原形不定詞とは
しかし make・let のあとは to をつけない動詞の原形(原形不定詞)のみが続く。
help は原形不定詞と to 不定詞のどちらも使える点が make・let とは異なる(くわしくは後述)。
make ── 〜させる(強制)
本人の意志に関係なくそうさせる・そうなる、という強いニュアンス。
The news made me cry.(そのニュースは私を泣かせた)
My mother made me clean my room.(母は私に部屋を掃除させた)
The movie made us laugh.(その映画は私たちを笑わせた)
→ cry・clean・laugh はすべて動詞の原形(to cry・to clean ではない)
let ── 〜させてあげる(許可)
本人がしたいことを止めない・許すという許可のニュアンス。
Let me try.(私にやらせてください)
My parents let me use their car.(両親は私に車を使わせてくれた)
The teacher let us go home early.(先生は私たちを早く帰らせてくれた)
→ 豆知識:Let's ~ は Let us ~ の短縮形(Let's go. = Let us go.)
help ── 手伝う(to は省略できる)
help だけは特別で、to をつけてもつけなくてもどちらも正しい。
I helped my mother cook dinner.
= I helped my mother to cook dinner.(母が晩ご飯を作るのを手伝った)
I helped him carry the box.= I helped him to carry the box.(彼が箱を運ぶのを手伝った)
Can you help me finish this?= help me to finish this?(これを終えるのを手伝ってくれる?)
make・let・help のニュアンスの違い
| 動詞 | 意味 | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|---|
| make | 〜させる | 強制・本人の意志に関係なくそうなる | The news made me cry. |
| help | 〜するのを手伝う | 手助け(to は省略可) | I helped my mother cook dinner. |
| let | 〜させてあげる | 許可・したいことを止めない | Let me try. |
知覚動詞 see・hear・feel ──「〜が…するのを見た・聞いた」
make・let・help と同じく、あとに来る動詞は原形(原形不定詞)。O(人・もの)と動詞の原形のあいだに「Oが…する」という意味上の主語・述語の関係がある点が共通している。
I saw him cross the street.(私は彼が通りを渡るのを見た)
I heard someone call my name.(私はだれかが私の名前を呼ぶのを聞いた)
I felt the ground shake.(私は地面が揺れるのを感じた)
We watched the sun rise.(私たちは太陽が昇るのを見た)
→ cross・call・shake・rise はすべて動詞の原形(to cross などにはしない)
make・let・help・see・hear・feel はどれも「O(人・もの)と動詞の原形のあいだに、Oが…するという意味上の主語・述語の関係がある」という共通点を持つ仲間です。
- 動作が終わるまで全部見た・聞いたときは動詞の原形(I saw him cross the street.)。
- 動作が進行している途中を見た・聞いたときは、原形の代わりに現在分詞(-ing)を使うこともある(I saw him crossing the street. ── 彼が通りを渡っている途中を見た)。
make A B との整理(別の make の使い方)
B に動詞の原形が来る → make + 人 + 動詞の原形「Aに…させる」
The song makes me happy.(その歌は私を幸せにする)── happy は形容詞
The song makes me cry.(その歌は私を泣かせる)── cry は動詞の原形
→ 同じ make でも、後ろに来る語の品詞で意味の型が変わる
- make・let のあとは動詞の原形のみ(to なし)
- want・tell・ask などはto + 動詞の原形(I want him to help me.)と混同しない
- help だけは例外で、原形・to付きのどちらでもよい
- make:強制・そうさせる(本人の意志と無関係)
- let:許可・そうさせてあげる(本人がしたいことを止めない)
- 日本語ではどちらも「〜させる」と訳せてしまうので、場面で見分ける
- B が形容詞・名詞 → 「AをBにする」(The song makes me happy.)
- B が動詞の原形 → 「Aに…させる」(The song makes me cry.)
- happily のように副詞にしない(make A Bの B は形容詞・名詞)
英語で使えるようにする練習
この単元は、説明を読んで終わりにすると定着しません。次の型を、主語・人・動詞を入れ替えながら声に出してください。
My mother made me clean my room.
Let me try.
I helped my mother cook dinner.
- make と let の後ろに to を入れない。
- help の後ろは to があってもなくてもよい。
- make A B のときは動詞の原形ではなく形容詞・名詞を使う。
この章でつまずきやすいところ
原形不定詞は「to がない」という見た目のシンプルさゆえに、逆に「本当にこれでいいの?」と不安になりやすい単元です。読解・英作文中に立ち止まりやすいポイントを4つに整理します。
make のあとに to を入れてしまう
- つまずく場面:「母は私に部屋を掃除させた」を英作文するとき、My mother made me to clean my room. と書いてしまい、to を入れるべきか迷って手が止まる場面。
- 克服のコツ:make の後ろは原形不定詞、つまり to のない動詞の原形と決まっている。want や tell のような「to + 動詞」の仲間とは別グループだと、動詞ごとに型で覚えるのが安全。
- ミニ例:× My mother made me to clean my room. / ○ My mother made me clean my room.
let のあとに to を入れてしまう
- つまずく場面:「私にやらせてください」を Let me to try. と書いてしまい、let も make と同じ仲間だと気づかず to をつけてしまう場面。
- 克服のコツ:let も make と同じ原形不定詞グループ。過去の文でも let は let のままで変化しない(不規則動詞 let-let-let)ので、見た目が同じでも文脈(yesterday など)で過去だと判断する。
- ミニ例:× Let me to try. / ○ Let me try. / My parents let me use their car yesterday.(let は過去形でも同じ形)
make A B と make + 人 + 動詞の原形を混同する
- つまずく場面:The song makes me happy. を読んだとき、「make の後ろは動詞の原形のはず」と思い込み、happy を happily に直そうとしてしまう場面。逆に The song makes me cry. の cry を crying にしてしまう場面もある。
- 克服のコツ:見分け方はBに来る品詞。形容詞・名詞が来るなら make A B「AをBにする」、動詞の原形が来るなら make+人+動詞の原形「Aに…させる」。「Bが状態か動作か」で判断する。
- ミニ例:The song makes me happy.(形容詞=状態)/ The song makes me cry.(動詞の原形=動作)
help は to があってもなくても正しいと知らず不安になる
- つまずく場面:I helped my mother cook dinner. を覚えた後、別の文で I helped my mother to cook dinner. を見て、「どちらかが間違い?」と混乱して読み進められなくなる場面。
- 克服のコツ:help は make・let と違い、to があってもなくても両方正しいという特別ルール。どちらの形で出てきても同じ意味だと知っておけば、迷わずに読み進められる。
- ミニ例:I helped my mother cook dinner. = I helped my mother to cook dinner.(どちらも「母が晩ご飯を作るのを手伝った」)
練習問題
- The news made me (cry / to cry / crying).
- Let me (try / to try).
- I helped my mother (cook / cooked) dinner.
- My parents let me (use / to use) their car.
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(1) cry (2) try (3) cook (4) use
- そのニュースは私を泣かせた。
- やらせてください。
- 母が晩ご飯を作るのを手伝った。
- 両親は私に車を使わせてくれた。
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(1) The news made me cry.
(2) Let me try.
(3) I helped my mother cook dinner.
(4) My parents let me use their car.
次の状況を make を使って英語で表せ。
母が私に野菜を食べさせた(強制)。
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My mother made me eat vegetables.
次の日本語に合う方を選べ。
- その歌は私を幸せな気持ちにする(状態)
- その歌は私を泣かせる(動作)
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(1) The song makes me happy.
(2) The song makes me cry.
- 母は私にピアノを練習させた。
- 兄が私の宿題を手伝ってくれた。
- 先生は私たちを教室にいさせてくれた(許可)。
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(1) My mother made me practice the piano.
(2) My brother helped me (to) do my homework.
(3) The teacher let us stay in the classroom.
まとめ
- make/let + 人 + 動詞の原形:原形不定詞のみ(to なし)。help + 人 + (to) 動詞の原形:原形でもto付きでもよい。
- make:強制「〜させる」(本人の意志に関係なく)。
- let:許可「〜させてあげる」(したいことを止めない)。
- help:手助け「〜するのを手伝う」(to は省略可)。
- see/hear/feel などの知覚動詞も + 人・もの + 動詞の原形(I saw him cross the street.)。進行中の場面は現在分詞(crossing)も使える。
- Let's ~ は Let us ~ の短縮形。
- make A B(形容詞・名詞=AをBにする)と make+人+動詞の原形(Aに…させる)を区別する。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「Let It Be」というタイトルに隠れた文法実生活
ビートルズの名曲「Let It Be」は、let + it(もの)+ be(動詞の原形)という、この記事で学ぶ形そのものです。「それをそのままにさせておこう(あるがままにさせよう)」という意味で、原形不定詞が世界的に有名な曲名になっています。
to をつけない動詞は他にもある発展
動詞の原形(toなしの形)を後ろに置く動詞のグループは、文法用語で「bare infinitive(原形不定詞)」と呼ばれます。can・willなどの助動詞のほか、make・let・help、そしてこの記事でも扱った see・hear・feel などの知覚動詞(〜が…するのを見る/聞く/感じる)も同じグループに入ります。
「〜させる」の作り方は言語によって違う発展
「誰かに何かをさせる」という意味を作るしくみは、言語学で「causative(使役)」と呼ばれ、多くの言語に存在します。英語はmake・let・haveのように動詞を使い分けて強さの違いを表すのに対し、日本語は動詞に「〜させる」という語尾をつけて表す点が大きく違います。
have・get も仲間の使役動詞発展
Cambridge Dictionaryの文法解説では、make・let・helpだけでなく have(I had my hair cut. のように動詞の原形や過去分詞が続く)や get(get + 人 + to 動詞、getはtoが必要)も「causative verbs(使役動詞)」としてまとめて紹介されています。中3の今はmake・let・helpだけで十分ですが、高校ではhave・getも登場します。
let の語源は「手放す・許す」実生活
let はもともと古い英語(古英語)の lætan という語から来ており、「あとに残す・手放す・許す」という意味でした。「邪魔しないでそうさせてあげる」という今の許可の意味は、この「手放す」というイメージから生まれたと考えられています。
