この章でつまずきやすいところ
1章の52問を解いていると、符号の扱いや計算順序のところで手が止まる場面がよく出てきます。ここでは、問題を解いている途中に多くの中学生が迷いやすい4つの場面を取り上げ、見分け方のコツを整理します。
−3²と(−3)²を同じ値だと思い込んでしまう
- つまずく場面:問題28の(−3)²と問題29の−3²が並んで出てきた瞬間、「どちらも−3を2乗するんだから同じだろう」と判断して、両方とも+9と書いてしまう場面。かっこの有無がどんな違いを生むか、その場で確かめずに先に進んでしまう。
- 克服のコツ:かっこの位置で「何を2乗しているか」を見分けるのがコツ。(−3)²はかっこの中身ぜんぶ、つまり符号も含めて2乗するので+9。一方−3²は3だけを2乗してから前のマイナスを付けるので−(3×3)=−9になる。指数のすぐ左にかっこがあるかどうかを最初に確認する手順を入れる。
- ミニ例:問題29の−3²は−(3×3)=−9、問題28の(−3)²は(−3)×(−3)=+9。同じ「3」と「2乗」でも、かっこが符号を抱えているかどうかで答えの符号が反対になる。
異符号の加法で絶対値どうしを足してしまう
- つまずく場面:問題8の(+8)+(−3)を見て、「足し算だから絶対値を足して、符号は…」と手が動き、つい|8|+|3|=11と書いてしまう場面。同符号の問題6・7で絶対値を足す処理が続いた直後だと、異符号に切り替わったことを見落としやすい。
- 克服のコツ:まず符号が同じか異なるかを見分けてから手を動かすのがコツ。同符号なら絶対値を足して共通の符号、異符号なら絶対値の大きい方から小さい方を引き、符号は絶対値が大きい方に合わせる。「同符号=足す/異符号=引く」をペンを置く前に口に出すと安定する。
- ミニ例:問題8の(+8)+(−3)は異符号なので8−3=5、符号は絶対値が大きい+8に合わせて+5。問題9の(−9)+(+4)も同じ手順で9−4=5、符号は−9側に合わせて−5となる。
減法をそのまま絶対値の引き算で処理してしまう
- つまずく場面:問題11の(+5)−(−3)を見たときに、「引き算だから5から3を引いて2」と書いてしまう場面。マイナスが2つ並ぶことに違和感を覚えても、その場で加法に直すという手順を踏まずに、目に見える数字だけで処理を進めてしまう。
- 克服のコツ:減法を見たら、まず引く数の符号を反対にして加法に直すという時系列を固定するのがコツ。「−(−3)→+(+3)」のように、ペンで矢印を書いて符号を変える工程を一段はさむ。加法に直したあとは、同符号か異符号かを見分ける通常の加法ルールに合流する。
- ミニ例:問題11は(+5)−(−3)=(+5)+(+3)=+8、問題13は(−6)−(−9)=(−6)+(+9)=+3。減法のままだと符号判断が混乱するが、加法に直した瞬間に普段の加法ルールで処理できる形になる。
四則混合で左から順に計算してしまう
- つまずく場面:問題33の5+3×2を見て、「左から順に」と思って5+3=8、8×2=16と書いてしまう場面。問題49の−2+3×(5−8)では、−2+3=1から始めてしまい、かっこと乗法のどちらを先に処理するのか判断が止まる。
- 克服のコツ:計算順序は「かっこ→累乗→乗除→加減」の順に固定する、という因果関係で覚えるのがコツ。左から書かれていても、処理する順番は別。問題を見たらまずかっこと指数を探して印を付け、次に×÷だけを先に処理してから、最後に+−の段に進む。
- ミニ例:問題33は3×2=6を先に行い、5+6=11。問題49は5−8=−3(かっこ)→3×(−3)=−9(乗法)→−2+(−9)=−11(加法)の順に進めると安全。
基本(21問)── 加減乗除と絶対値・近似値
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標準(21問)── 混合計算と累乗・有効数字
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応用(10問)── 文章題と総合
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もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本でいちばん低かった気温は −41.0℃実生活
気象庁の記録では、日本の観測史上もっとも低い気温は1902年1月25日に北海道の旭川で記録された −41.0℃です。0℃を基準に、それより寒い温度を負の数で表すから、こうした大きなマイナスの値が出てきます。
海面より低い土地「大潟村」実生活
秋田県の大潟村は、湖だった八郎潟を干拓してつくった土地で、海面より低い場所が広がっています。水位塔の近くの三角点の標高は −3.8m で、海面を0とした基準より下にあることを負の数で表しています。
温度には下限がある −273.15℃発展
気温は何度でも下がりそうに思えますが、実は −273.15℃ より低い温度は存在しません。この温度を「絶対零度」とよび、0ケルビン(K)= −273.15℃ という関係で結ばれています。負の数にも、これ以上は行けないという限界があるのです。
負の数を「借金」で説明した昔の数学者発展
インドの数学者ブラフマグプタは628年の著書で、正の数を「財産」、負の数を「借金」と考えて計算の規則を示しました。「借金と借金の積は財産になる」と書いていて、これは(負)×(負)=(正)とまったく同じ考え方です。
金利がマイナスになることもある実生活
ふつう銀行にお金を預けると利息が増えますが、日本銀行は2016年に金利を −0.1% とする「マイナス金利政策」を始めました。プラスの利息とは反対向きの動きを負の数で表しており、お金の世界でも正負の数が使われています。
