この章でつまずきやすいところ
一次方程式の51問を解いている途中、式の変形や文章題の立式で「あれ、どっちだっけ?」と止まる瞬間があります。ここでは問題を解く途中で起きやすい4つの迷いを取り上げ、見分け方と一緒に整理します。
移項するときに符号を変えるか迷う
- つまずく場面:問題2の「x − 3 = 8」で、右辺に3を移すときに「+3 になるんだっけ、−3 のままだっけ」と手が止まる場面。左辺に残す数と右辺に渡す数で頭が混ざってしまう。
- 克服のコツ:見分け方は「向こう岸に渡るときだけ符号が変わる」と覚えること。左辺に残る数はそのまま、辺をまたいで反対側へ動く数だけ符号が反転する。等式の性質「両辺に同じ数を足す/引く」を短く書いた操作なので、両辺に何を足したかを意識すると迷いが減る。
- ミニ例:x − 3 = 8 で 3 を右に移すと x = 8 + 3。これは両辺に +3 を足した結果。一方、左辺の x はそのまま動かないので符号は変わらない。
分母を払うとき一部の項にだけ掛けてしまう
- つまずく場面:問題25の「(x+1)/2 + (x−2)/3 = 4」で両辺に6を掛けるとき、分数の項だけ掛けて右辺の 4 に掛け忘れる場面。「分母のあるところだけ片付ければいい」と感じてしまう。
- 克服のコツ:見分け方は「両辺の全部の項に同じ数を掛ける」と決めておくこと。等式の性質は「両辺すべてに同じ操作」が前提なので、分数のない項(整数や右辺の定数)にも必ず掛ける。掛けた直後に式を一度書き写し、項の数が前後で同じか確認するとミスが減る。
- ミニ例:(x+1)/2 + (x−2)/3 = 4 に両辺×6 → 3(x+1) + 2(x−2) = 24。右辺の 4 にも 6 を掛けて 24 になる点が要。
文章題で何を x とおくか迷う
- つまずく場面:問題37「兄と弟の年齢の和は40歳、兄は弟より6歳年上」で、兄を x にするか弟を x にするかで手が止まる場面。どちらでも解けそうで、立式の入り口で時間を使ってしまう。
- 克服のコツ:見分け方は因果関係で考え、「他の数量がそこから決まる側」を x にすること。弟を x にすれば兄は x+6 と自動で決まる。「〜より多い/少ない」の基準側を x にすると、もう一方を式で表しやすく、立式と検算がそろえやすい。
- ミニ例:弟を x とおくと兄は x+6。和の式は x + (x+6) = 40 → x=17(弟)、兄は 23 歳。基準側を x にしたので式が一行で済む。
比例式で内項と外項の積をどちら同士にするか迷う
- つまずく場面:問題16「x : 4 = 6 : 8」で、どの数とどの数を掛ければよいか分からず止まる場面。比の左右を見比べているうちに、x と 6 を掛けたくなったり 4 と 6 を掛けたくなったりする。
- 克服のコツ:見分け方は位置関係で覚えること。a : b = c : d のとき、外側どうし a×d と内側どうし b×c が等しくなる。両端(外項)の積と真ん中(内項)の積が等しい、と位置で覚えると「どれと掛けるか」で迷わなくなる。
- ミニ例:x : 4 = 6 : 8 では外項の積 x×8、内項の積 4×6。よって 8x = 24 となり x = 3。位置で見れば「両端」と「真ん中」をそれぞれ掛けるだけ。
基本(20問)── 移項と基本解法
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標準(20問)── 分数・小数・カッコ
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応用(11問)── 文章題と総合
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もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「algebra(代数)」はアラビア語が語源発展
方程式の学習を英語で algebra(代数)といいますが、これは9世紀のバグダードで活躍した数学者フワーリズミーの著書名にあるアラビア語 al-jabr に由来します。その本は一次方程式や二次方程式の解き方を体系的にまとめたもので、皆さんが今学ぶ「方程式を整理して解く」技術の出発点になりました。
「アルゴリズム」も同じ数学者の名前から発展
コンピュータの計算手順を表す「アルゴリズム(algorithm)」という言葉も、方程式の本を書いた数学者フワーリズミーの名前が語源です。彼の本のラテン語訳の冒頭にあった「Algoritmi dicti(フワーリズミー曰く)」という一節が、そのまま言葉として広まりました。
食塩水の問題は「減塩」の科学につながる実生活
問題48のような食塩水の濃度計算は、健康のための減塩を考えるときに役立ちます。厚生労働省の食事摂取基準(2025年版)では1日の食塩の目標量を成人男性7.5g未満・女性6.5g未満としていますが、令和5年の調査では日本人の平均は9.8gで、目標を大きく上回っています。
食品ラベルの「食塩相当量」も計算でわかる実生活
加工食品の栄養成分表示では、ナトリウム量ではなく「食塩相当量」を表示することがルールになっています。食塩相当量はナトリウム量のおよそ2.54倍(=58.5÷23)で計算でき、これも比や式を使って数量を求める考え方そのものです。
「移項」は等式の性質を短く書いたもの発展
移項で符号が変わるのは魔法ではなく、両辺に同じ数を足したり引いたりしても等式は成り立つ、という性質を短く書いただけです。だからこそ求めた解を元の式に代入すれば必ず両辺が等しくなり、自分で答えを確かめられます。
