この章でつまずきやすいところ
文字式の問題を解いていると、「あれ、これってまとめていいの?」「カッコは要る?」と手が止まる場面がよくあります。ここでは解く途中で生まれる迷いを4つ取り上げ、見分け方のコツでスッキリさせます。
文字部分が違うのに同類項としてまとめてしまう
- つまずく場面:「3a+2b を計算しなさい」と書いてあるのに、何か答えを出したくて 5ab と書きそうになる。問題21や問題22の文字が並んだ式を見ると、つい全部足したくなって手が止まる場面。
- 克服のコツ:見分け方でいくと、まず文字部分(文字の種類と指数の組み合わせ)が完全に同じかを確かめる。a と b のように文字が違えばまとめられないし、a と a² のように指数が違っていても別の項。係数だけが違っていて文字部分がそっくり同じときだけ、係数を足し引きする。
- ミニ例:3a+2b はこれ以上まとめられない(文字が違う)。一方 2x+3x は文字部分が同じ x だから (2+3)x=5x。a²+2a も指数が違うのでそのまま。
負の数を代入するときにカッコを書き忘れてしまう
- つまずく場面:問題15「x=−3 のとき 2x+7」を解こうとして、つい 2×−3+7 と書いてしまう。さらに問題16「x=−2 のとき x²」では x² に −2 を入れて −4 と書きたくなる、その瞬間に手が止まる場面。
- 克服のコツ:位置関係で覚えるとよい。文字があった場所にカッコごと数を置くと決める。x² なら ( )² の形に書き換えてから −2 を入れる。こうすると符号と累乗のミスが消える。負の数・分数を代入するときは必ずカッコを使う、と手の動きごと決めておく。
- ミニ例:x=−2 のとき x² は (−2)²=4(符号は+になる)。カッコを忘れると −2²=−4 になり符号を落とす。x=−3 のときの 2x+7 も 2×(−3)+7=1 と書く。
引き算のカッコを外すときに後ろの符号を変え忘れる
- つまずく場面:問題24「(5x+2)−(2x+8)」や問題25「(7a−3)−(4a−9)」を解く途中、前のカッコは外せたのに、後ろの −( ) の中の符号を直し忘れて 5x+2−2x+8 と書いてしまい、答えが合わない場面。
- 克服のコツ:因果関係で押さえる。マイナスがカッコの前にあるとき、それは中のすべての項に−1をかけるという意味。だから外すと中の符号がすべて反対になる。「マイナスのカッコ外し=中身の符号を全部ひっくり返す」と一動作にする。
- ミニ例:(5x+2)−(2x+8)=5x+2−2x−8=3x−6。後ろの +8 が −8 に変わる。(7a−3)−(4a−9) なら −9 が +9 に変わって 3a+6。
数量を文字で表すとき、何を文字にするか決めないまま書き始める
- つまずく場面:問題33「リンゴ x 個とミカン 5個の代金」や問題37「x の3倍より2小さい数」を読んでいる途中、「3倍」「2小さい」という言葉だけ拾って 2−3x のように順序が逆の式を書きそうになる場面。
- 克服のコツ:時系列で式を組み立てる。まず何を x にするかを最初に確認し、次に「○倍する」「□を足す/引く」を文章の順に式へ写す。「より小さい」「引く」で迷ったら、「Aより2小さい数」は A−2、「Aから2を引いた数」も A−2 と具体例で確かめる。
- ミニ例:「x の3倍より2小さい数」は、3倍 → 2引く の順で 3x−2。リンゴ x 個とミカン 5個の代金なら、リンゴ1個 a 円・ミカン1個 b 円として a×x と b×5 を足して ax+5b(円)。仮にリンゴ1個 80円・ミカン1個 120円なら 80x+600(円)。
基本(20問)── 表記と代入
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標準(20問)── 1次式の四則と数量を文字で
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応用(10問)── 等式・不等式・総合
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もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
BMIは「体重÷身長÷身長」という文字式そのもの実生活
健康診断で使うBMIは、体重をw(kg)、身長をh(m)とすると w÷h÷h(つまり w/h²)で求められる文字式です。厚生労働省の情報サイトでは、日本ではこの値が25以上だと肥満と判定されると説明されています。身長と体重という2つの量の関係を1つの式で表す、まさに文字式の使い方です。
熱中症の危険度を表す暑さ指数も文字式で計算する実生活
夏のニュースで聞く暑さ指数(WBGT)は、湿球温度・黒球温度・乾球温度という3つの測定値に係数をかけて足し合わせた式で求めます。環境省によると屋外では「0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度」で計算されます。係数(係数の意味)をかけて項を足すという、1次式の計算がそのまま命を守る指標になっています。
代入で1つの式から何通りもの答えが出せる発展
文字式の便利さは、文字に入れる数を変えるだけで同じ式から何通りもの答えが得られる点にあります。たとえばBMIの式に自分の体重と身長を代入すれば自分の値が、家族の数を代入すれば家族の値が出ます。1つの式が「数量の関係を一般的に表す道具」になっていることが、代入を通して実感できます。
ひまわりの種の並びにひそむ数の規則性発展
ひまわりの種や葉のつき方は、前の2つの数を足すと次の数になる「フィボナッチ数列(1,1,2,3,5,8,13…)」の規則にしたがって並んでいます。基礎生物学研究所によると、多くの植物の葉は約137.5度(黄金角)ずつずれてらせんを描き、これがフィボナッチらせんと呼ばれます。問題集の「規則性」で学ぶ、1個増えると何が増えるかを式で表す考え方が、自然界にも見られます。
「代数(algebra)」という言葉は約1200年前のアラビアが起源発展
文字を使って数量を扱う「代数(英語でalgebra)」という言葉は、9世紀のバグダードで活躍した数学者アル・フワーリズミーの著書の題名にある「アル・ジャブル」が語源だと、百科事典に記されています。みんなが今学んでいる文字式の考え方は、千年以上も前から世界中で受けつがれてきた知恵なのです。
