無脊椎動物 ── 動物界の大多数
動物のうち、背骨(脊椎)を持たないものを 無脊椎動物 といいます。「背骨がない=小さくて単純」と思いがちですが、それは誤解。タコのように高い知能を持つ動物も、クラゲのように体長2mを超えるものもいます。
動物の 約95% は無脊椎動物で、種類の数では脊椎動物よりはるかに多いグループです。代表的な仲間は次のとおり:
- 節足動物(こん虫・くも・甲殻類・多足類)
- 軟体動物(イカ・タコ・貝のなかま)
- そのほか(環形動物・棘皮動物・刺胞動物 など)
中学では特に 節足動物 と 軟体動物 をくわしく学びます。
節足動物の特徴(共通点)
名前のとおり「節(区切り)」のある足を持つ動物のグループです。3つの共通点があります。
節足動物の4グループ
節足動物はさらに4つに分類されます。中学ではここをしっかり区別できることが大事。
こん虫類
- 体は 頭・胸・腹 の3部分に分かれる
- 足は 6本、すべて 胸 についている
- 多くは はね4枚(2対)が胸についている
- 気管で呼吸(体の側面の「気門」から空気を取り込む)
- 例:チョウ・ハチ・カブトムシ・バッタ・カマキリ・トンボ・アリ
くも類
- 体は 頭胸部・腹部 の2部分(頭と胸がくっついている)
- 足は 8本(こん虫より2本多い)
- はねはなし
- 例:クモ・サソリ・ダニ
甲殻類(こうかくるい)
- 体は2〜3部分(種類で違う)
- 足は 10本(多くのカニ・エビ)または7対以上
- えら呼吸(水中生活が多い)
- 例:エビ・カニ・ザリガニ・ダンゴムシ(陸生だが甲殻類!)・ミジンコ
多足類(たそくるい)
- 体は頭部と長い胴部
- 足はたくさん(14本以上)
- 例:ムカデ・ヤスデ
- クモはこん虫ではない。足が8本でくも類。
- ダンゴムシも甲殻類。陸にいるのに、なかまはエビ・カニ。元は水の中の動物だった証拠です。
- ムカデもこん虫ではない。足が多すぎる(多足類)。
- 「虫っぽいやつ=こん虫」と決めつけず、足の本数と体の分かれ方で判断します。
軟体動物の特徴
軟体動物(なんたいどうぶつ)は「やわらかい体」の動物。節足動物との大きな違いは、節も外骨格もないことです。
- 水中生活が多い(陸生のカタツムリ・ナメクジは例外)
- 足は外とう膜の下にある(イカの「足10本」、タコの「足8本」、貝の「斧足」)
- 例:イカ・タコ・アサリ・シジミ・サザエ・ハマグリ・カタツムリ・ナメクジ
節足動物と軟体動物の違い
2つを並べて比較すると、特徴の違いがはっきりします。
そのほかの無脊椎動物
節足動物・軟体動物以外にも、無脊椎動物にはたくさんのグループがあります。中学では参考程度にとどめますが、「背骨がない動物はこの2つだけじゃない」ことは知っておきましょう。
- 環形動物(かんけいどうぶつ):体が輪のような節でできている。例:ミミズ・ヒル・ゴカイ
- 棘皮動物(きょくひどうぶつ):体に5方向の対称(中心から5方向に等しい形)。例:ヒトデ・ウニ・ナマコ
- 刺胞動物(しほうどうぶつ):刺す細胞(刺胞)を持つ。例:クラゲ・イソギンチャク・サンゴ
動物全体の分類のまとめ図
前回までの脊椎動物と合わせて、動物全体を1枚の図で見ておきましょう。
この章でつまずきやすいところ
無脊椎動物は種類が多く、見た目だけで判断するとクモをこん虫だと思ったり、ダンゴムシを多足類だと思ったりしがちです。本文を読む途中で迷いやすい場面を取り上げ、足の本数や体の分かれ方など「分類の根拠」に立ち返る視点を整理します。
クモをこん虫の仲間だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「節足動物には4グループある」を読みながら、クモの写真を見て「小さくて足がたくさんあるからこん虫類だろう」と早合点する場面。読み進める前に分類を決めてしまい、くも類の説明をうっかり読み飛ばしてしまう。
- 克服のコツ:見分け方で整理します。足の本数と体の分かれ方の2点だけを確認すれば迷いません。こん虫類は足6本・体3部分(頭・胸・腹)、くも類は足8本・体2部分(頭胸部・腹部)。「虫っぽい見た目」は判断材料にしないと決めておくのがコツです。
- ミニ例:クモは足が8本で頭胸部と腹部の2部分のためくも類。同じ節足動物でも、こん虫類とは別グループとして整理します。
ダンゴムシを多足類だと思い込んでしまう
- つまずく場面:練習問題でダンゴムシを分類する場面。「陸にいて足がたくさんあるからムカデと同じ多足類だろう」と考えてしまい、本文の「ダンゴムシも甲殻類」という1文を見落としてしまう。
- 克服のコツ:体のつくりで整理します。甲殻類はエビ・カニのなかま(多くは水中生活)ですが、ダンゴムシは陸上で生活しながらも外骨格や脚の関節構造などの体のつくりから甲殻類に分類されます。陸上で生活する甲殻類の例として紹介されます。足の数だけでなく、体のつくり全体で見るのがコツです。
- ミニ例:ダンゴムシは陸生ですが、エビ・カニと同じ甲殻類。「ダンゴ虫」という名前につられず、教科書の整理どおり甲殻類に入れます。
イカ・タコを魚の仲間だと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「軟体動物は水中生活が多い」を読んでいる途中、イカやタコの絵を見て「水中にいるから魚の仲間だろう」と感じてしまう。脊椎動物の単元の記憶が残っていて、つい魚類の枠に入れたくなる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。まず背骨の有無で大きく分け、次に外とう膜の有無を見ます。イカ・タコは背骨がなく、内臓を外とう膜が包んでいるので軟体動物。イカの胴に見える袋のような部分の外側を覆う膜が外とう膜だと知っておくと、本文の図とつながって迷いません。
- ミニ例:イカの胴に見える袋のような部分が外とう膜で、その内側に内臓が収まっています。背骨がないので魚類ではなく軟体動物として整理します。
「脱皮するのは節足動物だけ」の意味を取り違えてしまう
- つまずく場面:本文の「外骨格は伸びないので脱皮する」を読んでいる途中、「やわらかい軟体動物も大きくなるなら脱皮するのでは?」と疑問がわく場面。脱皮の理由を押さえる前に、すべての無脊椎動物に当てはめてしまう。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。かたくて伸びない外骨格を持つ節足動物は、成長のために殻を脱ぐ必要があります。一方、軟体動物は貝殻を縁から少しずつ大きくしたり、外とう膜が体に合わせて伸びたりするので、まるごと脱ぐ必要がありません。脱皮の有無は「外骨格(節足動物のかたい殻)を持つかどうか」で決まります。
- ミニ例:セミの抜け殻やエビの脱皮殻は外骨格を脱いだあと。アサリやイカは「かたくて伸びない外骨格」を体表に持たないため、成長に合わせて体を覆う膜が伸び、脱皮の必要がありません。
練習問題
チョウ・タコ・クモ・カニ・ミミズ・カタツムリ・ムカデ・サンゴ・アリ・サザエ
ア.こん虫類 イ.くも類 ウ.甲殻類 エ.多足類 オ.軟体動物 カ.そのほか(環形・棘皮・刺胞)
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ア.こん虫類:チョウ・アリ(足6本・体3部分)
イ.くも類:クモ(足8本・体2部分)
ウ.甲殻類:カニ(足10本・えら呼吸)
エ.多足類:ムカデ(足が14本以上)
オ.軟体動物:タコ・カタツムリ・サザエ(外とう膜・節なし)
カ.そのほか:ミミズ(環形動物)・サンゴ(刺胞動物)
- 節足動物に共通する3つの特徴を書きなさい。
- こん虫の体のつくりを、体の分かれ方・足の数・はねの数で説明しなさい。
- 節足動物が成長のために脱皮をしなければならない理由を説明しなさい。
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(1) ① 体に節がある ② 外骨格でおおわれている ③ 足にも節がある
(2) 体は 頭・胸・腹の3部分 に分かれ、足は胸に 6本、はねは胸に 4枚(多くの種)ついている。
(3) 節足動物の体の外側は かたい外骨格 でおおわれているが、外骨格は伸びないため、体が大きくなるには古い外骨格を脱いで、新しい大きな外骨格に作り替える必要があるから。
- ダンゴムシ
- クモ
- アリ
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(1) 甲殻類。陸にすんでいるが、もとは水中の動物のなかまで、エビやカニと同じグループ。「ダンゴ虫」と書くがこん虫ではない。
(2) くも類。足が 8本、体は頭胸部と腹部の2部分。こん虫(足6本・体3部分)とは違う。
(3) こん虫類。体は頭・胸・腹の3部分、足は6本。はねはないが、ふつうこん虫類。
まとめ
- 背骨を持たない動物を 無脊椎動物 といい、動物の 約95% を占める。
- 中学で学ぶ代表は 節足動物 と 軟体動物。
- 節足動物は 節・外骨格・節のある足 が共通点で、こん虫類・くも類・甲殻類・多足類 の4グループに分かれる。外骨格は伸びないので 脱皮 をする。
- 軟体動物は 節がなく、外とう膜で内臓を包む。多くは貝殻を持ち、水中生活が中心。
- 見た目で判断せず、足の本数・体の分かれ方で見分ける。ダンゴムシは甲殻類、クモはくも類(足8本)、ムカデは多足類。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
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