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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

多文化共生 ── 違いを認め合う社会

グローバル化が進み、世界中の人と関わる時代。日本にも外国人が増え、異なる文化を持つ人々が共に生きる「多文化共生社会」が求められています。違いを認め合う基本姿勢を学びましょう。

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在日外国人 約300万人の時代 ──「同化」から「共生」へ 「同化」の考え方 少数派が多数派に合わせる ・合わせる方向が一方通行 ・言語・宗教・食文化の違いが  尊重されにくい ・食べられない給食を本人だけ  我慢する(同化寄りの例) → 外国人だけに努力を求める 共生へ 「多文化共生」の考え方 違いを認め合い共に生きる ・社会の側も制度を整える ・行政の多言語対応 ・日本語学習支援・就労支援 ・ヘイトスピーチ解消法(2016年) ・給食に代替メニューを用意する → 少数派と多数派の双方向 在日外国人は約300万人(2023年)/出身国上位:中国・韓国・ベトナム・フィリピン・ブラジル
「同化」と「多文化共生」の違い ── 少数派だけが合わせる一方通行か、社会の側も制度を整える双方向か

同化は外国人だけに努力を求める一方通行、共生は多言語対応やヘイトスピーチ解消法(2016年)のように社会の側も制度を整える双方向の考え方です。左右のパネルで違いを見比べましょう。

文化の多様性

用語
文化の多様性
世界には多様な文化がある。言語・宗教・食習慣・服装・価値観などが異なる。

世界の主要な宗教

  • キリスト教:世界最大、約23億人
  • イスラム教:約19億人、急増中
  • ヒンドゥー教:約11億人(インドを中心)
  • 仏教:約5億人
  • ユダヤ教:少数だが歴史的に重要

在日外国人

日本の外国人

在日外国人:約 300万人(2023年)

出身国上位:中国・韓国・ベトナム・フィリピン・ブラジル

技能実習・留学・永住者など、様々な在留資格

多文化共生の課題

  • 言語の壁:日本語学習支援
  • 偏見・差別:ヘイトスピーチ問題
  • 労働環境:外国人労働者の権利
  • 教育:外国にルーツを持つ子どもへの支援
  • 文化の違い:宗教上の食事制限など

差別と人権

取り組み

世界人権宣言(1948年):人種・宗教・性別による差別禁止

国連 人種差別撤廃条約(1965年、日本1995年加入)

ヘイトスピーチ解消法(日本、2016年)

多文化共生の方向性

  • 違いを認める:同化を強要しない
  • 対話する:互いの文化を理解
  • 制度を整える:行政の多言語対応、就労支援
  • 教育に取り入れる:異文化理解教育

日本の文化と国際交流

日本の文化が世界へ

アニメ・マンガ・伝統文化(和食・茶道・能・歌舞伎)が世界で人気

「クールジャパン」戦略

日本人も海外で学び、働き、生活する機会が増加

身近な多文化共生

日常の例

学校に外国にルーツを持つ友達がいる

街中で外国語の看板やメニュー

コンビニや飲食店で働く外国人

国際交流イベント・姉妹都市交流

→ 中学生として、互いを尊重する姿勢が大切

SDGs と多文化共生

SDGsの関連目標

SDGs 10:人や国の不平等をなくそう

SDGs 16:平和と公正をすべての人に

SDGs 4:質の高い教育をみんなに

→ 多文化共生は持続可能な社会の重要な要素

つまずきポイント①:「同化」と「共生」
  • 同化:少数派が多数派の文化に合わせて変わること
  • 共生:互いの違いを認めながら、共に生きること
  • 現代では「同化」ではなく「共生」が望ましいとされる
つまずきポイント②:世界三大宗教
  • キリスト教・イスラム教・仏教が世界三大宗教
  • ヒンドゥー教はインドなど一部に集中
  • 信者数:キリスト教 > イスラム教 > ヒンドゥー教 > 仏教
つまずきポイント③:人権と差別
  • 世界人権宣言(1948):すべての人の基本的人権
  • 人種差別撤廃条約(1965):日本も1995年に加入
  • ヘイトスピーチ解消法(2016)
  • 差別は法律でも禁じられている

同化と共生の違い

多文化共生を考えるとき、「外国から来た人が日本のやり方に合わせればよい」とだけ考えると不十分です。それは同化に近い考え方です。共生は、社会のルールを共有しながらも、言語、宗教、食文化、生活習慣の違いを尊重し、互いに暮らしやすい環境を作る考え方です。

考え方特徴問題点・課題
同化少数派が多数派の文化に合わせる文化や言語の違いが尊重されにくい
共生違いを認め、同じ社会で暮らす方法を作る制度、言語支援、差別防止が必要

身近な場面で考える

学校なら、宗教上の理由で食べられないものがある生徒への配慮、日本語を学び始めた生徒への説明、名前や文化的背景をからかわない姿勢が重要です。地域なら、多言語での防災情報、行政手続きの支援、医療や教育へのアクセスが課題になります。多文化共生は、きれいな言葉ではなく、生活の中の具体的な不便を減らす取り組みです。

この章でつまずきやすいところ

多文化共生の章は、似た言葉が並んで本文の途中で意味がぼやけがちです。「同化」と「共生」、宗教の規模、外国人住民の現状など、読み進める中で迷いやすい場面をおさえて、本文の理解を整理しましょう。

「同化」と「共生」を同じ意味で読み流してしまう

  • つまずく場面:本文で同化と共生が並べて説明されたとき、どちらも仲よく暮らすことだと感じてしまい、なぜ言い換えているのか分からなくなる場面です。違いを意識しないまま読み進めると、まとめ表でつまずきます。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。「合わせる方向」が一方通行なら同化、互いに環境を整えるなら共生です。少数派だけが努力するか、社会の側も制度を変えるかで判定すると、本文の「外国人だけに努力を求める考え方ではない」という記述ともつながります。
  • ミニ例:宗教上の理由で食べられない食材がある生徒に、本人だけ我慢させるのが同化寄り、給食で代替メニューを用意するのが共生寄りの考え方です。

世界三大宗教にヒンドゥー教を入れてしまう

  • つまずく場面:本文の信者数で「キリスト教>イスラム教>ヒンドゥー教>仏教」と並ぶのを見て、人数が多い順がそのまま三大宗教だと思い込み、ヒンドゥー教を三大宗教に入れてしまう場面です。
  • 克服のコツ:見分け方として、三大宗教は「世界に広がっているか」で決まると整理します。教科書ではキリスト教・イスラム教・仏教が三大宗教で、ヒンドゥー教は信者数は多くてもインド中心に集中しているため別枠です。人数の順位と三大宗教の枠は別物として読み分けます。
  • ミニ例:ヒンドゥー教の信者は約10億人を超え、仏教徒より多いとされますが、インドを中心に分布しているため、教科書では世界三大宗教には入らないと整理されます。具体的な数字は教科書の発行年で振れるので、本文の数字を確認しましょう。

在日外国人を「中国・韓国」の二か国だけでイメージしてしまう

  • つまずく場面:本文で在日外国人が約300万人規模に増えてきたと出てきたとき、頭の中の印象だけで中国・韓国の人が中心と決めつけてしまい、ベトナムやフィリピン、ブラジルなどの上位国を読み飛ばす場面です。具体的な人数は教科書の発行年で変わるので、本文の数字を確認しましょう。
  • 克服のコツ:位置関係で押さえます。本文の上位国は東アジア(中国・韓国)だけでなく、東南アジア(ベトナム・フィリピン)や南米(ブラジル)にも広がっています。順位は教科書の年次で入れ替わるので、本文の表で最新の並びを確かめましょう。技能実習や留学など、来日のきっかけが国ごとに異なる点も合わせて読むと、地域支援の課題が見えてきます。
  • ミニ例:本文では出身国上位として東アジア(中国・韓国)、東南アジア(ベトナム・フィリピン)、南米(ブラジル)など複数地域に広がることが示され、技能実習・留学・永住者など在留資格もさまざまだと整理されています。

「日本文化」を一つに固定されたものとして読んでしまう

  • つまずく場面:本文で「クールジャパン」やアニメ・和食・茶道などが世界で人気と読んだとき、日本文化は昔から一つに決まっていて、それを外国の人に合わせてもらうもの、と感じてしまう場面です。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。本文では、日本文化も一つに固定されたものではなく、地域や時代で変化していくという趣旨で説明されています。だから多文化共生は外国人だけの問題ではなく、日本社会の側も変わっていく前提で読みます。同化を求める発想とは方向が違う点を意識しましょう。
  • ミニ例:和食や茶道のような伝統文化と、アニメ・マンガのような現代文化が同時に「日本文化」として世界に発信されていることが、文化が変化する具体例として教科書で扱われます。

練習問題

問題1(宗教)

世界最大の宗教は。日本で最も多い宗教は。

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世界最大:キリスト教 / 日本:仏教・神道(複数信仰の傾向)

問題2(在日外国人)

日本に住む外国人の出身国上位3か国を答えよ。

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中国・韓国・ベトナム(時期により変動)

問題3(用語)

異なる文化を持つ人々が互いの違いを認め合いながら共に生きる社会を何という。

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多文化共生社会

世界の主要宗教の特徴

宗教創始者聖典地域
キリスト教イエス聖書欧米・南米
イスラム教ムハンマドコーラン中東・北アフリカ
仏教釈迦仏典東アジア・東南アジア
ヒンドゥー教−ヴェーダインド
ユダヤ教モーゼ旧約聖書イスラエル等

まとめ

  • 文化の多様性:言語・宗教・食・価値観などが世界で異なる。
  • 世界の主要宗教:キリスト教・イスラム教・ヒンドゥー教・仏教。
  • 在日外国人 約300万人。多様な背景。
  • 多文化共生:違いを認め合い、共に生きる社会。
  • 「同化」ではなく「共生」が現代の理念。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

在留外国人は初めて400万人を超え過去最多(2025年末)時事

出入国在留管理庁によると、2025年末(令和7年末)の在留外国人は412万5,395人となり、初めて400万人を超えて4年連続で過去最多を更新しました。国籍別では中国・ベトナム・韓国・フィリピン・ネパールの順に多く、教科書の「約300万人」よりさらに増えています。

出典:出入国在留管理庁(令和7年末現在における在留外国人数について)

在留資格別では「永住者」が最も多い発展

2025年末の在留資格別では永住者が94万7千人超で最多で、技能実習や「技術・人文知識・国際業務」、留学が続きます。長く日本で暮らす人が多いことは、一時的な滞在だけでなく、地域で共に生活する仲間として制度を整える必要があることを示しています。

出典:出入国在留管理庁(令和7年末現在における在留外国人数について)

国が示す「地域における多文化共生推進プラン」発展

総務省は2006年に「地域における多文化共生推進プラン」を作り、2020年9月に改訂しました。外国人住民の増加や多様化、災害対応、デジタル化などの社会の変化をふまえ、自治体が多言語対応や生活支援を進めるための指針となっています。

出典:総務省(「地域における多文化共生推進プラン」の改訂)

言語の壁をこえる「やさしい日本語」発展

出入国在留管理庁と文化庁は2020年に「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」を公表しました。難しい言葉を言いかえてわかりやすく伝える工夫で、外国人だけでなく高齢者や障害のある人にも役立ち、災害時の情報伝達などにも広がっています。

出典:文化庁(在留支援のためのやさしい日本語ガイドラインほか)

人手不足に対応する在留資格「特定技能」(2019年)発展

日本は2019年4月に新しい在留資格「特定技能」を設け、人手が不足する分野で一定の技能を持つ外国人を受け入れ始めました。技術を学ぶ技能実習とは目的が異なり、即戦力として働くための仕組みで、多文化共生を考えるうえで重要な制度です。

出典:外務省(在留資格 特定技能)

和食がユネスコ無形文化遺産に(2013年)発展

2013年12月4日、「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。自然を尊重する日本人の心や、世代をこえて受け継がれる食文化が評価されたもので、日本の文化が世界へ広がる「クールジャパン」の具体例といえます。

出典:農林水産省(「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されています)