地層ができる4ステップ
地層は、ある日いきなりできるものではありません。次の4つの作用が 何百年・何千年も繰り返される ことで、少しずつ積み上がっていきます。
1. 風化山の岩石が、温度変化や雨水でひび割れ、表面からくずれていく。
2. 侵食くずれた岩石が、流れる水(川)などにけずられて小さくなる。
3. 運搬けずられた粒(れき・砂・泥)が、川の流れにのって下流へ運ばれる。
4. 堆積河口から海や湖に出た粒が、流れがゆるやかになるところでゆっくり沈み積もる。
このサイクルが何百年・何千年も繰り返され、海底や湖底に少しずつ層が積み上がります。やがて土地が隆起して海面より上に出てくると、私たちが目にするしま模様の地層になります。がけや道路の切り通しなどで、地層が地表にむき出しになっているところを 露頭(ろとう) といいます。地層の観察は、この露頭で「層の重なり方・粒の大きさ・化石の有無」を調べるのが基本です。
粒の大きさで沈む場所がちがう
地層を読むときに最も大事な原理がこれです。粒は大きいほど早く沈み、小さいほど遠くまで運ばれやすい。これだけで「昔の海岸線」が見えてきます。
この粒の大きさと堆積場所の関係は地形にも表れ、山から平地に出るところにれきが積もってできる扇状地、河口に泥が積もってできる三角州という地形につながります(地理でくわしく学ぶ)。
- 1つの場所の地層を下から上に観察したとき、粒が大きい→小さい(れき→砂→泥) に変わっていれば、その場所はだんだん沖(深い海)になっていったことを示す。これを 海進(かいしん) といい、海面が上がったことを表す。
- 逆に 粒が小さい→大きい に変わっていれば、海岸が近づいてきた=海退(かいたい)。海面が下がったことを表す。
堆積岩の6種類
海底や湖底に堆積した粒は、長い年月をかけて上から押し固められ、岩石になります。これを 堆積岩(たいせきがん) といいます。中学では次の6種類を覚えます。
- れき岩・砂岩・泥岩は、粒の大きさで決まる(同じ仲間)。
- 石灰岩は 塩酸で泡(二酸化炭素)。チャートは 塩酸で反応せず・とても硬い。この2つはセットで覚える。
- 凝灰岩は 火山灰。地層に凝灰岩があれば噴火の歴史が分かる。
化石 ── 地層から読む昔の地球(次回詳しく)
地層には、その時代に生きていた生き物の体や、生活の跡が残ることがあります。これを 化石 といいます。化石を含む地層を調べると、その時代の 環境(あたたかかったか・浅い海だったか など) や 年代 が読み取れます。化石については、次回(04-04)でくわしく扱います。
地層の傾きと断層
地層は、もともとは 水平に堆積 します(海底や湖底は平らだから)。ところが、長い時間のうちに大地は動きます。大地が持ち上がることを 隆起、反対に大地が沈むことを 沈降 といい、この動きが地層を傾けたりずらしたりする原因になります。
- しゅう曲:地層が左右から押されて、波のようにおしまげられること。
- 断層:地層が大きな力で ずれた もの。地震のときにできることが多い。
だから今、私たちが目にする地層は、傾いていたり、ずれていたりするのです。「水平に堆積したはずなのに、今は傾いている」という事実が、大地が動いてきた証拠になります。
地層の重なり方の3つのきまり(重要)
地層を読むときの基本ルールは3つだけ。これを覚えれば、地層図を見て「どこが古くて、どこが新しいか」が判断できます。
きまり1下にあるほど古い。普通は、一番下の層が最も古く、一番上が最近の層。下から順に積み上がるから当然。
きまり2同じ高さ・同じ性質の地層は 連続している。離れた場所でも、同じ時代にできた地層なら同じ性質を持つ(鍵層)。
きまり3不整合:地層の間に時間的なすき間がある場合がある。地層が一度地表に出てけずられた後、ふたたび沈んで上に堆積したときにできる。
不整合は、地殻変動の証拠 です。「ここで一度、地面が持ち上がって陸になった」「その後、また沈んで海になった」という大地の歴史を物語っています。
この章でつまずきやすいところ
地層の単元は、岩石の名前(石灰岩とチャートなど)が似ていたり、粒の大きさと沈む場所の関係を逆に覚えてしまったりして、本文を読んでいる途中で迷うことが多い場所です。読みながら立ち止まりやすい4つの場面を、見分けるコツとセットで整理します。
風化・侵食・運搬・堆積の順番がこんがらがる
- つまずく場面:本文で「4ステップ」と出てきた瞬間、風化と侵食のどちらが先かわからなくなり、運搬と堆積もどっちが川でどっちが海か迷ってしまう。問題1を見て、4つを順に説明しようとすると手が止まってしまう。
- 克服のコツ:時系列で「山→川→海」を1本の線に並べるのがコツ。風化は気温変化や水・空気の影響で岩がもろくなる現象(場所を問わない)、侵食は流水などが岩や地表を削り取る作用。風化→侵食→運搬→堆積の順で、場所が「山→海」と下っていく流れと、4つの動詞をセットで覚えると、順番がぶれない。
- ミニ例:山の岩が気温差や水でもろくなり(風化)、川の流れに削られながら(侵食)下流へ運ばれ(運搬)、河口の海で静かに沈む(堆積)。
大きい粒ほど遠くまで運ばれると思い込んでしまう
- つまずく場面:本文を読みながら「れき・砂・泥」のうち、なんとなく大きい粒のほうが勢いよく遠くまで行きそうな気がしてしまう。図1を見ても、れきが海岸近くで泥が沖、という関係が直感と逆に感じて止まってしまう。
- 克服のコツ:「大きい粒ほど早く沈む」と押さえるのがコツ。粒が大きいほど流れがゆるむとすぐ沈むのでれきは海岸近く。粒が小さいほど沈みにくく、その間に遠くまで流されるので泥は最も沖。「遠くまで行く」のは大きさが小さいから、と読みかえる。
- ミニ例:河口でドサッと落ちるのがれき、少し沖でゆれながら沈むのが砂、深い海までふわふわ漂って沈むのが泥。
石灰岩とチャートが同じものに見えてしまう
- つまずく場面:堆積岩6種類の本文を読んでいる途中、石灰岩とチャートはどちらも生物の遺骸が関わると書いてあり、名前も似ているので、どっちがどっちかわからなくなる。問題3で「塩酸で泡」「塩酸で反応せず・かたい」と出ても判断に迷う。
- 克服のコツ:見分け方は「塩酸の反応」一本で押さえるのがコツ。泡(二酸化炭素)が出る=石灰岩(炭酸カルシウム)、泡が出ず、とてもかたい=チャート(二酸化ケイ素)。名前で迷ったら必ず塩酸の反応に戻る、と決めておくと、本文や問題で迷子にならない。
- ミニ例:うすい塩酸をかけてシュワシュワと泡が出れば石灰岩、無反応でくぎでも傷がつかないほどかたければチャート。
柱状図で「下が新しい」と読んでしまう
- つまずく場面:図2の柱状図を見たとき、上から順に読む習慣でつい「一番上が一番古い」と思ってしまう。問題で複数の層の新旧を聞かれると、どちらから読めばよいか分からなくなって本文に戻ってしまう。
- 克服のコツ:位置関係で「下から積み上がる」と押さえるのがコツ。地層は下から順に堆積するので下が古く、上が新しい。柱状図は必ず下から上へ読むと決めておけば、どの層が古いか・新しいかで迷わない。
- ミニ例:柱状図で一番下に砂岩、上に泥岩があれば、砂岩のほうが古く、泥岩のほうが新しい。
練習問題
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風化:岩石が温度変化や雨水などで、表面からくずれていくこと。
侵食:くずれた岩石が、流れる水(川)などにけずられて小さくなること。
運搬:けずられた粒(れき・砂・泥)が、川の流れにのって下流へ運ばれること。
堆積:運ばれた粒が、海や湖などの流れがゆるやかな場所でゆっくり沈み積もること。
- れき・砂・泥を、粒の大きい順に並べなさい。
- 川から海に運ばれた粒のうち、海岸から最も遠い場所(沖)に堆積するのはどれか。理由もあわせて答えなさい。
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(1) れき(2mm以上)> 砂(0.06〜2mm)> 泥(0.06mm以下)
(2) 泥。粒が最も小さいため、ゆっくり沈み、川の流れにのって最も遠く(沖)まで運ばれてから堆積しやすいため。
- 塩酸をかけると 泡(気体)が発生してとけはじめた。
- 塩酸をかけても 泡は出ず、岩石は たいへんかたかった。
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(1) 石灰岩。石灰岩は炭酸カルシウムでできていて、塩酸と反応して二酸化炭素を発生する。
(2) チャート。チャートは二酸化ケイ素でできていて、塩酸とは反応しない。また非常にかたいのが特徴。
※この2つは見た目が似ていることもあるので、塩酸で見分けるのが基本。
まとめ
- 地層は 風化 → 侵食 → 運搬 → 堆積 の4ステップが、何百年・何千年も繰り返されてできる。
- 粒の大きさで沈む場所がちがう。れき=海岸近く、砂=少し沖、泥=最も沖。地層の粒の変化を見れば海進・海退が読める。
- 堆積岩は6種類。れき岩・砂岩・泥岩(粒の大きさで区別)、石灰岩(塩酸で泡)、チャート(塩酸で反応せず・かたい)、凝灰岩(火山灰)。
- 地層を読む3つのきまり:①下が古く上が新しい ②同じ性質の層は連続 ③不整合は時間のすき間。
- 地層が傾いたりずれたりしているのは、しゅう曲・断層 など大地が動いた証拠。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
石灰岩はセメントの原料 ─ 日本が自給できる数少ない鉱物資源実生活
石灰岩はコンクリートをつくるセメントの主な原料で、日本国内の鉱山からほぼ全量を取り出せる、めずらしい自給可能な鉱物資源です。多くの金属や燃料を輸入にたよる日本にとって、海の生物の殻が積もってできた石灰岩は、建物や道路を支える身近で貴重な国産資源になっています。
チャートは深い海でできた ─ 数千万年分の放散虫の殻発展
チャートは、放散虫など二酸化ケイ素の殻をもつ小さな生物の遺がいが、陸から遠くはなれた数千mもの深い海の底に、長い時間をかけてゆっくりと積もってできた岩石です。恐竜が生きていたジュラ紀から白亜紀につくられたものもあり、とても硬いチャートは深海での気の遠くなるような堆積の歴史を物語っています。
火山灰の層は時代を合わせる「ものさし」になる発展
大きな噴火の火山灰は広い範囲にほぼ同時に降り積もるため、はなれた場所の地層をつなぐ目印(鍵層)として使えます。たとえば九州の阿蘇山の噴火による火山灰は日本各地に広がっており、凝灰岩の層は地層がいつできたかを比べる「時代のものさし」になります。
地震で起こる「液状化」 ─ ゆるく積もった砂の地層が原因実生活
地下水を多く含み、ゆるく積もった砂の地層に強い地震のゆれが加わると、砂の粒の間の水の圧力が高まり、地面が液体のようになって建物を支えられなくなります。これが液状化現象で、埋め立て地や昔の川すじなどで起こりやすく、地層の成り立ちが防災に直結することを示しています。
高レベル放射性廃棄物の「地層処分」 ─ 安定した地層を利用する発展
原子力発電で出る高レベル放射性廃棄物は、地下300m以上の深く安定した岩盤に埋めて長く閉じこめる「地層処分」が計画されています。地下深部は地震や台風の影響が少なく、地下水の動きも年に数mmと非常にゆっくりなため、地層が物質を閉じこめる力が利用されています。
ボーリング調査と柱状図で地下の地層を読み取る実生活
地面に細いパイプを深く打ちこんで土や岩を取り出すボーリング調査を行うと、ある地点の地下に砂・どろ・れきなどがどう重なっているかが分かります。これを記号や色で表したものが柱状図で、国土交通省は道路や河川の工事で集めた約20万件もの柱状図を「国土地盤情報検索サイト」で公開し、防災や工事に役立てています。
