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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

無脊椎動物 ── 節足動物と軟体動物

前回までは「背骨のある動物(脊椎動物)」を5つに分けて整理しました。今回はその反対側、背骨のない動物のグループです。実は、地球の動物のうち約95%は背骨を持ちません。チョウもタコもクモもエビもミミズも、みんな無脊椎動物。多すぎて全部は覚えられないので、中学では 節足動物 と 軟体動物 の2つを中心に押さえます。

無脊椎動物 ── 動物界の大多数

動物のうち、背骨(脊椎)を持たないものを 無脊椎動物 といいます。「背骨がない=小さくて単純」と思いがちですが、それは誤解。タコのように高い知能を持つ動物も、クラゲのように体長2mを超えるものもいます。

動物の 約95% は無脊椎動物で、種類の数では脊椎動物よりはるかに多いグループです。代表的な仲間は次のとおり:

  • 節足動物(こん虫・くも・甲殻類・多足類)
  • 軟体動物(イカ・タコ・貝のなかま)
  • そのほか(環形動物・棘皮動物・刺胞動物 など)

中学では特に 節足動物 と 軟体動物 をくわしく学びます。

節足動物の特徴(共通点)

名前のとおり「節(区切り)」のある足を持つ動物のグループです。3つの共通点があります。

特徴1
体に節(区切り)がある
体がいくつかのパーツに区切られて見えます。エビの腹部、こん虫の腹のシマ模様などがその「節」です。
特徴2
外骨格(がいこっかく)でおおわれている
体の外側がかたい殻(から)でおおわれています。これが体を支え、内臓を守る役割をしています。ただし殻は伸びないので、大きくなるには 脱皮(古い殻を脱ぐ)が必要です。セミの抜け殻、エビの脱皮殻はその証拠。
特徴3
足にも節がある
足が何ヶ所かで曲がるようになっています。「節がある足」だから「節足動物」と呼ばれるのです。

節足動物の4グループ

節足動物はさらに4つに分類されます。中学ではここをしっかり区別できることが大事。

こん虫類

  • 体は 頭・胸・腹 の3部分に分かれる
  • 足は 6本、すべて 胸 についている
  • 多くは はね4枚(2対)が胸についている
  • 気管で呼吸(体の側面の「気門」から空気を取り込む)
  • 例:チョウ・ハチ・カブトムシ・バッタ・カマキリ・トンボ・アリ

くも類

  • 体は 頭胸部・腹部 の2部分(頭と胸がくっついている)
  • 足は 8本(こん虫より2本多い)
  • はねはなし
  • 例:クモ・サソリ・ダニ

甲殻類(こうかくるい)

  • 体は2〜3部分(種類で違う)
  • 足は 10本(多くのカニ・エビ)または7対以上
  • えら呼吸(水中生活が多い)
  • 例:エビ・カニ・ザリガニ・ダンゴムシ(陸生だが甲殻類!)・ミジンコ

多足類(たそくるい)

  • 体は頭部と長い胴部
  • 足はたくさん(14本以上)
  • 例:ムカデ・ヤスデ
つまずきポイント:見た目にだまされない
  • クモはこん虫ではない。足が8本でくも類。
  • ダンゴムシも甲殻類。陸にいるのに、なかまはエビ・カニ。元は水の中の動物だった証拠です。
  • ムカデもこん虫ではない。足が多すぎる(多足類)。
  • 「虫っぽいやつ=こん虫」と決めつけず、足の本数と体の分かれ方で判断します。

軟体動物の特徴

軟体動物(なんたいどうぶつ)は「やわらかい体」の動物。節足動物との大きな違いは、節も外骨格もないことです。

特徴1
体に節がない
体は1つのまとまり。区切られていません。だから脱皮もしません。
特徴2
外とう膜(がいとうまく)で内臓を包む
内臓を 外とう膜 という筋肉質の膜が包んでいます。イカの「胴」に見える部分はこの外とう膜。中に内臓が入っています。
特徴3
多くは貝殻を持つ
アサリ・サザエなどは貝殻で身を守ります。イカ・タコは進化の途中で貝殻が体内に退化しました(イカの背中の「軟骨」は貝殻のなごり)。
  • 水中生活が多い(陸生のカタツムリ・ナメクジは例外)
  • 足は外とう膜の下にある(イカの「足10本」、タコの「足8本」、貝の「斧足」)
  • 例:イカ・タコ・アサリ・シジミ・サザエ・ハマグリ・カタツムリ・ナメクジ

節足動物と軟体動物の違い

2つを並べて比較すると、特徴の違いがはっきりします。

節足動物 節: あり 外側: 外骨格(脱皮する) 足: 種類で本数が決まる こん虫6・くも8・カニ10 例: チョウ・クモ エビ・ムカデ 🦋 🕷 🦐 🐜 軟体動物 節: なし 外側: 外とう膜(やわらかい) 足: 外とう膜の下に やわらかい足 例: イカ・タコ アサリ・サザエ 🦑 🐙 🐚 🐌
図1:節足動物と軟体動物のちがい

そのほかの無脊椎動物

節足動物・軟体動物以外にも、無脊椎動物にはたくさんのグループがあります。中学では参考程度にとどめますが、「背骨がない動物はこの2つだけじゃない」ことは知っておきましょう。

  • 環形動物(かんけいどうぶつ):体が輪のような節でできている。例:ミミズ・ヒル・ゴカイ
  • 棘皮動物(きょくひどうぶつ):体に5方向の対称(中心から5方向に等しい形)。例:ヒトデ・ウニ・ナマコ
  • 刺胞動物(しほうどうぶつ):刺す細胞(刺胞)を持つ。例:クラゲ・イソギンチャク・サンゴ

動物全体の分類のまとめ図

前回までの脊椎動物と合わせて、動物全体を1枚の図で見ておきましょう。

動物 脊椎動物 無脊椎動物 魚類・両生類 は虫類・鳥類 ホ乳類 (前回までの5グループ) 節足動物 軟体動物 そのほか こん虫類・くも類 甲殻類・多足類 イカ・タコ 貝のなかま 環形動物 棘皮動物 刺胞動物 動物の約95%は無脊椎動物。種類の数では圧倒的に多い。
図2:動物全体の分類まとめ

この章でつまずきやすいところ

無脊椎動物は種類が多く、見た目だけで判断するとクモをこん虫だと思ったり、ダンゴムシを多足類だと思ったりしがちです。本文を読む途中で迷いやすい場面を取り上げ、足の本数や体の分かれ方など「分類の根拠」に立ち返る視点を整理します。

クモをこん虫の仲間だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の「節足動物には4グループある」を読みながら、クモの写真を見て「小さくて足がたくさんあるからこん虫類だろう」と早合点する場面。読み進める前に分類を決めてしまい、くも類の説明をうっかり読み飛ばしてしまう。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。足の本数と体の分かれ方の2点だけを確認すれば迷いません。こん虫類は足6本・体3部分(頭・胸・腹)、くも類は足8本・体2部分(頭胸部・腹部)。「虫っぽい見た目」は判断材料にしないと決めておくのがコツです。
  • ミニ例:クモは足が8本で頭胸部と腹部の2部分のためくも類。同じ節足動物でも、こん虫類とは別グループとして整理します。

ダンゴムシを多足類だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:練習問題でダンゴムシを分類する場面。「陸にいて足がたくさんあるからムカデと同じ多足類だろう」と考えてしまい、本文の「ダンゴムシも甲殻類」という1文を見落としてしまう。
  • 克服のコツ:体のつくりで整理します。甲殻類はエビ・カニのなかま(多くは水中生活)ですが、ダンゴムシは陸上で生活しながらも外骨格や脚の関節構造などの体のつくりから甲殻類に分類されます。陸上で生活する甲殻類の例として紹介されます。足の数だけでなく、体のつくり全体で見るのがコツです。
  • ミニ例:ダンゴムシは陸生ですが、エビ・カニと同じ甲殻類。「ダンゴ虫」という名前につられず、教科書の整理どおり甲殻類に入れます。

イカ・タコを魚の仲間だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の「軟体動物は水中生活が多い」を読んでいる途中、イカやタコの絵を見て「水中にいるから魚の仲間だろう」と感じてしまう。脊椎動物の単元の記憶が残っていて、つい魚類の枠に入れたくなる場面。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。まず背骨の有無で大きく分け、次に外とう膜の有無を見ます。イカ・タコは背骨がなく、内臓を外とう膜が包んでいるので軟体動物。イカの胴に見える袋のような部分の外側を覆う膜が外とう膜だと知っておくと、本文の図とつながって迷いません。
  • ミニ例:イカの胴に見える袋のような部分が外とう膜で、その内側に内臓が収まっています。背骨がないので魚類ではなく軟体動物として整理します。

「脱皮するのは節足動物だけ」の意味を取り違えてしまう

  • つまずく場面:本文の「外骨格は伸びないので脱皮する」を読んでいる途中、「やわらかい軟体動物も大きくなるなら脱皮するのでは?」と疑問がわく場面。脱皮の理由を押さえる前に、すべての無脊椎動物に当てはめてしまう。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。かたくて伸びない外骨格を持つ節足動物は、成長のために殻を脱ぐ必要があります。一方、軟体動物は貝殻を縁から少しずつ大きくしたり、外とう膜が体に合わせて伸びたりするので、まるごと脱ぐ必要がありません。脱皮の有無は「外骨格(節足動物のかたい殻)を持つかどうか」で決まります。
  • ミニ例:セミの抜け殻やエビの脱皮殻は外骨格を脱いだあと。アサリやイカは「かたくて伸びない外骨格」を体表に持たないため、成長に合わせて体を覆う膜が伸び、脱皮の必要がありません。

練習問題

問題1(分類)
次の10種類の動物を、ア〜オのグループに分類しなさい。
チョウ・タコ・クモ・カニ・ミミズ・カタツムリ・ムカデ・サンゴ・アリ・サザエ
ア.こん虫類 イ.くも類 ウ.甲殻類 エ.多足類 オ.軟体動物 カ.そのほか(環形・棘皮・刺胞)
答えを見る

ア.こん虫類:チョウ・アリ(足6本・体3部分)

イ.くも類:クモ(足8本・体2部分)

ウ.甲殻類:カニ(足10本・えら呼吸)

エ.多足類:ムカデ(足が14本以上)

オ.軟体動物:タコ・カタツムリ・サザエ(外とう膜・節なし)

カ.そのほか:ミミズ(環形動物)・サンゴ(刺胞動物)

問題2(記述)
次の問いに答えなさい。
  1. 節足動物に共通する3つの特徴を書きなさい。
  2. こん虫の体のつくりを、体の分かれ方・足の数・はねの数で説明しなさい。
  3. 節足動物が成長のために脱皮をしなければならない理由を説明しなさい。
答えを見る

(1) ① 体に節がある ② 外骨格でおおわれている ③ 足にも節がある

(2) 体は 頭・胸・腹の3部分 に分かれ、足は胸に 6本、はねは胸に 4枚(多くの種)ついている。

(3) 節足動物の体の外側は かたい外骨格 でおおわれているが、外骨格は伸びないため、体が大きくなるには古い外骨格を脱いで、新しい大きな外骨格に作り替える必要があるから。

問題3(判別)
次の3種類の動物は、それぞれ何のなかま(節足動物のうちのどのグループ、または軟体動物など)か答えなさい。理由も簡単に書きなさい。
  1. ダンゴムシ
  2. クモ
  3. アリ
答えを見る

(1) 甲殻類。陸にすんでいるが、もとは水中の動物のなかまで、エビやカニと同じグループ。「ダンゴ虫」と書くがこん虫ではない。

(2) くも類。足が 8本、体は頭胸部と腹部の2部分。こん虫(足6本・体3部分)とは違う。

(3) こん虫類。体は頭・胸・腹の3部分、足は6本。はねはないが、ふつうこん虫類。

まとめ

  • 背骨を持たない動物を 無脊椎動物 といい、動物の 約95% を占める。
  • 中学で学ぶ代表は 節足動物 と 軟体動物。
  • 節足動物は 節・外骨格・節のある足 が共通点で、こん虫類・くも類・甲殻類・多足類 の4グループに分かれる。外骨格は伸びないので 脱皮 をする。
  • 軟体動物は 節がなく、外とう膜で内臓を包む。多くは貝殻を持ち、水中生活が中心。
  • 見た目で判断せず、足の本数・体の分かれ方で見分ける。ダンゴムシは甲殻類、クモはくも類(足8本)、ムカデは多足類。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

節足動物が未来の食料に? 「昆虫食」が注目される理由実生活

節足動物のなかまであるコオロギなどの昆虫は、人が必要とする動物性タンパク質を多く含み、牛や豚にくらべて飼育に必要な餌や水が少なくてすみます。そのため環境への負担が小さい食料として、農林水産省も「フードテック」のひとつとして研究や商品化を後押ししています。「虫っぽい=こん虫」とまちがえやすいですが、食用として注目されるのはこん虫類などの節足動物です。

出典:農林水産省「フードテックをめぐる状況」

背骨がなくても賢い ── タコの脳と神経のひみつ発展

軟体動物のタコは無脊椎動物のなかでも特に高い知能をもち、短期記憶だけでなく数か月続く長期記憶があると考えられています。さらにおどろくことに、神経細胞のうち約3分の2は脳ではなく8本の足のほうに分かれて存在し、脳の指令がなくても足が周囲に反応して複雑に動けます。「背骨がない=単純」という思い込みをくつがえす例です。

出典:北海道大学 LASBOS Moodle「頭足類の魅力的な世界」

脱皮はただ殻を脱ぐだけじゃない ── 体が大きくなるしくみ発展

節足動物の外骨格は伸びないため、エビやこん虫は古い殻を脱ぐ脱皮で成長します。じつは脱皮の直前に殻の内側の細胞が分裂してふえ、脱皮の直後、新しい殻がかたまる前に細胞が横に広がることで体を一回り大きくしています。脱皮はホルモンによってタイミングが調節される、計画的なしくみなのです。

出典:京都大学 瀬戸臨海実験所「脱皮で成長する」

アサリやカキが海をきれいにする ── 二枚貝のろ過のはたらき実生活

軟体動物の二枚貝は、入水管から海水を取りこんで植物プランクトンや有機物をこしとって食べ、出水管から水を出します。このろ過のはたらきで水中の汚れがへるため、干潟のアサリやカキは海の水質をきれいに保つ役割を担っています。国立環境研究所などは、二枚貝による水質浄化の効果を研究しています。

出典:国立環境研究所「干潟・浅海域における水質浄化に関する研究」

捨てられていたカニ殻・エビ殻が「宝の山」に ── キチンの利用実生活

甲殻類の外骨格には、キチンという成分がカルシウムやタンパク質とともに含まれています。かつて捨てられていたカニやエビの殻からキチンやキトサンを取り出し、その止血・殺菌のはたらきや人になじみやすい性質を生かして、手術用の糸や、やけどの治療に使う人工皮膚(傷をおおうシート)などに利用されています。節足動物の体の特徴が、私たちの暮らしや医療に役立っているのです。

出典:東京農業大学「カニ殻と人工皮膚 キチンと火傷」