デジタルこどもBASEのロゴ特定非営利活動法人デジタルこどもBASE
中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

等式と不等式 ── 関係を式で表す

2章のしめくくり。文字式を使って 「2つの数量の関係」を表す ── これが 等式(=でつなぐ)と 不等式(≦, ≧, <, >でつなぐ)です。3章の「方程式」、その先の「関数」「不等式の活用」へと、ここから一気に世界が広がります。

等式:=で結ばれた式

用語
等式(とうしき)
2つの式を =(イコール) で結んだ式。
例:3x + 2 = 14 / a + b = b + a
用語
左辺・右辺・両辺
  • 左辺(さへん)==の左にある式
  • 右辺(うへん)==の右にある式
  • 両辺(りょうへん)=左辺と右辺の両方

例:3x + 2 = 14 では、左辺は 3x + 2、右辺は 14。

等式の構造 3x + 2 = 14 左辺 右辺 (両辺=左辺と右辺の両方)
図1:等式の構造

不等式:大小を表す式

用語
不等式(ふとうしき)
2つの式を 不等号(<、>、≦、≧)で結んだ式。
例:x > 5(x は 5 より大きい)/ 2a + 1 ≦ 10(2a + 1 は 10 以下)

不等号は1章の数の大小で学んだものと同じ4種類:

  • < 〜より小さい(〜未満)
  • > 〜より大きい
  • ≦ 〜以下(イコール含む)
  • ≧ 〜以上(イコール含む)

数量の関係を式で表す

等式・不等式を作るには、2つの数量がどんな関係かを読み取って、=や不等号でつなぎます。

例題で慣れる

例1:「ある数 x を3倍して2を足したら、20になった」

  → 3x + 2 = 20(等式)

例2:「100円のリンゴを x 個と、150円のミカンを5個買うと、合計1000円以下」

  → リンゴの代金 100x、ミカン代金 150×5 = 750

  → 100x + 750 ≦ 1000(不等式)

例3:「縦 a cm、横 b cm の長方形の周の長さは 30cm 以上」

  → 周の長さ 2(a+b)

  → 2(a + b) ≧ 30

「○○以上」「○○以下」の使い分け

言葉と不等号の対応
  • 「x は a より大きい」 → x > a (イコール含まない)
  • 「x は a 以上」    → x ≧ a (イコール含む)
  • 「x は a より小さい」 → x < a
  • 「x は a 以下」    → x ≦ a
  • 「x は a 未満」    → x < a (「未満」は「より小さい」と同じ)

「以上」「以下」は その値を含む、「より大きい」「より小さい」「未満」は 含まない。文章題でよくある区別なので注意。

方程式と不等式の予告

2章で学んだ等式・不等式は、3章「方程式」につながります。

  • 方程式:x のような未知の数を含む等式(例:3x + 2 = 14)。これを満たす x を求めるのが 「方程式を解く」。
  • 不等式の活用:高校でさらに詳しく学ぶ。中1ではまだ「式で表す」までで、解くのは未来の話。

つまり今回は 「関係を式で書ける」ところまでが目標。解くことはまだ要求されません。

この章でつまずきやすいところ

等式と不等式は、文章で書かれた数量関係を=や不等号で式にする単元です。本文を読んでいる途中で「言葉を演算に置きかえる」「不等号の向き」「イコールを含むか」で迷いやすいので、よくある迷いの場面を整理します。

「xより3大きい」を引き算と思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の「ある数 x を3倍して2を足したら20」を読んでいる途中で、似た言い回しの「xより3大きい」と混ざり、3を引くのか足すのか分からなくなって式が止まってしまう場面です。
  • 克服のコツ:言葉と記号の対応で見分けます。「大きい・増えた・足した」は+、「小さい・減った・引いた」は−という言葉と記号の対応として覚えると、文章のどの語が+/−を決めているかが追えるようになります。
  • ミニ例:「xより3大きい数」はx+3、「xより3小さい数」はx−3。本文の例1「3倍して2を足す」は3x+2と書き表します。

「以下」と「より小さい」を同じ意味だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:練習問題で「代金は1500円以下」と「500円より高くなる」を続けて読む途中、どちらも大小を表す言葉なので≦と<の使い分けが曖昧になり、不等号にイコールを付けるか付けないかで手が止まる場面です。
  • 克服のコツ:その値を含むかどうかという見分け方で整理します。「以上・以下」はその値を含むので≧・≦、「より大きい・より小さい・未満」はその値を含まないので>・<になる、と区別すると迷いが減ります。
  • ミニ例:1個200円のおかしをx個買うとき、「1500円以下」は200x≦1500(1500を含む)、「代金が500円より高い」は200x>500(500は含まない)と書き分けます。

左辺と右辺を逆にして読んでしまう

  • つまずく場面:本文の等式 3x+2=14 を読み返す途中、「左辺は何だっけ」と迷い、計算結果の14を左に書きたくなったり、右辺と左辺の役割を入れ替えて読んでしまう場面です。
  • 克服のコツ:位置関係で固定します。等号や不等号を境にして、左にある式が左辺、右にある式が右辺、両方合わせて両辺。式を読むときは必ず=の位置を先に見つけ、そこから左右を分けると構造がぶれません。
  • ミニ例:3x+2=14 では、左辺=3x+2、右辺=14。2(a+b)≧30 でも、左辺=2(a+b)、右辺=30と分けて読みます。

単位や個数を式に入れ忘れてしまう

  • つまずく場面:本文の「100円のリンゴをx個と150円のミカンを5個買い、合計を1000円以下にしたい」を読む途中で、x個の方は100xと書けたのに、ミカンの代金を150のままにして合計を立ててしまい、式が合わないと気づいて止まる場面です。
  • 克服のコツ:言葉と式の対応を順に確認します。文章題ではまず「1個の値段×個数」で代金を出し、円・個・cmなどの単位をそろえてから等号や不等号でつなぐ、という時系列で式を組み立てると抜けがなくなります。
  • ミニ例:「100円×x個+150円×5個が1000円以下」は、まずミカン代を150×5=750と整え、100x+750≦1000と書きます。

練習問題

問題1(等式に表す)
次の数量関係を、等式で表しなさい。
  1. ある数 x を5倍して3を引いたら、12になった
  2. 1個 a 円のお菓子を 4個買うと、合計 800円
  3. 縦 x cm、横 y cm の長方形の面積が 24 cm²
答えを見る

(1) 5x − 3 = 12

(2) 4a = 800(または a × 4 = 800)

(3) xy = 24(面積=縦×横)

問題2(不等式に表す)
次の数量関係を、不等式で表しなさい。
  1. ある数 x は 10 より大きい
  2. 1個 200円のリンゴを x 個買うと、代金は 1500円以下
  3. 1冊 a 円のノートを 3冊買うと、500円より高くなる
答えを見る

(1) x > 10

(2) 200x ≦ 1500(「以下」なので≦)

(3) 3a > 500(「より高くなる」なので>)

問題3(記述)
「縦 a cm、横 b cm の長方形の周の長さが 50 cm 以上」を不等式で表し、左辺と右辺がそれぞれ何を表しているか答えなさい。
答えを見る

不等式:2(a + b) ≧ 50(または 2a + 2b ≧ 50)

左辺 2(a + b):長方形の周の長さ(縦と横の和を2倍)

右辺 50:基準となる長さ(cm)

不等号 ≧ は「以上」を意味するので、左辺の周の長さが右辺の50以上ある、という関係を表している。

まとめ ── 2章のおさらい

  • 等式:=で結ぶ。左辺・右辺・両辺。
  • 不等式:<、>、≦、≧で結ぶ。「以上/以下」はイコール含む、「より大きい/より小さい/未満」は含まない。
  • 2章の流れ:文字を使う意味 → 積・商の表し方 → 代入 → 1次式と項 → 加減乗除 → 等式・不等式。
  • 次章「3章 一次方程式」で、ここで学んだ等式 3x + 2 = 14 を 解いて x を求める ようになる。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

天気予報の「猛暑日」も不等式でできている実生活

気象庁は最高気温(x℃とする)が25℃以上の日を夏日、30℃以上を真夏日、35℃以上を猛暑日と定めています。これは『x≧35なら猛暑日』のように、不等号の「以上」を使った数量関係そのものです。教科書で学ぶ≧の意味が、毎日のニュースの言葉に直結していることがわかります。

出典:気象庁(気象庁キッズページ「真夏日や猛暑日ってどんな日なの?」)

熱中症の「厳重警戒」は28以上31未満という範囲の式実生活

環境省の暑さ指数(WBGT)では、値をxとすると25未満が「注意」、25以上28未満が「警戒」、28以上31未満が「厳重警戒」、31以上が「危険」と区分されます。とくに厳重警戒は『28≦x<31』という、下限と上限を両方そなえた範囲の不等式で表せます。命を守る情報も、以上・未満の区別で正確に定められているのです。

出典:環境省 熱中症予防情報サイト(暑さ指数(WBGT)について)

BMIは等式で計算し、肥満かどうかは不等式で判定する実生活

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、BMIは『BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗』という等式で計算します。そして日本ではこの値が25以上、つまり『BMI≧25』のとき肥満と判定されます。同じ場面で等式(計算)と不等式(判定)の両方が使われている、わかりやすい例です。

出典:厚生労働省 e-ヘルスネット(BMI)

「お酒」かどうかも不等号一つで決まる発展

酒税法では、酒類を「アルコール分1度以上の飲料」と定義しています。アルコール分をx度とすると『x≧1』なら酒類、そうでなければ酒類ではない、という不等式で線引きされているのです。たった一つの不等号が、税金や販売のルールの境目になっています。

出典:国税庁(タックスアンサー/酒税 Q1 酒類の定義)

選挙で投票できるのは「満18歳以上」という不等式発展

公職選挙法の改正により、2016年から選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられました。年齢をx歳とすると、投票できる条件は『x≧18』という不等式で表せます。それまでは満20歳以上(x≧20)だったので、不等号の右側の数が変わると、社会のしくみそのものが変わることがわかります。

出典:総務省(選挙権年齢の引下げについて)