カッコを外して短く書く
(+5) + (−3) のようにいちいちカッコを書くのは面倒です。次のルールでカッコを外せます。
- +(+a) → +a (+a をそのまま足す)
- +(−a) → −a (−a をそのまま足す)
- −(+a) → −a (+a を引くので、−a を足す)
- −(−a) → +a (−a を引くので、+a を足す)
「ひく数の符号を変えてたす」を短く書いたルール。
これを使って、こう短くなります:
- (+5) + (−3) = 5 − 3
- (+5) − (−3) = (+5) + (+3) = 5 + 3
- (−5) + (+3) = −5 + 3
- (−5) − (+3) = (−5) + (−3) = −5 − 3
※ 先頭の数は + を省略してよい(5は+5の意味)。
小さい数から大きい数を引く式も、和として見られる
教科書では、4−5 のような式を、正負の数の加法として見直します。小学校では「4から5は引けない」と感じた式も、中学では +4 と −5 の和として計算できます。
4−5
= (+4) − (+5)
= (+4) + (−5) ← 減法を加法になおす
= −1
ここで大事なのは、4−5 を「4から5を引く」とだけ見るのではなく、+4 と −5 が並んだ和として読めることです。この見方が、加法と減法の混じった式を楽にします。
「項」という考え方
「5 − 3 + 2 − 4」のような式を見るとき、+ と − を その後ろの数の符号 と考えるのがコツ。すると式は次のようになります:
正の項:+5、+2。 負の項:−3、−4。
たとえば 4−7+9−5 の項は、+4、−7、+9、−5 です。7や5だけを動かすのではなく、−7、−5 のように符号も数の一部として扱います。
計算のコツ:項を組み替える
項として読めるようになると、正の項どうし、負の項どうしをまとめて計算できます。これは前回の加法でやったテクニックと同じです。
正の項どうし、負の項どうしをまとめる
= (5 + 2) + (−3 − 4)
= (+7) + (−7)
答え:0
= (3 + 12) + (−8 − 5)
= (+15) + (−13)
答え:+2
項は +4、−7、+9、−5。
正の項と負の項をまとめる:
= 4 + 9 − 7 − 5
= 13 − 12
= +1
- カッコをすべて外して、「+」と「−」が並んだ形にする
- 正の項と負の項を分けて頭の中で集計
- 最後にその2つを足す(異符号の加法)
カッコがあるときの計算
慣れない場合は、無理にカッコを外さず1つずつ加法に直してもOK。
方法A(カッコを外す)
= 7 − 3 − 5 + 2
= (7 + 2) + (−3 − 5)
= 9 + (−8)
= +1
方法B(カッコのまま加法に直す)
= (+7) + (−3) + (−5) + (+2)
= +9 + (−8)
= +1
- カッコの前の符号を見落とす:−(−3) を「−3」と書いてしまう(正解は +3)。
- 順番を入れ替えるとき符号も一緒に:5 − 3 + 2 を 「3 + 2 − 5」と書くのは ×。「−3 + 2 + 5」のように 符号ごと移動する。
この章でつまずきやすいところ
「5−3+2」のような式は、見た目は短いのに途中で符号の意味が分からなくなりがちです。本文を読みながら式を追っているときに起きやすい迷いを、項の読み方と符号処理の視点で整理します。
−(−3) の符号変換を忘れてしまう
- つまずく場面:本文の「−(−a) → +a」のルールを読んだ直後でも、いざ 5−(−2) を見ると「マイナスとマイナスでそのままマイナス」と感じて 5−2=3 と書き進めてしまい、答え合わせで初めて違和感に気づく場面。
- 克服のコツ:見分け方として、カッコの前の符号とカッコの中の符号を別々に丸で囲んでから処理する。「ひく数の符号を変えてたす」の順に、まず −(−2) を +(+2) に直し、その後でカッコを外す。手順を1つの操作にまとめないことがコツ。
- ミニ例:5−(−2) は、まず −(−2)=+2 に直してから 5+2=7。途中の (+5)+(+2) を一度書くと符号ミスを防げる。
先頭の数に符号がないと思い込んでしまう
- つまずく場面:「4−7+9−5」のような式を読むとき、最初の 4 だけ「符号なしの数」と感じてしまい、項を並べ替えようとして 7−4+9−5 のように先頭だけ符号を付け忘れる迷いが起きる場面。
- 克服のコツ:位置関係として、すべての項は符号つきと考える。先頭は + が省略されているだけで、書き出すときは +4、−7、+9、−5 と符号を必ず添える。並べ替えるときも符号ごと一緒に動かす、と決めておく。
- ミニ例:4−7+9−5 の項は +4、−7、+9、−5。並べ替えるなら +4+9−7−5 のように、数と符号をセットで移動させる。
「−」を負の符号と減法の記号で混同してしまう
- つまずく場面:本文の「『−』は常に負の数の印ではなく、減法の記号としても使われる」を読んだとき、5−3 の「−」が引き算なのか −3 の符号なのかで迷い、式の意味の取り方が定まらないまま次の例題に進んでしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係として、加法だけに直した後は「−」はすべてその後ろの数の符号と読む、と決める。カッコ付きの段階では減法記号、カッコを外した後は項の符号、と段階で意味が切り替わると理解しておく。
- ミニ例:(+5)−(+3) の段階の − は減法記号。加法に直して 5+(−3)=5−3 にした後の − は、−3 の符号として読む。
カッコの前がマイナスなのに中の符号を変えずに外してしまう
- つまずく場面:(−5)−(−8)−(+3) を計算する途中で、カッコを一気に外そうとして −5−8−3 のように書いてしまい、答えが合わず「どこで間違えたのか分からない」と止まる場面。
- 克服のコツ:時系列として、カッコを外す前に「カッコの前が + か − か」を必ず確認する。前が − なら中の符号を反対にしてから外す、という順番を守る。一度に2つの操作をしないことで符号ミスが減る。
- ミニ例:(−5)−(−8) は、前が − なので中の −8 を +8 に変えて −5+8。続けて −(+3) は −3 となり、全体で −5+8−3=0。
練習問題
- (+8) + (−5)
- (+3) − (−6)
- (−4) − (+9)
- (−2) − (−7) + (+1)
答えを見る
(1) 8 − 5(または +8 − 5)
(2) 3 + 6
(3) −4 − 9
(4) −2 + 7 + 1
- 4 − 7 + 9 − 5
- −6 + 2 − 7
- 8 − 5 + 10
答えを見る
(1) +4、−7、+9、−5
(2) −6、+2、−7
(3) +8、−5、+10
※ 先頭の + は省略されているだけ。
- 7 − 3 + 5
- −6 + 8 − 2
- 4 − 9 + 6 − 1
- −10 − 5 + 12 + 3
答えを見る
(1) (7+5) + (−3) = 12 − 3 = +9
(2) (8) + (−6 − 2) = 8 − 8 = 0
(3) (4+6) + (−9 − 1) = 10 − 10 = 0
(4) (12+3) + (−10 − 5) = 15 − 15 = 0
- (+9) − (+4) + (−2)
- (−5) − (−8) − (+3)
- (+6) + (−10) − (−7)
答えを見る
(1) 9 − 4 − 2 = +3
(2) −5 + 8 − 3 = (8) + (−5 − 3) = 0
(3) 6 − 10 + 7 = (6+7) + (−10) = 13 − 10 = +3
まとめ
- カッコを外すときは、減法を加法になおす。ひく数の符号を反対にする。
- 4−5 のような式も、+4 と −5 の和として見られる。
- + や − は その後ろの数の符号と考える。式は項のたし算。
- 計算のコツ:正の項どうし、負の項どうしをまとめてから最後に足す。
- 順番を入れ替えるときは 符号ごと移動 させる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本一寒い日は「−41.0℃」、夏との差は項の引き算で読める実生活
気象庁の観測記録では、北海道旭川市で1902年1月25日に−41.0℃が観測され、これが今も日本の最低気温の公式記録です。たとえばその日に夏の30℃と比べると、30−(−41.0)=30+41.0=71.0で、71℃もの開きがあると分かります。減法を「ひく数の符号を変えてたす」と直すと、こうした温度差がそのまま計算できます。
世界一寒い場所「−89.2℃」と日本の差を求める発展
南極にあるロシアのボストーク基地では、世界でもっとも低い気温−89.2℃が記録されました。日本記録の−41.0℃との差は、(−41.0)−(−89.2)=−41.0+89.2=48.2で、48.2℃も旭川のほうが高い(暖かい)と計算できます。負の数どうしの引き算でも、符号を変えてたす手順は同じです。
標高の基準は「東京湾の海面=0m」、海より低い土地はマイナス実生活
国土地理院は東京湾の平均海面を0mの基準とし、そこからの高さを標高とよんでいます。海面より高い場所は正の数、海面より低い土地は負の数で表せるので、たとえば+5mの地点と−2mの地点の高低差は5−(−2)=5+2=7mと求められます。0を基準に上下を正負で表す考え方は、数直線とそのまま重なります。
貿易収支は「輸出−輸入」、マイナスなら赤字実生活
財務省によると、令和7年(2025年)の日本は輸出が約107兆8千億円、輸入が約108兆6千億円で、輸出−輸入を計算すると約−8,487億円の貿易赤字でした。輸入が輸出を上回ると差し引きは負の数になり「赤字」、正の数なら「黒字」とよびます。引き算の答えの符号が、そのまま黒字・赤字の判断になります。
気温の「平年差」は+と−で書く約束発展
気象庁は、観測値と平年値(過去30年の平均)との差を「平年差」とよび、平年より高ければ正、低ければ負として、数値の前に+や−の記号をつけて表します。つまり「平年差−1.5℃」は平年より1.5℃低いという意味です。基準(0)からのずれを符号つきの数で表す、正負の数の典型的な使い方です。
時差「UTC+9」も基準からのずれを表す数発展
情報通信研究機構(NICT)によると、日本標準時は協定世界時(UTC)を基準に9時間進めた「UTC+9」と定められています。世界の時刻を基準0として、東にずれる地域は正、西にずれる地域は負の数で時差を表すと考えられ、たとえばUTC−5の都市と日本の時差は9−(−5)=14時間と計算できます。
