図でつかむ
赤道から北へ35°、本初子午線から東へ139°とたどると、地球上で東京のただ1点が指し示せます。緯度の基準線(赤道)は横向き、経度の基準線(本初子午線)は縦向き ── 基準線の向きとセットで覚えると混乱しません。
地球は球体 ── だから2つの方向で位置を決める
地球は丸いボールのような形です。「右」「左」「上」「下」といった表現が成り立たないので、世界全体で通じる位置のしるしが必要になります。それが 緯度(いど)と経度(けいど)です。
- 緯度:南北方向(赤道から北・南へ何度ずれているか)
- 経度:東西方向(本初子午線から東・西へ何度ずれているか)
緯度 ── 赤道を 0° として南北に分ける
赤道緯度 0°
北へ北緯(ほくい) ── 北極点が 北緯 90°
南へ南緯(なんい) ── 南極点が 南緯 90°
例:東京は 北緯35度付近、シドニーは 南緯34度付近。同じ緯度でも、北半球と南半球で季節が逆になります(北が冬のとき南が夏)。
3つの特別な緯線
- 赤道(緯度0°)── 一年中昼の長さがほぼ12時間
- 北回帰線(北緯23.4°)── 夏至の日に太陽が真上に来る北の限界
- 南回帰線(南緯23.4°)── 冬至の日に太陽が真上に来る南の限界
- 北極圏/南極圏(緯度66.6°以北・以南)── 夏に 白夜、冬に 極夜 がある
経度 ── 本初子午線を 0° として東西に分ける
本初子午線経度 0°
東へ東経(とうけい) ── 0°〜 180°
西へ西経(せいけい) ── 0°〜 180°
合計東経180°と西経180°は同じ場所(地球の裏側)
例:東京は 東経139度、ニューヨークは 西経74度、ロンドンは 経度0度。
日付変更線 ── 経度180°のジグザグ線
経度180°のあたりには 日付変更線があります。これを越えると 日付が1日ずれる。西から東へ越えると1日戻し、東から西へ越えると1日進めます。
- 本来は経度180°の直線だが、国や地域を 分けてしまわないように、ベーリング海・太平洋諸島でジグザグに曲げてある。
- 同じ国の中で日付が違うのは不便なため。
緯度・経度を組み合わせる ── 1点が決まる
緯度(南北)と経度(東西)を組み合わせると、地球上の1点が決まります。
東京北緯35°41′ / 東経139°41′
ロンドン北緯51°30′ / 経度 0°
ニューヨーク北緯40°43′ / 西経74°00′
シドニー南緯33°52′ / 東経151°13′
「′」は分(1度の1/60)。緯度1分は約 1.85 km。
地球儀と地図の違い
| 項目 | 地球儀 | 地図 |
|---|---|---|
| 形 | 球体 | 平面 |
| 面積・距離・形・方角 | すべて正確 | どれかが必ずゆがむ |
| 使いやすさ | 持ち運びに不向き | 折りたためる・印刷できる |
主な世界地図とそのゆがみ
- メルカトル図法:角度(方角)が正確。面積は高緯度ほど大きくゆがむ(グリーンランドが実際よりずっと大きく見える)。航海図に使われた。
- 正距方位図法:中心点からの 距離と方角が正確。航空図に使われる。
- モルワイデ図法:面積が正確。世界地図に使われる。
この章でつまずきやすいところ
緯度・経度は数字が並ぶだけに、本文を読む途中で「あれ、どっちが南北だっけ?」と頭がこんがらがりやすい単元です。ここでは中学生が読みながらつまずきやすい具体場面と、立て直し方を整理します。
緯度と経度を逆向きに思い込んでしまう
- つまずく場面:「東京は北緯35度、東経139度」という一文を本文で見たとき、北緯が東西を表していたのか南北を表していたのか自信がなくなり、地図上の縦と横どちらに線を伸ばせばいいのか迷ってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で覚えるのがコツ。緯度の基準は赤道(横にぐるっと一周する線)で、そこから北・南へどれだけ離れたかを示すので南北方向。経度の基準は本初子午線(北極から南極へ縦に走る線)で、東・西へどれだけ離れたかを示すので東西方向。基準線の向きと、表す方向の向きが一致していると覚える。
- ミニ例:東京の「北緯35度」は赤道から北に35度ずれた位置、「東経139度」は本初子午線から東に139度ずれた位置を意味する。
北緯・南緯や東経・西経を付け忘れて位置を決めてしまう
- つまずく場面:本文の例で「シドニーは南緯34度、東京は北緯35度」と並んでいるのを読みながら、テスト用に東京の位置を「緯度35度・経度139度」とだけメモしてしまい、あとで読み返したときに北半球と南半球のどちらか分からなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方として、緯度には必ず北緯か南緯、経度には必ず東経か西経を付ける習慣をつける。赤道と本初子午線という2本の基準線で地球は4つの区画に分かれるため、北南・東西のラベルがないと同じ数字でも別の場所になってしまう、と理由ごとセットで押さえる。
- ミニ例:「緯度35度・東経139度」だけだと北半球とも南半球とも取れるが、北緯35度と書かなければ南緯35度(南米チリ沖など)と区別できない。
日付変更線をまっすぐな経度180度の線だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「日付変更線は経度180度のあたりにある」と読んだ直後、地球儀の図でその線がベーリング海や太平洋諸島でジグザグに曲がっているのを見て、「教科書が間違っているのでは?」と混乱してしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。本来の基準は経度180度の直線だが、そのまま引くと同じ国や地域の中で日付が違ってしまう不便が生じる。そこで結果として、陸地や島々を分けないよう海上で線を曲げてある。「基準は直線・実用上はジグザグ」と二段で覚えると、図と本文のずれに動揺しなくなる。
- ミニ例:経度180度の線をそのまま引くとロシア東部などで同じ国の中に日付が二つできてしまうため、海上で迂回させ、一つの国は一つの日付にそろえている。
メルカトル図法の地図を見たまま「グリーンランドは巨大」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「地図は平面なので必ず何かがゆがむ」と読んだあと、教科書のメルカトル図法の世界地図を見て、グリーンランドがアフリカ大陸と同じくらい大きく描かれているのを見て、実際の大きさもそのくらいだと信じ込んでしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で押さえる。メルカトル図法は角度(方角)が正確になるよう作られている結果、高緯度ほど面積が大きくゆがむ。「方角を優先したから面積が犠牲になった」と理由から覚えると、ほかの図法(モルワイデ=面積正確、正距方位=中心からの距離・方角正確)との役割分担も整理しやすい。
- ミニ例:メルカトル図法ではグリーンランドがアフリカ大陸より大きく見えるが、実際の面積はアフリカの約14分の1ほどしかない。
練習問題
- 緯度0°の線を何というか。
- 経度0°の線を何というか。
- 経度0°の線は、どの国のどの天文台を通るか。
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(1) 赤道
(2) 本初子午線
(3) イギリスのロンドン・旧グリニッジ天文台
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北緯35°・東経139° → 東京
南緯34°・東経151° → シドニー
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同じ国・地域の中で日付が違ってしまうのを避けるため。 経度180°が国の中央を通る場合、その国を分断しないように、海上で線を曲げて土地を一つの日付にそろえている。
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特徴:角度(方角)が正確。航海図に使われた。
弱点:高緯度ほど 面積が大きくゆがむ。グリーンランドがアフリカ大陸より大きく見えるが、実際はアフリカの約 1/14。
まとめ
- 地球上の位置は 緯度(南北)と経度(東西)の2つで決まる。
- 緯度0°=赤道、北極点が北緯90°、南極点が南緯90°。
- 経度0°=本初子午線(ロンドンのグリニッジ天文台)。東西に最大180°ずつ。
- 経度180°付近に 日付変更線。地域を分けないようジグザグになっている。
- 地球儀は正確だが持ち運べない。地図は平面なので 必ず何かがゆがむ(メルカトル=角度正確、モルワイデ=面積正確、正距方位=中心からの距離・方角正確)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
GPSが緯度・経度を教えてくれるしくみ発展
スマホの地図が「今いる場所」を緯度・経度で表せるのは、上空の人工衛星から届く電波を受け取って位置を計算しているからです。教科書で学ぶ緯度・経度は、こうした衛星測位システムの基準座標としても世界共通で使われています。
日本版GPS「みちびき」で位置がより正確に時事
日本では内閣府が運用する準天頂衛星「みちびき」が、ビルや山に電波がさえぎられやすい場所でも安定して位置を測れるよう、アメリカのGPSと組み合わせて使われています。みちびきは衛星の数を増やして、より高精度な測位ができる体制づくりが進められています。
本初子午線はグリニッジから約100m東に動いた発展
じつは現在GPSなどが使う経度0度の線(IERS基準子午線)は、旧グリニッジ天文台の歴史的な子午線から約100mほど東にずれています。これはグリニッジでの重力の向きのわずかなかたよりなどが原因で、観測技術が進んだことで明らかになりました。
日本の時刻の基準は東経135度・明石発展
日本標準時は、兵庫県明石市などを通る東経135度の経線(日本標準時子午線)の上での時刻と決められています。経度15度ごとに1時間の時差が生じるため、世界時(経度0度)との差はちょうど9時間になります。
出典:明石市立天文科学館
国の都合で日付変更線が動いた例(サモア)時事
日付変更線は固定ではなく、国の事情で引き直されることがあります。南太平洋のサモアは2011年末に線の東側から西側へ移り、貿易相手のオーストラリアなどと曜日をそろえました。このとき12月30日が消えて、29日の次が31日になりました。
