図でつかむ
二次方程式の文章題は、解が2つ出ることがあります。図に「長さ」「個数」「時間」などの意味を書いておくと、負の解や条件に合わない解を捨てる理由がはっきりします。
解く流れ ── 3ステップ
- x を置く(求めたいもの、または計算しやすい数字)
- 方程式を立てる(問題の条件を式で表す)
- 解いて、吟味(問題に合わない解は捨てる)
整数の問題
小さい方を x とすると、大きい方は x + 1
x(x + 1) = 72 → x² + x − 72 = 0
(x + 9)(x − 8) = 0 → x = −9 または 8
→ 整数の組は (−9, −8) と (8, 9) の 2組(問題による)
小さい方を x とすると、大きい方は 13 − x
x(13 − x) = 36 → −x² + 13x − 36 = 0
x² − 13x + 36 = 0 → (x − 4)(x − 9) = 0 → x = 4, 9
x は小さい方なので x = 4、大きい方は 9
図形の問題(長方形)
横を x とすると、縦は x − 3
x(x − 3) = 40
x² − 3x − 40 = 0 → (x − 8)(x + 5) = 0
x = 8 または −5
x は長さなので x = 8。横 8cm、縦 5cm。
縦 x、横 5 − x(周長 10cm から)
x(5 − x) = (5/2)² − 2 = 6.25 − 2 = 4.25
5x − x² = 4.25 → x² − 5x + 4.25 = 0
x = (5 ± √(25 − 17))/2 = (5 ± 2√2)/2
図形の問題(道幅・余白)
道幅 x とすると、残った長方形は (12 − x) × (20 − x)
(12 − x)(20 − x) = 192
240 − 32x + x² = 192 → x² − 32x + 48 = 0
x = (32 ± √(1024 − 192))/2 = (32 ± √832)/2
√832 = 8√13 → x = 16 ± 4√13
道幅は 12 未満なので x = 16 − 4√13 ≒ 16 − 14.4 = 1.6m 程度
動点(時間 x 秒後)
P が原点から 2x cm 進む。三角形などの面積を x の二次式で表し、与えられた値と等式を立てる。
例:底辺 2x、高さ (10 − x) の三角形の面積が 16 → (1/2)·2x·(10 − x) = 16
x(10 − x) = 16 → x² − 10x + 16 = 0 → (x − 2)(x − 8) = 0 → x = 2 または 8 秒後
解の吟味 ── 答えとして適切か
- 長さ・面積・個数 → 正の数のみ。
- 個数 → 整数のみ。
- 図形の大小関係(縦 < 横 など) → 大小条件を満たすか。
- 時間 x 秒後 → 移動範囲内か(x ≦ 限界値)。
- 「x = a または b」のどちらが正解か、問題文に立ち返って吟味。
「年齢の差が3で、積が54」 → 小さい方 x、(x)(x+3) = 54 → x² + 3x − 54 = 0 → (x + 9)(x − 6) = 0
x = −9, 6 → 年齢は正なので x = 6、もう一方は 9 歳
速さの問題
時速 40km の電車 A と時速 60km の電車 B が同じ駅から逆方向に出発。距離が 100km 離れるまで時間 t を求める。
→ (40 + 60)t = 100 → t = 1(時間) ※これは1次方程式
二次方程式の速さ問題例:「A は時速x kmで2時間、Bは時速(x+10)kmで1時間進み、合計が90km」
→ 2x + (x+10) = 90 もまた1次
二次が現れるのは 距離 × 距離 = 面積のような問題(→ 速さ × 時間 = 距離 で面積に持ち込む)
売上問題
1個150円のリンゴを売ると1日100個売れる。1円値下げするごとに2個多く売れる。
値下げ額を x 円とすると、売値 = 150 − x、販売数 = 100 + 2x
売上 = (150 − x)(100 + 2x)
売上を 20000円にするには:
(150 − x)(100 + 2x) = 20000
15000 + 300x − 100x − 2x² = 20000
2x² − 200x + 5000 = 0 → x² − 100x + 2500 = 0 → (x − 50)² = 0 → x = 50
立体の問題
縦 x、横 (x+1)、高さ 2 の直方体の体積が 24
x(x+1)·2 = 24 → x² + x − 12 = 0 → (x+4)(x−3) = 0
x = 3(負は不可)→ 縦3、横4、高さ2
文章題の立式パターン
- 連続する整数:n, n+1, n+2 などで置く
- 長方形:縦・横を文字で表し、面積 = 縦×横
- 動点:x 秒後の位置を計算、面積や長さで方程式
- 道・余白:道幅を x とおき、残りの面積で方程式
- 売上(売り上げ金額):売値 × 個数 で方程式
この章でつまずきやすいところ
二次方程式の文章題は、解を計算しただけでは終わりません。「解が2つ出るが、片方は問題に合わない」という独特の罠が待っています。立式と吟味の途中で生まれる迷いを、場面ごとに整理します。
解が2つ出たら両方とも答えだと思い込んでしまう
- つまずく場面:「縦が横より3cm短い長方形の面積が40cm²」を解いて x=8 と x=−5 が出た瞬間、つい両方を答案に書きそうになる。x が「長さ」だと意識せず、機械的に2つ並べて書いてしまう場面。
- 克服のコツ:xの意味と制約を最初に固定すると見えます。x を置いた時点で「これは長さ」「これは個数」と意味と単位を決めておく。意味が決まれば、負の数や小数が出た瞬間に「これは現実に合わない」と判定でき、解の片方を捨てる理由がはっきりします。
- ミニ例:横を x cm とおいた瞬間、欄外に「x > 0(長さ)」とメモ。x=8, x=−5 が出ても、−5 は最初のメモで自動的に除外できる。
面積や体積の関係なのに一次方程式で立てようとしてしまう
- つまずく場面:問題文を読み進めて「縦 x、横 x+1、高さ 2 の直方体の体積が 24」と来たとき、x と x+1 をそのまま足して式を作ろうとしてしまう。積で二次式になる構造に気づかず、一次方程式の形で止まってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方のコツは、求める量が「長さ×長さ」「長さ×個数」のようにかけ算で結ばれているかを確認すること。面積・体積・売上のように「2つの量の積」で表される関係は、どちらの量も x の一次式(x の係数が0でない)のとき、積は x の二次式になります。立式前に「これは積か、和か」「両方に x が一次式で入っているか」を声に出して確認します。
- ミニ例:「売値 (150−x) 円 × 販売数 (100+2x) 個」のように積の形を見つけたら、展開すると必ず x² が現れる、と先に予告できる。
動点問題で x の動ける範囲を考えずに進めてしまう
- つまずく場面:「AB=10cm、AC=8cm の直角三角形で、点 P が AB 上を毎秒1cm、Q が AC 上を毎秒2cmで進む」を読んでいる途中、x 秒後を式にすることばかり気になり、x がどこまで大きくなれるかを忘れてしまう場面。
- 克服のコツ:時系列と位置関係で整理します。動点では「点が辺の端に着いたら、そこで動きは止まる」と考え、x の上限を先に出す。P は B に着くのが 10 秒後、Q は C に着くのが 4 秒後。先に端に着く方が上限を決めるので、0 ≦ x ≦ 4 がこの問題の舞台の広さです。
- ミニ例:式を立てる前に図の余白に「0 ≦ x ≦ 4」と書く。後で x=3 と x=8 が出ても、x=8 は舞台の外なので答えから外せる。
何を x にしたかが途中で曖昧になり条件を式に入れ忘れる
- つまずく場面:「大小2つの自然数、和が 13、積が 36」を解いている途中、最初に「小さい方を x」と決めたのに、計算が進むうちに x がどちらを指していたのか分からなくなる。x=4, x=9 と出てから、どちらが「小さい方」だったのか分からなくなり、答え方に迷ってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係を最初に固定するのがコツ。x を置いたら「x は小さい方」「もう一方は13−x」と矢印つきで書き込む。解が出たら「x は小さい方だから、2つの解のうち小さい値を選ぶ」と立ち戻れば、x=4、相手は 9 と一意に決まります。
- ミニ例:問題文の上に「x = 小さい方の数」と書き込んでおけば、x=4, x=9 が出ても x ≦ 13−x という大小条件で x=4 に絞れる。
練習問題
連続する2つの自然数の積が30 になる。2つの数を求めよ。
答えを見る
小さい方 x、x(x+1) = 30 → x² + x − 30 = 0 → (x+6)(x−5) = 0 → x = 5(自然数より −6 は不可)。5 と 6
横が縦より 2cm 長い長方形の面積が 48cm²。縦と横の長さを求めよ。
答えを見る
縦 x、横 x + 2、x(x+2) = 48 → x² + 2x − 48 = 0 → (x+8)(x−6) = 0 → x = 6(−8は不可)。縦 6cm、横 8cm
AB = 10cm、AC = 8cm の直角三角形 ABC(角A = 90°)の AB 上を A から毎秒1cmで P が、AC 上を A から毎秒2cmで Q が同時に出発する。x 秒後の三角形 APQ の面積が 9cm² になるのは何秒後か。
答えを見る
AP = x、AQ = 2x、面積 (1/2)·x·2x = x² = 9 → x = 3(−3は不可)。3秒後
※ 0 ≦ x ≦ 4(Q が C を超えない範囲)も確認。
まとめ
- 3ステップ:x を置く → 方程式 → 吟味。
- 「解は2つ出ても、問題に合わない方は捨てる」が最大ポイント。
- 長さ・面積・個数は 正の数、個数は 整数。
- 動点は 移動範囲(時間の上限)も忘れずに。
- 「x = a または b」と書いた後、必ず問題文に戻る。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
ボールや花火の高さは「時間の二次式」になる実生活
投げ上げた物体が描く軌道は放物線で、地面からの高さは時間tの二次式 y = v0·t − (1/2)g·t² で表せます。だから「ボールが10mの高さに達するのは何秒後か」を求める問題は、まさにこの単元で習う二次方程式を解いて吟味することそのものです。
黄金比は二次方程式から生まれる発展
名刺やテレビ画面などで「美しい」とされる黄金比φは、x² − x − 1 = 0 という二次方程式の正の解で、φ = (1+√5)/2 ≒ 1.618 です。線分を長い部分と短い部分に分け「全体:長い部分=長い部分:短い部分」となる比を立式すると、この二次方程式が出てきます。
「最も広い長方形」も二次式の頂点で決まる発展
針金やロープの長さ(周の長さ)を一定にして長方形を作るとき、面積 S = x(L−x) は二次関数になり、平方完成すると S = −(x−L/2)² + L²/4 となります。つまり x = L/2 のとき面積が最大、すなわち周が決まった長方形では正方形が一番広い、というのが結論で、教科書の「面積が最大より2cm²少ない」型の問題はこの性質を背景にしています。
整数だけでできる直角三角形(ピタゴラス数)発展
3辺がすべて整数の直角三角形(3,4,5)や(5,12,13)の3辺の組はピタゴラス数と呼ばれ、a²+b²=c² を満たします。x²の形で辺の長さを文字でおいて二次方程式を立てると、こうした整数解だけを「吟味して選ぶ」発展問題につながります。
値下げで売上を最大にする計算も二次方程式実生活
「1円値下げするごとに売れる個数が増える」とき、売上は(売値)×(販売数)で、xに値下げ額を入れると二次式になります。例えば1個140円で1日80個売れる商品で、1円値下げするごとに4個多く売れる場合、(140−x)(80+4x) を考えると二次方程式になり、解いた答えが現実に合うかを吟味する必要があります。
