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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

助詞・助動詞 ── 付属語2つの違い

「私は本を読まなかった。」── 太字部分はすべて 付属語。自立語にくっついて、関係や意味を加えています。活用する のが助動詞、活用しない のが助詞。今回は付属語の2品詞を、種類と代表的な意味まで一段くわしく整理します。

付属語とは何か(おさらい)

付属語は 単独で文節をつくれない単語。必ず自立語のあとにつきます。日本語の付属語は 助詞・助動詞 の2品詞だけです。

  • 助詞:活用しない付属語。「が・を・に・の・は・も」など。
  • 助動詞:活用する付属語。「た・ない・れる・ます」など。

助詞の4分類

助詞ははたらきで4つに分けられます。

種類 はたらき 代表例
格助詞主に体言につき、他の文節との関係を示すが・を・に・へ・と・より・から・で・の・や
並立助詞複数の語をならべて示す(教科書によっては格助詞に含める)や・と・か
接続助詞用言などにつき、前後をつなぐば・と・ても・けれど・が・のに・ので・から・て
副助詞いろいろな語につき、特別な意味を添えるは・も・こそ・さえ・しか・ばかり・だけ・まで
終助詞文末について話し手の気持ちを表すか・な・ね・よ・わ・ぞ・とも

「や・と・か」のように、ものごとを対等にならべる並立の関係を作る助詞もあります。学校文法では格助詞に含めて扱うことが多いですが、教科書によっては「並立助詞」として別に紹介されることもあります。

格助詞 ── 文の中の役割を決める

「が」「を」「に」「で」が示す関係

が主語を示す。「犬が走る」

を対象(〜を)を示す。「本を読む」

に場所・相手・時間。「公園に行く」「先生に会う」

で場所(動作の場所)・手段。「学校で学ぶ」「ペンで書く」

の修飾。「私の本」

接続助詞 ── 前後をつなぐ

「て」「ば」「のに」「から」「ので」

て動作を続ける。「歩いて行く」

ば仮定。「行けばわかる」

のに逆接。「勉強したのに失敗した」

から/ので原因。「雨だから中止」「雨なので中止」

副助詞 ── 意味を添える

「は」「も」「だけ」「しか」

は主題を示す(取り立て)。「私は学生だ」

も同類を追加。「私も行く」

だけ限定。「これだけ欲しい」

しか限定(〜ない、と呼応)。「これしかない」

終助詞 ── 文末の気持ち

「か」「ね」「よ」「な」

か疑問。「行きますか。」

ね確認・同意。「いい天気だね。」

よ知らせる・強調。「行くよ。」

な禁止/詠嘆。「行くな。」(禁止)「美しいな。」(詠嘆)

「の」と「で」の識別 ── 定番の識別問題

「の」と「で」は同じ形でもはたらきが複数あり、識別問題として定番です。

「の」の代表的な3つのはたらき

①主格「が」に置き換えられる。例:「私の作った本」→「私が作った本」

②準体言「もの・こと」に置き換えられる(体言の代わりをする)。例:「赤いのが好きだ」→「赤いものが好きだ」

③連体修飾格後ろに体言が続き、所有・所属などを示す。例:「私の本」

発展・同格「〜で」に置き換えられる用法もある。例:「白き花の、をかしきが咲きたり」→「白い花で、風情のあるものが咲いている」のように、直前の体言を後ろの部分がくわしく説明し直す。

「で」の4つのはたらき

①格助詞体言につき、場所・手段・材料・原因などを表す。例:「公園で遊ぶ」(場所)「バスで行く」(手段)

②接続助詞動詞の音便形に続き、動作をつなぐ(「て」が濁音化した形)。例:「本を読んで、感想を書いた。」

③断定の助動詞「だ」の連用形体言のあとに付き、後ろに用言が続く。例:「これは本で、あれは辞書だ。」

④形容動詞の活用語尾形容動詞の一部として、連用形の語尾になる。例:「静かで広い部屋」(「静かだ」の連用形)

助動詞 ── 活用する付属語

用語
助動詞
活用する付属語。主に用言につき、意味を加えるはたらきをもつ。中1ではまず代表的な助動詞の 意味 を覚える。

主な助動詞の意味

助動詞 意味 例
た(だ)過去・完了・存続行った/読んだ(過去)・壁にかかった絵(存続)
ない/ぬ(ん)打消し行かない/行かぬ
れる/られる受身・可能・自発・尊敬ほめられる/食べられる
せる/させる使役読ませる/食べさせる
ます丁寧行きます
う/よう推量・意志・勧誘行こう/食べよう
たい/たがる願望行きたい/食べたがる
だ/です断定学生だ/学生です
ようだ/そうだ比況・推定・伝聞雨のようだ/降りそうだ
らしい推定明日は雨らしい
まい打消推量・打消意志彼は来まい(打消推量)/もう失敗はするまい(打消意志)
「そうだ」の識別 ── 様態と伝聞

様態動詞の連用形などに接続し、「〜しそうな様子だ」という意味を表す。例「雨が降りそうだ」(今にも降りそうな様子)

伝聞動詞の終止形に接続し、「〜という話だ」という意味を表す。例「天気予報によると、雨が降るそうだ」(人から聞いた話)

見分け方接続する形が連用形か終止形かを確かめる。「降り」(連用形)+そうだ=様態、「降る」(終止形)+そうだ=伝聞。

「ない」── 助動詞か形容詞か

「ない」の見分け
  • 動詞に直接続く「ない」── 助動詞。例「行かない」「読まない」
  • 形容詞・形容動詞のあとの「ない」── 補助形容詞。例「美しくない」「静かでない」
  • 「金がない」── 形容詞「ない」(存在しないの意味)
  • 判定:「ない」を「ぬ」に置き換えられれば 助動詞(行かぬ ○/美しくぬ ×)。

教科書で確認した付属語の観点

  • 助詞は活用せず、語と語の関係や文末の気持ちを表す。
  • 助動詞は活用し、過去・打消し・受身・可能・使役・推量・丁寧などの意味を加える。
  • 同じ形でも、前に来る語や活用の有無で品詞が変わる。
つまずき:「れる・られる」
  • 受身・可能・自発・尊敬の意味があるので、形だけで一つに決めない。
  • 「先生が来られる」は尊敬、「本が読まれる」は受身のように文脈で読む。

この章でつまずきやすいところ

助詞と助動詞は、文の関係や意味をひそかに決める「縁の下の力持ち」です。短い語なので読み飛ばしたり、同じ形でも品詞や意味がちがったりして、本文や問題の途中で迷いが起きやすい場所。理解の途中でつまずきがちな具体場面を整理します。

「ない」をすべて打消しの助動詞と思い込んでしまう

  • つまずく場面:「お金が ない 」と「行か ない 」を見ているうちに、どちらも同じ「ない」だから助動詞かなと迷う場面。形だけ見て助動詞と決めつけそうになり、形容詞や補助形容詞との区別で手が止まる。
  • 克服のコツ:見分け方は手順を一本化する。まず前の語を見て、(1)動詞・助動詞の未然形に付くなら助動詞、(2)形容詞・形容動詞の連用形のあとに付くなら補助形容詞、(3)それ以外で「存在しない」意味を表すなら形容詞、と順番に当てはめる。最後に「ない」を 「ぬ」に置き換えられるか を補助テストとして確かめ、置き換えられれば助動詞であることを確認する。
  • ミニ例:「知らない」→動詞「知る」の未然形に付くので助動詞。「ぬ」に置き換えて「知らぬ」と言えるので確認できる。「おもしろくない」→形容詞「おもしろい」の連用形のあとに付くので補助形容詞。

「れる・られる」を反射的に受身ととってしまう

  • つまずく場面:「この魚は食べ られる 」を本文で見て、受身か可能か判断できずに止まる場面。「食べられる」は受身・可能・尊敬のどれにも読めるため、文脈を確認する前に意味を一つに決めようとして迷う。
  • 克服のコツ:因果関係で整理する。「れる・られる」には 受身・可能・自発・尊敬 の四つの意味があり、形だけでは決まらない。主語が動作を「される」側か、自然に「〜できる」か、心が自然に動くか、目上の人の動作かを文脈で確かめてから意味を選ぶ。
  • ミニ例:「本が読まれる」は本が読まれる側なので受身。「先生が話される」は目上の動作なので尊敬。「昔のことが思い出される」は自然に心が動くので自発。

助詞を一つの文節として数えてしまう

  • つまずく場面:文節分けの途中で「私 / は / 本 / を / 読む」のように、「は」「を」を独立した文節として区切りたくなる場面。助詞も一語だから一文節と数えそうになり、付属語の性質との関係が混乱する。
  • 克服のコツ:位置関係で整理する。助詞は付属語なので、単独では文節をつくれず、必ず前の自立語にくっついて一文節になる。文節を切るときは「ね」を入れて自然に区切れる位置で切り、助詞は前の語と一緒に同じまとまりに入れる。
  • ミニ例:「私は/本を/読む」と三文節。「私/は/本/を/読む」と五つに区切るのは誤り。「は」「を」は前の体言とまとめて一文節。

「が」「は」「で」など短い助詞を読み飛ばして関係を取り違える

  • つまずく場面:問題文を読み進めながら、「学校 で 学ぶ」「先生 に 会う」のような短い助詞を流し読みして、場所・相手・手段の区別があいまいになる場面。誰が何をどうしたのかが結びつかず、内容把握の途中で止まる。
  • 克服のコツ:見分け方で整理する。格助詞は前後の関係を決める道しるべ。代表的な用法として「が」は主語、「を」は対象、「に」は場所・相手・時間 など、「で」は場所・手段 など、「の」は修飾、と一語ずつ役割を当てはめてから読み進める。
  • ミニ例:「ペンで書く」は手段、「学校で学ぶ」は場所。同じ「で」でも前後の語で役割が変わる。「先生に会う」の「に」は相手を示す。

練習問題

問題1(助詞の分類)
下線部の助詞は4種類のどれか答えなさい。
  1. 本を読む。
  2. 歩いて行く。
  3. あなたも来る。
  4. 行きますか。
答えを見る

(1) 格助詞

(2) 接続助詞

(3) 副助詞

(4) 終助詞

問題2(助動詞の意味)
下線部の助動詞の意味を答えなさい。
  1. 本を読まない。
  2. みんなにほめられる。
  3. 明日は晴れるだろう。
  4. 水を飲みたい。
答えを見る

(1) 打消し

(2) 受身(「ほめる」を「られる」で受け身に)

(3) 推量(「だろ+う」)

(4) 願望

問題3(「ない」の判別)
下線部の「ない」は助動詞か形容詞か。
  1. そんなことは知らない。
  2. お金がない。
  3. この本はおもしろくない。
答えを見る

(1) 助動詞(「知らぬ」と置き換え可能)

(2) 形容詞(「金がぬ」とは言えない。「存在しない」の意味)

(3) 補助形容詞(「おもしろくぬ」とは言えない。形容詞のあと)

まとめ

  • 付属語は 助詞・助動詞 の2品詞のみ。
  • 助詞は活用しない。4種類(格助詞/接続助詞/副助詞/終助詞)。
  • 助動詞は活用する。主な意味は 過去・打消し・受身・使役・丁寧・推量・願望・断定。
  • 「ない」は 助動詞と 形容詞のどちらにもなる。「ぬ」に置き換え可なら助動詞。
  • らしいは推定、まいは打消推量・打消意志。そうだは連用形接続なら様態、終止形接続なら伝聞。
  • 「の」は主格・準体言・連体修飾格、「で」は格助詞・接続助詞・断定の助動詞「だ」の連用形・形容動詞の活用語尾の見分けが定番。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

「見れる」は今や多数派 ── 助動詞「られる」のゆれ実生活

助動詞「れる・られる」は可能の意味も表しますが、「見られる」を「見れる」と縮める「ら抜き言葉」が広がっています。文化庁の平成27年度調査では「見れた」が48.4%で「見られた」の44.6%を上回り、調査開始以来初めて「ら抜き」が多数派になりました。テストでは標準的な「見られる」が正解ですが、ふだんの言葉がゆれていることを知っておくと品詞の理解が深まります。

出典:文化庁「平成27年度『国語に関する世論調査』の結果について」

若い世代ほど「ら抜き」を使う実生活

同じ文化庁調査を年齢別に見ると、「見れた」は年代が下がるほど高くなり、40代以下で5割を超えて「見られた」を上回りました。逆に標準形「見られた」は年代が上がるほど高くなり、60代以上で5割を超えています。同じ助動詞「られる」でも、世代によって使う形が違うのです。助動詞は「形」と「意味」の両方で見分けるという学習が、実際の言葉のちがいを説明する手がかりになります。

出典:文化庁「平成27年度『国語に関する世論調査』の結果について」

「れる・られる」は尊敬語にもなる発展

授業で習う「受身・可能・自発・尊敬」のうち、尊敬の使い方は敬語と直結します。文化庁の文化審議会答申「敬語の指針」は、「行かれますか」も尊敬の表現だと認めたうえで、東京圏では「いらっしゃいますか」のほうが敬意の程度が高いと説明しています。同じ助動詞でも、文脈しだいで意味も丁寧さも変わることがわかります。

出典:文化審議会答申「敬語の指針」(文化庁)

「お読みになられる」が誤りとされる理由発展

「敬語の指針」は、「お読みになる」と尊敬語にしたうえでさらに尊敬の助動詞「…れる」を重ねた「お読みになられる」を、敬語を二重に使った「二重敬語」として原則適切でないとしています。尊敬の意味をもつ「れる・られる」の正体を知っていると、ていねいにしようとして敬語を重ねすぎる失敗を避けられます。

出典:文化審議会答申「敬語の指針」(文化庁)

方言にも尊敬の言い方がある ── 関西の「〜はる」発展

尊敬語の「れる・られる」は全国共通語の形ですが、「敬語の指針」によれば、関西地方では「〜はる」がこれと似た意味の尊敬語として広く使われています。共通語の尊敬語とは違い、「うちの父さん、家にいてはります」のように身内について述べるときにも使われる点が特徴です。助動詞の尊敬表現が地域ごとに豊かに広がっていることがわかります。

出典:文化審議会答申「敬語の指針」(文化庁)