図でつかむ
EUに加盟していてもユーロを使わない国(デンマークなど)、EUに入っていなくてもシェンゲン協定に参加する国(スイスなど)があります。「EU加盟=ユーロ」ではないことを図で確かめてください。
ヨーロッパ州の全体像
- 面積:約 1,000万 km²
- 人口:約 7億5千万人
- 国の数:40以上の独立国
- 地形:北部に スカンディナビア山脈、中央〜南に アルプス山脈、東に ウラル山脈(アジアとの境)
- 主な川:ライン川・ドナウ川・テムズ川・セーヌ川
地形と海岸線 ── 入り組んだ地形が船の文化を生んだ
ヨーロッパの海岸線は入り組んでいて、半島と入り江が多いのが特徴。フィヨルド(氷河によって削られた狭い入り江)が北欧の海岸に見られます。
- イベリア半島:スペイン・ポルトガル
- イタリア半島:長靴の形
- バルカン半島:ギリシャを含む地域
- スカンディナビア半島:ノルウェー・スウェーデン
気候 ── 暖流と偏西風で同緯度より温暖
- 北部:冷帯と西岸海洋性気候
- 中央〜西:西岸海洋性気候。1年中穏やかな雨。
- 南部(地中海沿岸):地中海性気候。夏は乾燥、冬に雨。
- 東部:内陸に行くほど冷帯・大陸性気候
農業 ── 気候に合わせた3タイプ
- 地中海式農業(南欧):夏は乾燥に強い オリーブ・ぶどう・オレンジ。冬は小麦。
- 混合農業(中央ヨーロッパ):小麦・ライ麦・じゃがいもの栽培と 家畜の飼育を同じ農場で組み合わせる。
- 酪農(北西部):オランダ・デンマーク・北フランス。乳牛を飼ってチーズ・バターなどを作る。
EU(欧州連合) ── 国境を越えた共同体
①共通通貨ユーロ(€):加盟国の多くが導入(ドイツ・フランス・イタリアなど)。両替なしで買い物可能。
②シェンゲン協定:参加国間では国境検査を原則なくし、人の移動をしやすくする。EU加盟国すべてが参加しているわけではない。
③共通市場:人・モノ・資本・サービスの自由移動。
- イギリスは2020年に EU離脱(ブレグジット)。
- スイス・ノルウェー・アイスランドなどはEU非加盟だが、シェンゲン協定には参加。
- EU加盟国でも、ユーロを使わない国がある。通貨・協定の参加状況は資料集で確認する。
言語 ── 3つの大きな系統
| 系統 | 分布 | 主な言語 |
|---|---|---|
| ゲルマン系 | 北西ヨーロッパ | 英語・ドイツ語・オランダ語・北欧諸語 |
| ラテン系 | 南ヨーロッパ | フランス語・スペイン語・イタリア語・ポルトガル語 |
| スラブ系 | 東ヨーロッパ | ロシア語・ポーランド語・チェコ語 |
主要国の特徴
- ドイツ(首都ベルリン):EU最大の経済規模。自動車(ベンツ・BMW・VW)・化学・機械。かつては豊富な石炭とライン川の水運を生かしたルール工業地域が鉄鋼業で栄えたが、炭鉱の閉山が進み、現在は自動車や先端技術産業へと中心が移っている。
- フランス(首都パリ):EU最大の農業国。小麦・ワインの大生産地。観光(パリ・モンサンミシェル)。
- イギリス(首都ロンドン):2020年にEU離脱。金融のロンドン・シティ。産業革命の発祥地。
- イタリア(首都ローマ):ファッション・観光・地中海式農業。ローマ・バチカン・フィレンツェなど世界遺産多数。
- スペイン(首都マドリード):観光大国。オリーブ・オレンジ・ワイン。サッカー強国。
- オランダ(首都アムステルダム):酪農と園芸(チューリップ)。海面より低い土地を ポルダーと呼ぶ。
EUの課題
- 経済格差:西欧(豊か)と東欧(追いついていく途中)の差。
- 移民問題:シリア内戦などで難民が殺到。各国で受け入れ反対の声も。
- 離脱の動き:イギリスのブレグジット。他国でも EU懐疑派の政治勢力が拡大。
- 環境対策:都心への自動車の乗り入れを減らすため、郊外の駐車場に車をとめて公共交通に乗り換えるパークアンドライドを導入する都市が増えている。
- エネルギー依存:天然ガスをロシアからのパイプラインに頼ってきたが、ウクライナ侵攻後は依存を見直す動きが課題になっている。
この章でつまずきやすいところ
ヨーロッパ州は「EUで統合」と「国ごとの多様性」が同居する地域です。本文を読み進めるうちに、加盟国・通貨・気候・言語の関係でこんがらがる場面が多くあります。読みながら迷いやすい4つの場面を整理します。
EU加盟国はみんなユーロを使うと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「EU=共通通貨ユーロ」と読んだ直後に、続けて「ユーロを使わない国もある」と出てきて、どちらが正しいのか頭の中でぶつかってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理します。EU加盟=ユーロ導入ではないのがポイント。EUは「経済の結びつきを強める国家連合の枠組み」、ユーロは「共通通貨という制度の一つ」と段階を分けて考えます。教科書では「加盟国の多くが導入」と書かれていて、全員ではないことを示しています。
- ミニ例:ドイツ・フランス・イタリアはユーロを使うEU加盟国。一方で、EUに加盟していてもユーロを使わない国があると教科書では整理されています。
ロンドンは緯度が高いから寒いはずだと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「ロンドンは日本の北海道よりも高緯度なのに冬でも穏やか」という一文で、緯度=気温と結びつけて覚えてきたために、なぜ温暖なのか頭の中で説明できず立ち止まってしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。北大西洋海流(暖流)→偏西風が熱を運ぶ→西岸海洋性気候という流れがカギ。緯度だけでなく「海流」と「風向き」がセットで気候を決めると押さえると、本文の説明がつながります。
- ミニ例:中央〜西ヨーロッパは1年中穏やかな雨の西岸海洋性気候。同じ緯度でも、暖流と偏西風が届かない地域は気候が大きく違うと教科書では整理しています。
イギリスを今もEU加盟国だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「EU加盟国」「共通市場」を読んだ流れで、続いて出てくる「イギリスは2020年にEU離脱」を見落とし、イギリスもユーロや共通市場の話の中に入れてしまう場面。
- 克服のコツ:時系列で整理します。1993年EU発足 → 2020年イギリスがブレグジットで離脱という順番を押さえること。今のEUの話と、過去にイギリスがEUにいた頃の話を分けて読むと、本文が混ざりません。
- ミニ例:イギリスは2020年にEUを離脱した国として教科書では扱われ、共通市場やユーロの説明の対象から外れます。
ヨーロッパの言語をひとくくりに考えてしまう
- つまずく場面:本文で「英・仏・独・伊・スペイン語…」と並ぶのを見て、どれも「ヨーロッパの言語」とまとめてしまい、後の系統別の表で英語とドイツ語が同じ系統だと出てきて混乱する場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。ゲルマン系=主に北・西ヨーロッパ、ラテン系=主に南ヨーロッパ、スラブ系=主に東ヨーロッパと、教科書の系統別地図にそって「主に」どのあたりに分布するかをセットで覚えると、表と地図が結びつきます。
- ミニ例:英語・ドイツ語=ゲルマン系、フランス語・イタリア語=ラテン系、ロシア語・ポーランド語=スラブ系。教科書ではこの3系統で整理されます。
練習問題
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正式名:欧州連合(European Union)
通貨:ユーロ(€)
離脱国:イギリス(ブレグジット)
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大西洋の 北大西洋海流(暖流)と 偏西風のはたらきで、暖かい海の熱がヨーロッパに運ばれるから。
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オリーブ・ぶどう・オレンジ(柑橘類)。夏の乾燥に強い作物が育つ。
- ドイツ語
- イタリア語
- ロシア語
- 英語
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(1) ゲルマン系
(2) ラテン系
(3) スラブ系
(4) ゲルマン系
まとめ
- ヨーロッパ州は40以上の国が集まる地域。面積は約1,000万km²、人口約7億5千万人。
- EU(欧州連合)で経済・政治を統合。共通通貨は ユーロ。加盟国数は最新資料で確認。
- 偏西風と北大西洋海流のおかげで、同緯度より温暖な気候。
- 農業は地中海式(南)/混合農業(中央)/酪農(北西)の3タイプ。
- 言語は ゲルマン系・ラテン系・スラブ系の3系統。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
ユーロを使う国は2026年に21か国へ時事
共通通貨ユーロは、2023年にクロアチアが導入して20か国に、さらに2026年1月にブルガリアが導入して21か国になりました。EU加盟国でも、デンマークやスウェーデン、ポーランドなどはユーロを使わず自国通貨を続けており、「EU加盟=ユーロ」ではないことが分かります。
クロアチアがユーロ圏とシェンゲン圏に同時加入時事
クロアチアは2023年1月1日からユーロを導入し、同時に国境検査をなくすシェンゲン協定にも加わりました。これによって観光客や物の行き来がしやすくなり、EUの「人・モノ・お金の自由な移動」が一歩広がりました。
EUの電気の半分近くが再生可能エネルギーに発展
EU27か国では、2024年の発電量に占める再生可能エネルギーの割合が約47%と過去最高になりました。とくに太陽光発電が大きく伸び、発電量で初めて石炭火力を上回り、ヨーロッパの脱炭素(CO2を減らす取り組み)が進んでいます。
ウクライナとモルドバがEU加盟をめざす時事
ロシアの侵攻を受けたウクライナと、その隣国モルドバは2022年にEUの「加盟候補国」と認められ、2024年6月25日には正式な加盟交渉が始まりました。実際の加盟までは数年かかる見通しですが、EUがさらに東へ広がる可能性が出てきています。
ブレグジット後もEUは27か国発展
イギリスは2020年1月31日にEUを離脱(ブレグジット)し、これでEU加盟国は28か国から27か国になりました。離脱後はイギリスとEUの間で再び通関などの手続きが必要になり、統合をやめると人や物の移動に手間が増えることが分かる例になっています。
