説明文とは ──「わかってもらう」ための文章
説明文は、筆者の主張とそれを支える理由・具体例が、段落という単位で積み重なってできています。次の記事(小説・詩の読み方)で扱う文学的文章とは対照的に、説明文では「筆者がいちばん言いたいこと」を本文中の言葉から根拠を持って探し出すことができます。
形式段落と意味段落
①氷は、水にぷかぷかと浮きます。
②氷は、水が凍って固まったものです。ふつう、物は凍って固体になると、体積が小さくなり、同じ体積での重さ(密度)は大きくなります。
③しかし、水は例外です。水が氷になるとき、水の分子が規則正しく並び、すきまの多い構造になります。そのため、氷は同じ体積の水よりも軽くなります。
④だから、氷は水に浮くのです。この性質のおかげで、冬の池では表面に氷ができても、下の水は凍らずに残ります。
この文章を意味段落に分けると、①が「はじめ(問い)」、②③が「中(説明)」、④が「おわり(結論)」の3つの意味段落にまとまります。形式段落の数と意味段落の数は一致しないことが多いので、注意が必要です。
中心文の見つけ方
段落③の中心文は「そのため、氷は同じ体積の水よりも軽くなります。」── 「水の分子が規則正しく並び…」の文は、この結論を導くための理由にあたる。
接続語に注目 ── 読解のヒント
接続語は、前後の文の関係を示す道しるべです。種類によって、後ろにどんな内容が来るか予想がつきます。
- 順接(だから・そのため・すると) ── 前の内容が原因・理由になり、結果が続く。
- 逆接(しかし・だが・ところが) ── 前の内容と反対・対立する内容が続く。筆者が強調したいことが来やすい。
- 並列・添加(また・そして・さらに) ── 前の内容に付け加える。
- 対比(一方・それに対して) ── 2つのものを比べる。
- 例示(たとえば・具体的には) ── 前の内容の具体例が続く。
- まとめ・言い換え(つまり・このように・要するに) ── 直後の文は要旨に直結しやすい。
- 理由(なぜなら) ── 前の内容の理由が続く。
段落③の「しかし」は、②で述べた「ふつうのルール」への例外が続く合図。ここに筆者が伝えたい氷の特別さが表れている。
段落④の「だから」は、③までの理由を受けた結論の合図。
要旨のまとめ方
- 各形式段落の中心文を書き出す。
- 具体例や言い換えの部分を削り、主張だけを残す。
- 残った内容を、自然な1〜2文につなげる。
「水は凍るときに分子がすきまの多い構造になるため、氷は水より軽くなり、水に浮く。」
具体例と主張の区別
- 具体例は削っても文章の骨組みが崩れない。主張は削ると文章の目的が失われる。
- 「たとえば」「具体的には」を探し、その前後にある一般的な文(主張文)をセットで確認する。
- 具体例が2つ以上並ぶときは、共通点をまとめると主張に近づく。
この単元でつまずきやすいところ
説明文の読解は、段落の役割を追っている途中で「どれが大事な文だっけ?」と迷いがちです。形式段落と意味段落を混同したり、具体例を主張だと思い込んだり。読み進める途中で起きる典型的な迷いを、見分け方の手順で整理します。
形式段落と意味段落を同じものと思い込んでしまう
- つまずく場面:教科書の①②③④という段落番号を見ている途中で、この4つがそのまま「はじめ・中・中・おわり」の4部構成だと思い込み、意味段落を数え直さずに読み進めてしまう場面。
- 克服のコツ:形式段落は見た目の区切り、意味段落は内容の区切りという、切り口の違いをまず確認します。接続語や話題の変化を手がかりに、形式段落どうしをグループ化し直す手順にします。
- ミニ例:氷の例文では形式段落は4つだが、意味段落は「①(はじめ)/②③(中)/④(おわり)」の3つ。②と③は別々の形式段落でも、同じ意味段落にまとまります。
具体例を中心文だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「たとえば」で始まる具体的な一文を読んでいる途中で、内容が具体的でわかりやすいために、そのまま「これが段落の一番大事な文だ」と決めて先に進んでしまう場面。
- 克服のコツ:具体例は削っても文章の骨組みが崩れないという基準で判定します。「たとえば」の前後にある、より一般的な言い方をした文を中心文の候補として先に確認する順序にします。
- ミニ例:「動物にはさまざまな体温調節の方法がある。たとえば、犬は舌を出して熱を逃がす。」では、中心文は前の一文。「犬は舌を…」は具体例にすぎません。
「しかし」の後を読み流してしまう
- つまずく場面:段落の前半をていねいに読んだ後、「しかし」から始まる後半に差がかかると、もう内容を理解したつもりで軽く読み流し、そのまま次の段落に進んでしまう場面。
- 克服のコツ:逆接の接続語の直後は、筆者が本当に伝えたい内容が来やすいという優先順位をつけます。「しかし」「ところが」を見つけたら、そこで一度立ち止まって読み直す習慣にします。
- ミニ例:氷の例文の「しかし、水は例外です。」を読み流すと、その後の「すきまの多い構造」という核心の説明を取り落としてしまいます。
要旨を「印象に残った1文」で決めてしまう
- つまずく場面:要旨をまとめる問題で、本文の中で自分がおもしろいと感じた一文をそのまま抜き出して答え、他の段落の中心文と見比べずに解答してしまう場面。
- 克服のコツ:要旨はすべての形式段落の中心文をつないで作るという手順を固定します。1つの段落だけから答えを作らず、「はじめ・中・おわり」の中心文をすべて並べてから、重なる部分をまとめます。
- ミニ例:氷の例文の要旨を④の文だけで作ると「氷は水に浮く」で終わってしまい、「なぜ」の部分(すきまの多い構造)が抜け落ちます。
練習問題
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はじめ:①/中:②③/おわり:④
②と③は別の形式段落だが、どちらも「なぜ氷が軽くなるのか」を説明する内容でまとまっている。
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「そのため、氷は同じ体積の水よりも軽くなります。」
「水の分子が規則正しく並び…」の文は、この結論を導く理由にあたる。
ア 氷は冬の池の表面にできる。
イ 水は凍るときに分子がすきまの多い構造になるため、氷は水より軽くなり、水に浮く。
ウ 物はふつう凍ると重くなる。
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答え:イ
アは④の中の一部の具体的な情報にすぎず、ウは②だけの内容で、③の「例外」と④の「結論」を欠いている。イが、はじめ・中・おわりの中心文をつないだ内容になっている。
まとめ
- 説明文は、筆者が読み手にわかってもらうために書く論理的文章。
- 形式段落は見た目の区切り、意味段落は内容の区切り。数が一致しないことが多い。
- 中心文はその段落で最も言いたいこと。具体例は削っても骨組みが崩れない。
- 接続語は読解の道しるべ。とくに逆接(しかし)とまとめ(つまり)の直後に注目する。
- 要旨は各段落の中心文をつないで作る。1文だけの印象で決めない。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
読解力は国際調査でも測られている実生活
OECDが実施する「生徒の学習到達度調査」(PISA)2022では、日本の15歳の読解力は516点で、参加81か国・地域中3位、OECD加盟国中では2位という結果でした。文章から必要な情報を取り出し、筆者の主張を読み取る力が、国際的な調査の対象になっています。
2003年の調査結果が、国語の授業を変えた発展
日本は2000年の第1回PISA調査に比べ、2003年調査で読解力の順位を落としました。文部科学省はこれを受けて学習指導要領を見直し、資料を読んで自分の考えをまとめ、根拠を示して説明する「言語活動の充実」を各教科で重視するようになりました。段落の要点をつかむ練習は、この流れの中にあります。
PISAが測る「読解力」は3つの力に分けられる発展
PISAの読解力調査は、①文章から必要な情報を探し出す力、②文章の意味を理解し解釈する力、③内容を自分の知識と結びつけて評価し、考えをまとめる力の3つの過程で測られています。中心文を探し、要旨をまとめる今回の練習は、この3つの力の土台になります。
