原理:AB = 0 ならば A = 0 または B = 0
逆に、どちらも0でなければ積は0にならない。
これを使うと、(x − 2)(x − 3) = 0 → x − 2 = 0 または x − 3 = 0 → x = 2 または 3、というふうに 一次方程式2つに分割できる。
基本パターン:すでに因数分解された形
x − 4 = 0 または x + 1 = 0
→ x = 4 または −1
x = 0 または x − 5 = 0
→ x = 0 または 5
2x − 1 = 0 → x = 1/2
3x + 2 = 0 → x = −2/3
→ x = 1/2 または −2/3
応用:まず因数分解する
普通の二次方程式は 因数分解してから AB = 0 を使う。1章で学んだ因数分解の手順をフル活用する。
和 5、積 6 → 2, 3
(x + 2)(x + 3) = 0
x = −2 または −3
和 −7、積 12 → −3, −4
(x − 3)(x − 4) = 0
x = 3 または 4
和 2、積 −15 → 5, −3
(x + 5)(x − 3) = 0
x = −5 または 3
共通因数があるとき
共通因数 x:x(x − 6) = 0
x = 0 または 6
3x(x + 4) = 0
x = 0 または −4
- x² = 6x の両辺を x で割って x = 6 とすると、x = 0 という解が消えてしまう。
- 必ず 右辺を移項して = 0に:x² − 6x = 0 → x(x − 6) = 0 → x = 0, 6。
- 「0で割ってはいけない」が根本理由。x = 0 の可能性を消さないために、移項して因数分解。
2乗の差・平方の形も因数分解で
(x + 3)(x − 3) = 0
x = ±3(平方根でも解けるが、因数分解でもOK)
(x + 2)² = 0
x + 2 = 0 → x = −2(重解、1つ)
右辺が 0 でないとき
移項して = 0 の形に:x² − 5x − 6 = 0
和 −5、積 −6 → −6, 1
(x − 6)(x + 1) = 0
x = 6 または −1
(x − 1)² − 16 = 0
{(x − 1) + 4}{(x − 1) − 4} = 0
(x + 3)(x − 5) = 0
x = −3 または 5(平方根でも解ける)
- 判別式が 整数の2乗になれば因数分解可能(係数が整数のとき)。
- x² − 3x + 1 = 0 → D = 9 − 4 = 5(平方数でない) → 解の公式を使う。
- 因数分解 → 解の公式の順で試す。
この章でつまずきやすいところ
「積=0なら一方が0」を使う解き方は速いけれど、=0に整える前に手が動いて迷うことがあります。本文の例や練習を解いている途中で起きやすい迷い場面を、3つに整理します。
x²=6x の両辺を x で割ってしまう
- つまずく場面:本文の「つまずきポイント①」で x²=6x を見た瞬間、両辺を x で割って x=6 だけ出して終わりにしたくなる。けれど例題の答えは x=0, 6 の2つで、どこから 0 が出てきたのか手が止まる場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。x=0 の可能性を残すかどうかで手順が変わる。x で割る → x=0 を勝手に「割っていい数」と決めてしまい、その解が消える。だから手順は固定で、まず右辺を移項して =0 の形にしてから因数分解する。
- ミニ例:x²=6x → x²−6x=0 → x(x−6)=0 → x=0 または x=6。両辺を x で割ると x=0 が消えてしまうので、必ず移項を先にする。
(x−1)²=16 をそのまま因数分解しようとして止まる
- つまずく場面:例題で (x−1)²=16 を見て「(x−1)² だから (x−1)(x−1)=16 にすればいい?」と手を動かしたものの、右辺が 0 でないので AB=0 が使えず、次の一手が見えなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。積=0 の形が使えるのは右辺が 0 のときだけ。右辺が 0 でなければ、まず移項して (x−1)²−16=0 にしてから、2乗の差として因数分解する流れに乗せる。
- ミニ例:(x−1)²=16 → (x−1)²−16=0。x−1=A とおくと A²−16=0 → (A+4)(A−4)=0 → (x+3)(x−5)=0 → x=−3 または 5。
因数分解できない式まで因数分解で粘ってしまう
- つまずく場面:本文の練習問題で x²−3x+1=0 を見て、和 −3・積 1 になる整数を探し続けてしまう。整数では見つからないのに、自分の計算ミスかもと思い込んで時間を使い切ってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。和と積になる整数の組をひととおり試して見つからなければ、整数の範囲では因数分解できないと判断し、解の公式(または平方完成)に切り替えるという順番で進める。何分も粘らず、見つからない時点で切り替える判断が大事。
- ミニ例:x²−3x+1=0 → 積が 1 になる整数の組は 1×1 か (−1)×(−1) しかなく、和はそれぞれ 2, −2 で −3 にならない。よって因数分解はあきらめて解の公式へ。一方 x²−5x−6=0 は積 −6・和 −5 から (−6, 1) が見つかるので (x−6)(x+1)=0 と因数分解できる。
練習問題
- (x − 3)(x + 7) = 0
- x² − 6x + 8 = 0
- x² + 9x + 14 = 0
- x² − 5x − 6 = 0
答えを見る
(1) x = 3, −7
(2) (x − 2)(x − 4) = 0 → x = 2, 4
(3) (x + 2)(x + 7) = 0 → x = −2, −7
(4) (x − 6)(x + 1) = 0 → x = 6, −1
- x² − 4x = 0
- 2x² + 6x = 0
- x² − 25 = 0
- x² − 10x + 25 = 0
答えを見る
(1) x(x − 4) = 0 → x = 0, 4
(2) 2x(x + 3) = 0 → x = 0, −3
(3) (x + 5)(x − 5) = 0 → x = ±5
(4) (x − 5)² = 0 → x = 5(重解)
- x² = 3x + 10
- x² + 8 = 6x
- (x − 2)² = 9
答えを見る
(1) x² − 3x − 10 = 0 → (x − 5)(x + 2) = 0 → x = 5, −2
(2) x² − 6x + 8 = 0 → (x − 2)(x − 4) = 0 → x = 2, 4
(3) 平方根で:x − 2 = ±3 → x = 5, −1
まとめ
- 原理:AB = 0 ならば A = 0 または B = 0。
- 因数分解できる式は 因数分解で解くのが最速。
- まず右辺 = 0 に整理 → 因数分解 → 一次方程式 2 本に分割。
- 「両辺を x で割る」は 禁止。x = 0 の解が消える。
- 判別式が平方数 → 因数分解可、そうでなければ 解の公式。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「黄金比」は二次方程式の解で表せる発展
デザインや自然界に現れることで有名な黄金比φは、二次方程式 x² − x − 1 = 0 の正の解として定まり、φ =(1 + √5)/2 = 1.6180… になります。因数分解では解けないので解の公式を使いますが、二次方程式が比の値そのものを決めている例です。
出典:ウィキペディア「黄金比」
ひまわりの種とフィボナッチ数列実生活
ひまわりの種のらせんの本数が、前の2つを足してできるフィボナッチ数列(1,1,2,3,5,8,…)に近いことを、中学生が観察コンクールの研究で確かめました。隣り合う項の比は黄金比に近づき、植物は約137.5°ずつずらして葉や種を並べることで光や場所をむだなく使っています。
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ガリレオが見つけた「落体の法則」発展
落ちる物体の高さ(距離)hは、経過した時間tの2乗に比例し h = gt²/2 で与えられます。これは17世紀のガリレイが確かめた「落体の法則」と呼ばれるもので、距離と時間が二次の関係で結びついています。身のまわりの落下運動の裏にも二次の式があるのです。
