。係数に四則演算と根号(ルート)を有限回使うだけでは、一般の五次以上の方程式の解は表せないことが、19世紀にルフィニやアーベルによって証明されました。さらにガロアは、どんな方程式が解の公式で解けるのかを「群」という新しい考え方で明らかにしました。
美しさで知られる「黄金比」も解の公式で出てくる実生活
名刺やカードの形などに使われ「最も美しい比」といわれる黄金比φは、二次方程式 x²−x−1=0 の正の解です。a=1, b=−1, c=−1 として解の公式に入れると x=(1±√5)/2 となり、正のほうが φ=(1+√5)/2≒1.618 になります。教科書の練習問題に出てくる x²−x−1=0 は、実は有名な数を生み出す式だったのです。
出典:ウィキペディア「黄金比」
