図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
相似比・面積比・体積比のルール
相似比 m:n ならば、
① 面積比は m²:n²(2乗の比)
② 体積比は m³:n³(3乗の比)
① 面積比 ── 相似比の2乗
相似比 3:5
面積:9 cm² と 25 cm²
面積比 9:25 = 3²:5² ◯
面積比 = 2²:3² = 4:9
小さい方の面積が 12 なら、大きい方は 12·(9/4) = 27
② 体積比 ── 相似比の3乗
相似比 2:5
体積:8 cm³ と 125 cm³
体積比 8:125 = 2³:5³ ◯
体積比 = 1³:3³ = 1:27
小さい方の体積が 100 mL なら、大きい方は 2700 mL
なぜ2乗・3乗?
面積 = 縦 × 横 → 2方向の長さが m:n 倍になるから、面積は m²:n²。
体積 = 縦 × 横 × 高さ → 3方向すべての長さが m:n 倍になるから、体積は m³:n³。
これは正方形や立方体だけでなく、どんな形の相似な図形でも成立する。
応用:面積から相似比を求める
16:25 = 4²:5² → 相似比 4:5
27:125 = 3³:5³ → 相似比 3:5
地図の縮尺
地図の縮尺 1:50000 とは「実際の長さの 50000 分の 1 で描かれている」という意味。面積で見ると、2乗の関係になる。
実際の面積 = 4 × 50000² = 4 × 2,500,000,000 cm² = 10,000,000,000 cm² = 1,000,000 m² = 1 km²
表面積と相似比
表面積は「面の積」なので、面積比と同じ 2乗の関係
相似比 m:n → 表面積比 m²:n²
例:相似比 2:3 の立体 → 表面積比 4:9、体積比 8:27
→ 表面積と面積はどちらも「平面」なので2乗
→ 体積だけが「立体」なので3乗
身近な相似比の例
- 同じデザインの大小コップ:相似比 2:3 → 容量 8:27(3倍以上の差!)
- 同じ形のピザM・L:直径25cm vs 35cm → 面積比 625:1225 ≒ 1:2
- 子どもと大人の身長:100cm vs 170cm → 体積(体重)比 約 1:5
- 地図の縮尺:1:50000 → 面積比 1:25億
相似比の応用:影の問題
同じ時刻なら、太陽の角度は同じ → 物体と影の比は一定
→ 身長と影の長さが分かれば、塔や木の高さも計算できる
例:身長150cm の人の影が 75cm → 比 2:1
→ 影が10mの木 → 木の高さは20m
古代エジプトのピラミッドの高さもこの方法で測られた
立体図形の相似
円錐を高さの中点で水平に切ると、上半分は小さな円錐、下半分は円錐台
上半分と元の円錐の相似比 1:2
→ 体積比 1:8
→ 円錐台(下半分)は元 − 上 = 8 − 1 = 7(体積比)
→ 上:下 = 1:7
- 「相似比 2:3 だから、面積比も 2:3」と書きがち。面積は 4:9、体積は 8:27。
- 「相似比 → 平方 → 立方」と頭にインストール。
- 面積比から逆算するときは √を取る。例:面積比 9:16 → 相似比 3:4。
- 縮尺 1:50000 は 長さの比
- 面積で見ると 1²:50000² = 1:25億
- 地図上1cm² = 実際の0.25km²(50000cm × 50000cm)
- 長さと面積の関係を間違えないこと
- 体積比 8:27 → 相似比は √³8:√³27 = 2:3
- 「立方根」を使う
- 1, 8, 27, 64, 125, 216 = 1³, 2³, 3³, 4³, 5³, 6³ を覚えておく
この章でつまずきやすいところ
相似比・面積比・体積比は名前が似ているので、読んでいる途中で「どの比の話だっけ」と迷子になりやすい単元です。本文を追う最中に起きやすい3つの迷いを取り上げ、見分け方の手がかりを整理します。
面積比も相似比と同じ比だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「相似比 2:3 の三角形の面積比は?」と問われた瞬間、本文の最初に出てきた相似比 2:3 がそのまま頭に残り、面積比も 2:3 と書きそうになる。例2の「4:9」を見て、なぜ数字が変わったのか一瞬戸惑う場面。
- 克服のコツ:長さ・面積・体積のどの量を比べているかを最初に区別するのが見分け方のコツ。長さの比は1乗、面積は縦×横で2方向だから2乗、体積は縦×横×高さで3方向だから3乗と、因果関係で覚えると迷いにくい。
- ミニ例:相似比 2:3 のとき、面積比は 2²:3² = 4:9、体積比は 2³:3³ = 8:27。同じ「2:3」から出発しても、何の比かで答えが変わる。
面積比からそのまま相似比を読み取ってしまう
- つまずく場面:「面積比 9:16 のとき相似比は?」を読んでいる途中、ついそのまま 9:16 と答えそうになる。あるいは半分にして 4.5:8 などと中途半端な数字を作ってしまい、平方根で戻すという発想が出てこない場面。
- 克服のコツ:面積比→相似比に戻すときは平方根を取る、体積比→相似比に戻すときは立方根を取る、という時系列で処理する。9=3²、16=4² のように平方数・立方数の形に書き直すと、相似比が自然に見えてくる。
- ミニ例:面積比 9:16 = 3²:4² なので相似比は 3:4。体積比 8:27 = 2³:3³ なので相似比は 2:3。
地図の縮尺をそのまま面積にあてはめてしまう
- つまずく場面:「縮尺 1:50000 の地図で 4cm² の土地、実際は何 m²?」を読んでいる途中、長さの縮尺をそのまま面積にも使い、4 × 50000 = 20万cm²(=20m²)などと計算してしまう。本来1km²の広さの土地が、たった20m²の小さな区画に矮小化されてしまうほどの大きなズレが生じる場面。
- 克服のコツ:縮尺の表記は長さの比であることを最初に確認するのが見分け方。面積に直すときは縮尺の2乗をかける、という位置関係を押さえておく。長さが50000倍なら、面積は50000×50000倍になる。
- ミニ例:縮尺 1:50000 の地図上の 4cm² → 長さが50000倍だから、面積は50000² = 25億倍。よって 4cm² × 25億 = 100億cm² = 1,000,000m² = 1km²。長さの比 1:50000 と、面積の比 1:25億 は別物。
表面積は立体だから3乗だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「相似比 2:3 の立体の表面積比は?」を読んでいる途中、立体の話だから体積と同じく 8:27 と書きそうになる。本文の「表面積も2乗の関係」を見て、なぜ表面積だけ2乗なのか一瞬混乱する場面。
- 克服のコツ:「平面か立体か」で位置関係を整理するのがコツ。表面積は面の面積の合計であり、一つひとつの面が相似比の2乗で拡大するから、合計しても全体の表面積比は2乗のまま。体積は3方向の積なので立体の量→ 3乗。立体の話題でも、面積系は平面のルールで処理する。
- ミニ例:相似比 2:3 の立体 → 表面積比は 2²:3² = 4:9、体積比は 2³:3³ = 8:27。立体に出てくる比でも、面積側は2乗のまま。
練習問題
相似比 3:5 の2つの相似な三角形。小さい方の面積が 18cm² のとき、大きい方の面積は。
答えを見る
面積比 = 9:25。大きい方 = 18·(25/9) = 50cm²
相似比 2:5 の相似な立体。大きい方の体積が 250 のとき、小さい方の体積は。
答えを見る
体積比 = 8:125。小さい方 = 250·(8/125) = 16
- 面積比 49:81 → 相似比
- 体積比 64:125 → 相似比
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(1) 7:9(49=7², 81=9²) (2) 4:5(64=4³, 125=5³)
縮尺 1:25000 の地図上で長方形の土地が縦 2cm × 横 3cm に描かれている。実際の面積は何 m² か。
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面積比 1:25000² = 1:625,000,000。地図上の面積 = 6cm²。実際 = 6 × 625,000,000 cm² = 3,750,000,000 cm² = 375,000 m²
まとめ
- 相似比 m:n → 面積比 m²:n²、体積比 m³:n³。
- 面積から逆算 → 比を 平方根で。
- 体積から逆算 → 比を 立方根で。
- 地図の縮尺問題では、面積は 縮尺の2乗に注意。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
地図の縮尺と「面積は2乗」実生活
2万5千分の1の地形図では、地図上の4cmが実際には1km(10万cm)になります。距離は縮尺どおりですが、面積は縮尺の2乗で増えるため、地図上の1辺を25000倍すると面積は25000²倍になり、地図上のせまい範囲が実際には広大な土地に対応します。
ベルクマンの法則 ── 寒い地域の動物が大きいわけ発展
恒温動物では、体内でつくる熱の量はおよそ体長の3乗(体積)に比例し、外へ逃げる熱はおよそ体長の2乗(表面積)に比例します。そのため体が大きいほど体積あたりの表面積が小さくなって熱が逃げにくく、寒い地域では大型の種が生き残りやすいと説明されます(ベルクマンの法則)。
ガリレオが見抜いた「二乗三乗の法則」発展
ガリレオは1638年の著書『新科学対話』で、物の形を変えずに大きくすると、骨の強さは断面積(長さの2乗)でしか増えないのに、体重は体積(長さの3乗)で増えてしまうと指摘しました。だから巨大化した怪獣は自分の重さを支えられず、現実には存在できないと考えられています。
薬の量は「体表面積」で決めることがある実生活
抗がん剤などでは、体重そのものではなく体表面積(m²)をもとに投与量を決めることがあります。体表面積は身長と体重から計算され、代表的なものにデュボア式があります。体の代謝の働きは体重よりも体表面積に近い形で増減するため、面積を使ったほうが適切な量を見積もりやすいからです。
日本の地図づくりが世界を助ける発展
国土地理院は1959年から1000人以上の研修生を受け入れ、JICAなどと協力して開発途上国へ測量や地図づくりの専門家を派遣してきました。土地の管理やインフラ整備には正確な縮尺の地図が欠かせず、相似と縮尺の数学が国際協力の現場でも役立っています。
出典:国土地理院(技術協力)
