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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

原形不定詞 ── make・help・let +動詞の原形

「The news made me cry.」── made のあとに to をつけず、cry がそのまま原形で続きます。make・let のあとは to のない動詞の原形(原形不定詞)のみ、help は原形でも to 付きでもどちらも使えます。新しい学習指導要領で中3の必修になった文法です。

原形不定詞とは

公式
原形不定詞(to のない動詞の原形)
ふつうの不定詞は to + 動詞の原形(I want to swim.)。
しかし make・let のあとは to をつけない動詞の原形(原形不定詞)のみが続く。
help は原形不定詞と to 不定詞のどちらも使える点が make・let とは異なる(くわしくは後述)。

make ── 〜させる(強制)

公式
make + 人・もの + 動詞の原形
「〜に…させる」
本人の意志に関係なくそうさせる・そうなる、という強いニュアンス。
make の例

The news made me cry.(そのニュースは私を泣かせた)

My mother made me clean my room.(母は私に部屋を掃除させた)

The movie made us laugh.(その映画は私たちを笑わせた)

→ cry・clean・laugh はすべて動詞の原形(to cry・to clean ではない)

let ── 〜させてあげる(許可)

公式
let + 人 + 動詞の原形
「〜に…させてあげる」
本人がしたいことを止めない・許すという許可のニュアンス。
let の例

Let me try.(私にやらせてください)

My parents let me use their car.(両親は私に車を使わせてくれた)

The teacher let us go home early.(先生は私たちを早く帰らせてくれた)

→ 豆知識:Let's ~ は Let us ~ の短縮形(Let's go. = Let us go.)

help ── 手伝う(to は省略できる)

公式
help + 人 + (to) 動詞の原形
「〜が…するのを手伝う」
help だけは特別で、to をつけてもつけなくてもどちらも正しい。
help の例(to あり/なし どちらも正解)

I helped my mother cook dinner.

= I helped my mother to cook dinner.(母が晩ご飯を作るのを手伝った)

I helped him carry the box.= I helped him to carry the box.(彼が箱を運ぶのを手伝った)

Can you help me finish this?= help me to finish this?(これを終えるのを手伝ってくれる?)

make・let・help のニュアンスの違い

動詞意味ニュアンス例文
make〜させる強制・本人の意志に関係なくそうなるThe news made me cry.
help〜するのを手伝う手助け(to は省略可)I helped my mother cook dinner.
let〜させてあげる許可・したいことを止めないLet me try.

知覚動詞 see・hear・feel ──「〜が…するのを見た・聞いた」

公式
see/hear/feel/watch + 人・もの + 動詞の原形
「〜が…するのを見る/聞く/感じる」
make・let・help と同じく、あとに来る動詞は原形(原形不定詞)。O(人・もの)と動詞の原形のあいだに「Oが…する」という意味上の主語・述語の関係がある点が共通している。
see・hear・feel・watch の例

I saw him cross the street.(私は彼が通りを渡るのを見た)

I heard someone call my name.(私はだれかが私の名前を呼ぶのを聞いた)

I felt the ground shake.(私は地面が揺れるのを感じた)

We watched the sun rise.(私たちは太陽が昇るのを見た)

→ cross・call・shake・rise はすべて動詞の原形(to cross などにはしない)

make・let・help・see・hear・feel はどれも「O(人・もの)と動詞の原形のあいだに、Oが…するという意味上の主語・述語の関係がある」という共通点を持つ仲間です。

発展:「〜している最中」を見たときは現在分詞
  • 動作が終わるまで全部見た・聞いたときは動詞の原形(I saw him cross the street.)。
  • 動作が進行している途中を見た・聞いたときは、原形の代わりに現在分詞(-ing)を使うこともある(I saw him crossing the street. ── 彼が通りを渡っている途中を見た)。

make A B との整理(別の make の使い方)

区別
make A B と make + 人 + 動詞の原形
B に形容詞・名詞が来る → make A B「AをBにする」
B に動詞の原形が来る → make + 人 + 動詞の原形「Aに…させる」
make A B と make + 原形不定詞のちがい

The song makes me happy.(その歌は私を幸せにする)── happy は形容詞

The song makes me cry.(その歌は私を泣かせる)── cry は動詞の原形

→ 同じ make でも、後ろに来る語の品詞で意味の型が変わる

つまずきポイント①:原形不定詞には to をつけない
  • make・let のあとは動詞の原形のみ(to なし)
  • want・tell・ask などはto + 動詞の原形(I want him to help me.)と混同しない
  • help だけは例外で、原形・to付きのどちらでもよい
つまずきポイント②:make と let のニュアンスの違い
  • make:強制・そうさせる(本人の意志と無関係)
  • let:許可・そうさせてあげる(本人がしたいことを止めない)
  • 日本語ではどちらも「〜させる」と訳せてしまうので、場面で見分ける
つまずきポイント③:make A B と make + 人 + 動詞の原形
  • B が形容詞・名詞 → 「AをBにする」(The song makes me happy.)
  • B が動詞の原形 → 「Aに…させる」(The song makes me cry.)
  • happily のように副詞にしない(make A Bの B は形容詞・名詞)

英語で使えるようにする練習

この単元は、説明を読んで終わりにすると定着しません。次の型を、主語・人・動詞を入れ替えながら声に出してください。

型
原形不定詞の基本パターン
make/let/help + 人 + (to) 動詞の原形
音読して覚える例文

My mother made me clean my room.

Let me try.

I helped my mother cook dinner.

よくあるミス
  • make と let の後ろに to を入れない。
  • help の後ろは to があってもなくてもよい。
  • make A B のときは動詞の原形ではなく形容詞・名詞を使う。

この章でつまずきやすいところ

原形不定詞は「to がない」という見た目のシンプルさゆえに、逆に「本当にこれでいいの?」と不安になりやすい単元です。読解・英作文中に立ち止まりやすいポイントを4つに整理します。

make のあとに to を入れてしまう

  • つまずく場面:「母は私に部屋を掃除させた」を英作文するとき、My mother made me to clean my room. と書いてしまい、to を入れるべきか迷って手が止まる場面。
  • 克服のコツ:make の後ろは原形不定詞、つまり to のない動詞の原形と決まっている。want や tell のような「to + 動詞」の仲間とは別グループだと、動詞ごとに型で覚えるのが安全。
  • ミニ例:× My mother made me to clean my room. / ○ My mother made me clean my room.

let のあとに to を入れてしまう

  • つまずく場面:「私にやらせてください」を Let me to try. と書いてしまい、let も make と同じ仲間だと気づかず to をつけてしまう場面。
  • 克服のコツ:let も make と同じ原形不定詞グループ。過去の文でも let は let のままで変化しない(不規則動詞 let-let-let)ので、見た目が同じでも文脈(yesterday など)で過去だと判断する。
  • ミニ例:× Let me to try. / ○ Let me try. / My parents let me use their car yesterday.(let は過去形でも同じ形)

make A B と make + 人 + 動詞の原形を混同する

  • つまずく場面:The song makes me happy. を読んだとき、「make の後ろは動詞の原形のはず」と思い込み、happy を happily に直そうとしてしまう場面。逆に The song makes me cry. の cry を crying にしてしまう場面もある。
  • 克服のコツ:見分け方はBに来る品詞。形容詞・名詞が来るなら make A B「AをBにする」、動詞の原形が来るなら make+人+動詞の原形「Aに…させる」。「Bが状態か動作か」で判断する。
  • ミニ例:The song makes me happy.(形容詞=状態)/ The song makes me cry.(動詞の原形=動作)

help は to があってもなくても正しいと知らず不安になる

  • つまずく場面:I helped my mother cook dinner. を覚えた後、別の文で I helped my mother to cook dinner. を見て、「どちらかが間違い?」と混乱して読み進められなくなる場面。
  • 克服のコツ:help は make・let と違い、to があってもなくても両方正しいという特別ルール。どちらの形で出てきても同じ意味だと知っておけば、迷わずに読み進められる。
  • ミニ例:I helped my mother cook dinner. = I helped my mother to cook dinner.(どちらも「母が晩ご飯を作るのを手伝った」)

練習問題

問題1(原形不定詞の識別)
  1. The news made me (cry / to cry / crying).
  2. Let me (try / to try).
  3. I helped my mother (cook / cooked) dinner.
  4. My parents let me (use / to use) their car.
答えを見る

(1) cry (2) try (3) cook (4) use

問題2(英訳)
  1. そのニュースは私を泣かせた。
  2. やらせてください。
  3. 母が晩ご飯を作るのを手伝った。
  4. 両親は私に車を使わせてくれた。
答えを見る

(1) The news made me cry.

(2) Let me try.

(3) I helped my mother cook dinner.

(4) My parents let me use their car.

問題3(書きかえ)

次の状況を make を使って英語で表せ。

母が私に野菜を食べさせた(強制)。

答えを見る

My mother made me eat vegetables.

問題4(make A B / make + 動詞の原形)

次の日本語に合う方を選べ。

  1. その歌は私を幸せな気持ちにする(状態)
  2. その歌は私を泣かせる(動作)
答えを見る

(1) The song makes me happy.

(2) The song makes me cry.

追加問題(瞬間英作文)
次の日本語を、このページの型を使って英語にしなさい。
  1. 母は私にピアノを練習させた。
  2. 兄が私の宿題を手伝ってくれた。
  3. 先生は私たちを教室にいさせてくれた(許可)。
答えを見る

(1) My mother made me practice the piano.

(2) My brother helped me (to) do my homework.

(3) The teacher let us stay in the classroom.

まとめ

  • make/let + 人 + 動詞の原形:原形不定詞のみ(to なし)。help + 人 + (to) 動詞の原形:原形でもto付きでもよい。
  • make:強制「〜させる」(本人の意志に関係なく)。
  • let:許可「〜させてあげる」(したいことを止めない)。
  • help:手助け「〜するのを手伝う」(to は省略可)。
  • see/hear/feel などの知覚動詞も + 人・もの + 動詞の原形(I saw him cross the street.)。進行中の場面は現在分詞(crossing)も使える。
  • Let's ~ は Let us ~ の短縮形。
  • make A B(形容詞・名詞=AをBにする)と make+人+動詞の原形(Aに…させる)を区別する。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

「Let It Be」というタイトルに隠れた文法実生活

ビートルズの名曲「Let It Be」は、let + it(もの)+ be(動詞の原形)という、この記事で学ぶ形そのものです。「それをそのままにさせておこう(あるがままにさせよう)」という意味で、原形不定詞が世界的に有名な曲名になっています。

出典:Wikipedia「Let It Be (song)」

to をつけない動詞は他にもある発展

動詞の原形(toなしの形)を後ろに置く動詞のグループは、文法用語で「bare infinitive(原形不定詞)」と呼ばれます。can・willなどの助動詞のほか、make・let・help、そしてこの記事でも扱った see・hear・feel などの知覚動詞(〜が…するのを見る/聞く/感じる)も同じグループに入ります。

出典:Wikipedia「Bare infinitive」

「〜させる」の作り方は言語によって違う発展

「誰かに何かをさせる」という意味を作るしくみは、言語学で「causative(使役)」と呼ばれ、多くの言語に存在します。英語はmake・let・haveのように動詞を使い分けて強さの違いを表すのに対し、日本語は動詞に「〜させる」という語尾をつけて表す点が大きく違います。

出典:Wikipedia「Causative」

have・get も仲間の使役動詞発展

Cambridge Dictionaryの文法解説では、make・let・helpだけでなく have(I had my hair cut. のように動詞の原形や過去分詞が続く)や get(get + 人 + to 動詞、getはtoが必要)も「causative verbs(使役動詞)」としてまとめて紹介されています。中3の今はmake・let・helpだけで十分ですが、高校ではhave・getも登場します。

出典:Cambridge Dictionary「Causative verbs」

let の語源は「手放す・許す」実生活

let はもともと古い英語(古英語)の lætan という語から来ており、「あとに残す・手放す・許す」という意味でした。「邪魔しないでそうさせてあげる」という今の許可の意味は、この「手放す」というイメージから生まれたと考えられています。

出典:Online Etymology Dictionary「let」