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一次方程式の文章題 ── 言葉から式を立てる

「ある数の3倍に5を足したら20になった。ある数は?」── 文章題は、計算より 「式を立てる」段階でつまずく人が多い。今回はそのコツを4ステップで整理し、代金・速さ・年齢・過不足の4パターンで実践します。

文章題を解く4ステップ

文章題の解き方
  1. 求めたいものを x とおく
  2. 2つの数量関係を見つけて、等式(方程式)を立てる
  3. 方程式を解く(前回までで学んだ手順で)
  4. 解が問題に合うか確認(負の数や非整数が答えになるとき特に)

パターン1:代金・個数の問題

例題:1個 80円のリンゴを買った。代金は640円。リンゴは何個?

① 求めたい個数を xとおく

② 関係:1個の値段×個数 = 代金

  80x = 640

③ 解く:両辺÷80 → x = 8

④ 確認:個数は正の整数 → OK。 80×8=640 ✓

答え:8個

例題:1個 90円のミカンと1個 140円のリンゴを合わせて 10個買い、代金は1100円。それぞれ何個?

① ミカンを x 個とおく → リンゴは (10 − x) 個

② 関係:ミカンの代金 + リンゴの代金 = 1100

90x + 140(10 − x) = 1100

90x + 1400 − 140x = 1100

−50x = −300 → x = 6

④ 確認:ミカン6個、リンゴ4個。90×6 + 140×4 = 1100 ✓

答え:ミカン6個、リンゴ4個

パターン2:速さの問題

速さの問題では 「距離 = 速さ × 時間」の式を使います。

例題:A地点からB地点まで、行きは時速4km、帰りは時速6km。往復にかかった時間は5時間。AB間の距離は?

① 距離を x kmとおく

② 関係:行きの時間 + 帰りの時間 = 5時間

  行きの時間 = x ÷ 4 = x/4 (時間)

  帰りの時間 = x ÷ 6 = x/6 (時間)

  x/4 + x/6 = 5

③ 解く:両辺×12 → 3x + 2x = 60

  5x = 60 → x = 12

答え:12km

パターン3:年齢の問題

例題:母は今40歳、子は今10歳。母の年齢が子の3倍になるのは何年後?

① x 年後とおく

② 関係:x年後の母の年齢 = x年後の子の年齢×3

  40 + x = 3 × (10 + x)

③ 解く:40 + x = 30 + 3x

  x − 3x = 30 − 40 → −2x = −10 → x = 5

④ 確認:5年後、母45歳、子15歳、45=15×3 ✓

答え:5年後

パターン4:過不足の問題

「〇個ずつ配ると余る」「△個ずつ配ると足りない」という2通りの配り方は、どちらも配るものの総数を表しています。総数は配り方を変えても変わらないので、2つの式を「=」で結べば方程式になります。

例題:子どもたちにあめを配る。1人に4個ずつ配ると3個余り、5個ずつ配ると2個たりない。子どもの人数を求めよ。

① 子どもの人数を x 人とおく

② 関係:配り方が違っても、あめの総数は同じ

  4個ずつ配って3個余る → あめの総数 = 4x + 3

  5個ずつ配って2個たりない → あめの総数 = 5x − 2

  4x + 3 = 5x − 2

③ 解く:4x − 5x = −2 − 3 → −x = −5 → x = 5

④ 確認:あめの総数は 4×5+3 = 23個、5×5−2 = 23個で一致 ✓

答え:子どもの人数は5人、あめの数は23個

パターン5:割合の問題

割合の文章題は、まず%を小数に直すのが最初の一歩です(例:2割引 → 0.8倍、8% → 0.08)。%のままでは方程式に使えません。

例題:定価の2割引で買ったら1200円だった。定価はいくら?

① 定価を x 円とおく

② 関係:定価 × (1 − 割引率) = 代金

  2割引 = 定価の80%(0.8倍)で買ったということ

  0.8x = 1200

③ 解く:両辺÷0.8 → x = 1500

④ 確認:1500 × 0.8 = 1200 ✓

答え:1500円

例題:8%の食塩水300gに水を加えて6%の食塩水にしたい。水を何g加えればよいか?

① 加える水の量を x gとおく

② 関係:水を加えても蒸発させても食塩の量そのものは変わらない。食塩の量で等式を立てる。

  はじめの食塩の量 = 300 × 0.08 = 24 (g)

  水を加えたあとの食塩水は (300 + x) g、濃度は6%

  (300 + x) × 0.06 = 24

③ 解く:18 + 0.06x = 24 → 0.06x = 6 → x = 100

④ 確認:食塩水は400g、食塩24g → 24÷400 = 0.06 = 6% ✓

答え:水を100g加える

表にまとめると整理しやすい

速さや年齢のような問題は、表に整理すると関係が見えやすくなります。

速さ問題:表で整理する 区間 速さ 距離 時間 行き 時速 4 km x km x/4 帰り 時速 6 km x km x/6 合計 5
図1:表にすると関係が見える ── 時間の合計が方程式になる
つまずきポイント
  • x をどこに置くか:求めたいものに置くのが基本だが、解きやすい量に置いても可。
  • 単位:時間と分、km と m を混ぜない。式を立てる前にそろえる。
  • 残りは (合計 − x):例 ミカンを x、合計10個 → リンゴは 10−x。差の式を立てるパターン。
  • %を小数に直す:2割引 → 0.8倍、8% → 0.08。%のまま式に入れない。
  • 食塩水の問題:水を加えても蒸発させても、食塩そのものの量は変わらない。濃度ではなく食塩の量で等式を立てる。
  • 解の意味確認:個数で 2.5 個や負の数になったら式の立て間違い。問題に戻る。

この章でつまずきやすいところ

文章題は計算より「式を立てる」ところでつまずきます。読みながら、xが何を指すか・単位はそろっているか・残りはどっち向きに引くかなど、途中で迷う場面が次々にやってきます。代金・速さ・年齢の典型例で起きやすい迷いを整理しておきましょう。

xを置いた意味を途中で取り違える

  • つまずく場面:「ミカンをx個、リンゴは(10−x)個」と置いて式を書き始めたのに、計算を進めるうちにxが個数なのか代金なのか分からなくなり、90x+140(10−x)=1100の左辺が何を表しているか自信がなくなる場面。
  • 克服のコツ:xの定義をメモして式の各項にラベル付けします。問題文の余白に「x=ミカンの個数」と単位つきで一行メモし、式の各項にも「(ミカン代)+(リンゴ代)=合計」と意味のラベルを添える。式を読むたびに、xが指している量と単位がブレていないかを確認します。
  • ミニ例:ミカンx個・リンゴ(10−x)個のとき、90xは「ミカンの代金(円)」、140(10−x)は「リンゴの代金(円)」。両方とも単位は「円」になり、右辺1100円とそろう。

残りの量を逆向きに引いてしまう

  • つまずく場面:「ミカンとリンゴを合わせて10個」と読んだ瞬間、ミカンをxとしたあと、リンゴを思わず(x−10)と書いてしまう場面。10−xとx−10のどちらが正しいのか、文章を見返しても判断がつかなくなる迷い。
  • 克服のコツ:合計=一方+残りの順を固定します。「合計=一方+残り」なので、残り=合計−一方の順で必ず引く。合計が先、xが後と決めておけば、10−xか x−10かで迷ったとき「合計の10がどこに来るべきか」で判定できます。
  • ミニ例:合計10個・ミカンx個なら、リンゴ=10−x個。試しにx=3を入れるとリンゴは7個で、3+7=10と合計に戻る。x−10ではマイナスになり個数としておかしいと気づける。

時間と分・kmとmを混ぜたまま式を立ててしまう

  • つまずく場面:「行きは分速60m、帰りは分速80m、往復28分」と読みながら、距離をxと置いたものの単位を決めないままx/60+x/80=28と書いた瞬間、xがmなのかkmなのか、左辺が分なのか時間なのかも分からなくなる場面。
  • 克服のコツ:単位を一つに統一してから式を立てる。式を立てる前に「速さ」「距離」「時間」の単位を一つに統一する。分速ならm・分、時速ならkm・時間にそろえる。表の上部に単位を書き込み、3つの欄が同じ単位系になっているかを確認してから式に進みます。
  • ミニ例:分速60m・分速80m・28分の問題では片道の距離をxmとおく。行きの時間=x/60分、帰りの時間=x/80分、合計28分で単位がそろう。xkmで置くと分速と合わずに式が崩れる。

年齢問題で「x年後」をx歳の人にしか足さない

  • つまずく場面:「母は今40歳、子は今10歳。母が子の3倍になるのは何年後?」を読みながら、x年後とおいたあと、つい母だけに+xして「40+x=3×10」と書いてしまう。子にもx年が経つことに気づかず、子の年齢に+xを忘れたまま式が完成してしまい、解いても問題文の条件と合わなくなる迷い。
  • 克服のコツ:x年後は登場人物全員に+xする。「x年後」という言葉が出たら、登場人物全員の年齢に同じxを足すと決めておく。表に「今/x年後」の2列を作り、子も母も同じx年だけ進むことを目で確認してから倍数関係を等式にします。
  • ミニ例:今40歳と10歳。x年後は母40+x歳、子10+x歳。「母=子の3倍」を等式にすると40+x=3(10+x)。子への+xを忘れると条件が消え、答えが合わなくなる。
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練習問題

問題1(代金)
1本 120円のジュースを何本かと、1本 80円のお茶を 5本買って、合計 1000円。ジュースは何本?
答えを見る

① ジュースの本数を x 本とおく

② 120x + 80×5 = 1000

③ 120x + 400 = 1000 → 120x = 600 → x = 5

答え:5本

問題2(速さ)
家から駅まで、行きは分速 60m、帰りは分速 80mで歩いた。往復にかかった時間は28分。家から駅までの距離は?
答えを見る

① 距離を x m とおく

② 行き x/60、帰り x/80、合計 x/60 + x/80 = 28

③ 両辺×240 → 4x + 3x = 6720 → 7x = 6720 → x = 960

答え:960m

問題3(年齢)
父は今 38歳、子は今 8歳。父の年齢が子の年齢のちょうど 3倍 になるのは何年後?
答えを見る

① x 年後とおく

② 38 + x = 3(8 + x)

③ 38 + x = 24 + 3x → x − 3x = 24 − 38 → −2x = −14 → x = 7

答え:7年後 (7年後、父45歳、子15歳、45=15×3 ✓)

まとめ

  • 文章題の4ステップ:① x を置く ② 関係を式に ③ 解く ④ 確認。
  • 代金:1個の単価 × 個数 = 代金。残りは (合計 − x)。
  • 速さ:距離 = 速さ × 時間。表に整理すると関係が見える。
  • 年齢:x年後 → 全員に +x。「○倍」など倍数関係を等式に。
  • 過不足:配り方が違っても、配るものの総数は変わらない → 2通りの式を「=」で結ぶ。
  • 割合:定価・割引は「×(1−割引率)」。食塩水は食塩の量が変わらないことに注目して式を立てる。
  • 解が問題と合わない(負の数、非整数)なら式の立て直し。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

「代数」「algebra」の語源は方程式の本『アル・ジャブル』発展

9世紀のイスラム世界の数学者フワーリズミーは、一次・二次方程式の解き方を体系的にまとめた本を書きました。その原題に含まれる「アル・ジャブル(al-jabr)」が今日の代数学(algebra)の語源で、これは移項のように式を整理する操作を指す言葉でした。文章題で『x』に置きかえて式を立てる考え方は、千年以上前から続く方法なのです。

出典:日本大百科全書(ニッポニカ)「フワーリズミー」(コトバンク)

鶴亀算は方程式の特別な場合だった発展

「ツルとカメが合わせて何匹、足は合わせて何本、それぞれ何匹?」という鶴亀算は、中国の数学書『孫子算経』の「雉兎同籠(キジとウサギの問題)」が始まりとされます。これは中学校で習う連立一次方程式の特別な場合にあたり、たとえば頭の数を x+y、足の数を 2x+4y と式に置けば方程式として解けます。

出典:ウィキペディア「鶴亀算」

江戸時代の日本人も方程式を発明していた発展

鎖国していた江戸時代の日本では「和算」という独自の数学が発達しました。なかでも関孝和は、文字を式の横に書く「傍書法」を考え出し、複数の未知数を一つの式で表せるようにしました。これは現代でいう連立方程式の未知数を消去する計算にあたり、彼は和算を大成した数学者として知られています。

出典:国立国会図書館「江戸の数学」第2章 関孝和

太陽の光は何分で地球に届く?(距離÷速さ=時間)実生活

太陽と地球の平均距離は約1億4960万km(1天文単位)で、光の速さは1秒間に約30万km(正確には毎秒299792458m)です。文章題で習う「時間=距離÷速さ」を使うと、約1億5千万km÷30万km=約500秒、つまり約8分20秒かかると分かります。今見ている太陽の光は、8分以上前に出発したものなのです。

出典:国立天文台 暦計算室「こよみ用語解説(天文単位)」

宇宙の距離は「速さ×時間」で測る ── 1光年実生活

夜空の星はとても遠いので、距離を「光年」という単位で表します。1光年は光が1年かけて進む距離のことで、約9兆4610億kmにもなります。これはまさに文章題の「距離=速さ×時間」の式そのもので、光の速さ(秒速約30万km)に1年ぶんの秒数をかけて求めた距離なのです。

出典:ウィキペディア「光速」