自然の恵みと災害は表裏一体
水は飲料水・農業用水として暮らしを支える一方で、大雨が続けば洪水や浸水を引き起こします。火山は温泉や地熱、肥沃な土をもたらす一方で、噴火という災害の原因にもなります。自然の恵みと自然災害は、同じ自然のはたらきの2つの面だと考えると理解しやすくなります。
地震・津波・火山・気象災害と身を守る方法
地震プレートの境界などで大地がずれ動くことで発生。震源が海底にあると津波を引き起こすことがある
津波地震などによる海底の急激な変動が、海面まで伝わって発生する高い波
火山地下のマグマが地表に噴き出す現象。噴火のほか、火砕流や降灰が被害をもたらす
台風熱帯の海で発達した熱帯低気圧が南から北上し、強風や大雨をもたらす
豪雨前線や台風の影響で短時間に大量の雨が降り、洪水や土砂災害の原因となる
- ハザードマップは、これまでの記録や科学的な想定にもとづいて危険性を示したものである。
- 想定を超える規模の災害が起こる可能性は常にあるため、「マップの外側だから絶対安全」とは言えない。
- 大切なのは、危険性を知ったうえで早めに避難の判断をすること。
生態系のつり合いと人間活動
3章で学んだ生態系では、生産者・消費者・分解者のつながりで物質が循環することを確認しました。このつり合いは、人間の活動によって崩れることがあります。
- 問題になるのは「外来種であること」自体ではなく、もといた生物との関係やつり合いを崩すことである。
- 乱獲(決められた量を守らずに取り続けること)や開発(生き物の住む場所を失わせること)、地球温暖化(生息できる範囲や季節を変化させること)も、同じように生態系のつり合いを崩す人間活動である。
- 4つの原因(外来種・乱獲・開発・地球温暖化)を、まとめて「人間活動が生態系のつり合いを崩す要因」として整理して覚える。
生物多様性とその保全
- 里山:人が手を入れることで維持されてきた、森林と農地が入り混じった環境。手入れをやめると荒れ、生物多様性が失われることがある。
- 国立公園:すぐれた自然の風景地を保護し、利用するために国が指定する地域。日本には自然環境を守るための国立公園が指定されている。
- レッドリスト:絶滅のおそれのある野生生物を、専門家が科学的な基準で評価してまとめたリスト。保全の優先度を考える基礎資料になる。
持続可能な開発
前の記事で学んだ持続可能な社会・3R・SDGsの考え方は、自然環境の保全にもそのまま当てはまります。開発と保全は対立するものではなく、将来の世代も自然の恵みを受け続けられるように、今の利用の仕方を工夫するのが持続可能な開発の考え方です。
この単元でつまずきやすいところ
自然の恵みと災害・自然環境の保全の単元は、「防げる/防げない」「良い/悪い」のような一方的な整理をしてしまいがちな単元です。読み進める途中で立ち止まりやすい場面を整理しておきましょう。
「災害は防げるはず」と思い込んでしまう
- つまずく場面:ハザードマップや防災の仕組みを読んだ直後に、「これだけ備えがあるなら災害は防げるはず」と考えてしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。地震や台風そのものの発生を止めることはできない。教科書や防災の考え方が目指しているのは「防災(災害を防ぐ)」よりも「減災」(被害を減らす)である。
- ミニ例:ハザードマップで危険性を知り、早めに避難することで、命への被害を減らせる、と教科書では整理する。
外来種・乱獲・開発・地球温暖化を別々の現象だと思い込んでしまう
- つまずく場面:外来種の例、乱獲の例、開発の例、地球温暖化の例をそれぞれ別に読んで、共通点に気づかない場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。4つはすべて人間の活動が生態系のつり合いを崩すという同じ構造を持つ。「何が」つり合いを崩すかが違うだけで、「つり合いが崩れる」という結果は共通している。
- ミニ例:外来種は「新しい生物が入る」ことで、開発は「生活場所が減る」ことで、それぞれつり合いを崩す、と教科書では整理する。
生物多様性を「種類の数が多いこと」だけだと思い込んでしまう
- つまずく場面:「生物多様性」という言葉を読んで、「いろいろな種類の生物がいること」という1つの意味だけで理解してしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。生物多様性には種の多様性・遺伝的多様性・生態系の多様性という3つの側面がある。「種類」だけでなく「同じ種の中の個体差」「環境の多様さ」も含まれると読み分ける。
- ミニ例:同じイヌでも毛の色や大きさが違うのは遺伝的多様性の例、と教科書では整理する。
開発と自然保護を、必ず対立するものだと思い込んでしまう
- つまずく場面:里山や国立公園の話を読んだ直後に、「自然を守るには人間の活動をゼロにするしかない」と単純化してしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。里山は人が適度に手を入れることで維持されてきた環境であり、「人の手が入らない=自然が守られる」とは限らない。持続可能な開発は、開発と保全のバランスを考える視点である。
- ミニ例:里山は、人が定期的に木を切ったり草を刈ったりする手入れによって、多様な生物の生息場所が保たれてきた、と教科書では整理する。
練習問題
地震・洪水・津波などについて、被害が想定される範囲や避難場所・避難経路を地図上に示したものを何というか。
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ハザードマップ
「災害を完全に防ぐ」という考え方と、教科書が大切にしている「被害を減らす」という考え方をそれぞれ何というか。
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防災と減災。地震や台風の発生そのものは止められないため、ハザードマップや早めの避難で被害を減らす減災の考え方が重要になる。
生物多様性の3つの側面を、すべて答えなさい。
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種の多様性・遺伝的多様性・生態系の多様性
外来種が、生態系のつり合いを崩すことがあるのはなぜか、説明しなさい。
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外来種は、もともとその地域にいなかった生物であるため、天敵がいないまま数を増やしやすく、もといた生物(在来種)のえさや生活場所を奪うことがあるため。
まとめ
- 自然の恵み(水・温泉・地熱・肥沃な土)と災害(地震・津波・火山・台風・豪雨)は、同じ自然のはたらきの2つの面。
- ハザードマップで危険性を事前に確認し、早めに避難することが被害を減らす(減災)。
- 生態系のつり合いは、外来種・乱獲・開発・地球温暖化などの人間活動によって崩れることがある。
- 生物多様性:種の多様性・遺伝的多様性・生態系の多様性の3つの側面。里山・国立公園・レッドリストなどで保全に取り組む。
- 持続可能な開発:将来の世代も自然の恵みを受け続けられるよう、開発と保全のバランスを考える。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
地図を重ねて災害リスクを確認できる「ハザードマップポータルサイト」実生活
国土交通省・国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」では、「重ねるハザードマップ」で洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報などを地図に自由に重ねて表示できます。また「わがまちハザードマップ」から、市町村が作成した地域ごとのハザードマップを確認することもできます。
避難の判断を助ける「警戒レベル」は5段階実生活
気象庁は、防災気象情報を「警戒レベル1(早期注意情報)」から「警戒レベル5(緊急安全確保)」までの5段階で発表しています。警戒レベル3は高齢者等避難、警戒レベル4は危険な場所からの避難指示に対応するなど、レベルごとに取るべき行動の目安が示されています。
絶滅のおそれのある生物を科学的にリスト化する「レッドリスト」発展
環境省のレッドリストは、日本に生息・生育する野生生物を対象に、専門家による検討会が生物学的な観点から絶滅の危険度を客観的に評価してまとめたものです。直接の法的効力はありませんが、概ね5年ごとに見直され、環境政策の基礎資料として活用されています。
自然の風景地を守る国立公園発展
環境省は、すぐれた自然の風景地を保護し、多くの人に利用してもらうための地域として国立公園を指定しています。日本国内には現在34の国立公園が指定されており、自然環境の保全と利用の両立が目指されています。
出典:環境省「国立公園」
