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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

日本の資源・エネルギーと電力

日本は石油・石炭・天然ガスなどエネルギー資源のほぼ全てを輸入に頼っています。発電の主役は火力発電ですが、2011年の東日本大震災・福島第一原発事故を境に、原子力と再生可能エネルギーの割合は大きく変わりました。

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発電電力量の構成の変化 ── 震災前と現在 0% 50% 100% 水力等 9% 原子力 29% 火力 62% (LNG・石炭・石油) 震災前(2010年度ごろ) 再エネ・水力 23.1% 原子力 9.4% 火力 67.5% (LNG・石炭・石油) 現在(2024年度確報値) 火力 原子力 水力・再生可能エネルギー
震災前(2010年度ごろ)は火力が約6割・原子力が約3割でしたが、2024年度確報値では火力67.5%・再生可能エネルギー(水力含む)23.1%・原子力9.4%に変化した(資源エネルギー庁データをもとに作成)。

発電の中心は震災の前も今も火力発電です。しかし震災後に原子力発電所が停止したことで火力の割合がさらに増え、その後は太陽光や風力などの再生可能エネルギーが着実に増えてきました。再エネと原子力を合わせた非化石電源の割合は、2023年度に震災後初めて3割を超え(31.4%)、2024年度は32.5%まで上昇しています(資源エネルギー庁「エネルギー需給実績」確報)。

日本の資源事情 ── 輸入への依存

鉱産資源のほとんどを輸入

日本は資源にめぐまれず、鉱産資源のほぼすべてを海外からの輸入に依存している

石油:サウジアラビアなど西アジア(ペルシャ湾岸)が中心

石炭・LNG(液化天然ガス):オーストラリアなどが中心

鉄鉱石:オーストラリア・ブラジルなどが中心

エネルギー自給率はわずか約15%(2023年度)と、主要国の中でも低い水準にある

発電方式ごとの特徴

用語
火力発電
石油・石炭・天然ガス(LNG)を燃やして発電。
現在の日本の発電の主力(約7割)。燃料の輸入や港に近い臨海部に発電所が多く、CO₂排出と燃料費の変動が課題。
水力発電

ダムにためた水の落差を利用して発電。かつては日本の発電の主力だった

発電所は山間部・内陸のダム付近に多い

今も再生可能エネルギーの中では大きな割合を占める

原子力発電

ウランを燃料に核分裂の熱で発電。少量の燃料で大量の電気を生み出せる

2011年の東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所事故を受け、全国の原発が停止

その後、安全審査に合格した一部の原発が再稼働。安全性をめぐる議論は今も続く

再生可能エネルギー

太陽光・風力・地熱・バイオマスなど、くり返し使える自然の力を利用

地熱発電:火山国である日本に向いた発電方式。大分県九重町の八丁原発電所は出力11万kWで日本最大の地熱発電所

太陽光・風力は天候に左右されるが、近年発電量が着実に増えている

電力の安定供給と持続可能な社会

  • 電気は貯めておきにくいエネルギーのため、需要に応じて発電方式を組み合わせる「電源のベストミックス」が重視される
  • 省エネルギー(節電)の取り組みも、資源の少ない日本にとって重要
  • カーボンニュートラル(CO₂の排出量を実質ゼロにする目標)に向け、再生可能エネルギーの拡大が進められている
つまずきポイント①:火力と原子力の割合の変化を覚えていない
  • 震災前は原子力が約3割を占めていたが、震災後に大きく下がり、その分を火力(特にLNG・石炭)が補った
  • 「震災前後でどの発電方式が増減したか」を、原因(原発停止)と結果(火力の割合増加)で結びつけて覚える
つまずきポイント②:地熱発電がなぜ日本に向いているかがあいまい
  • 日本は火山が多く、地下にマグマの熱があるため、地熱発電に必要な高温の蒸気を得やすい
  • 「火山国=地熱発電に向いている」という因果関係をセットで覚える
つまずきポイント③:輸入相手国の組み合わせを混同する
  • 石油はサウジアラビアなど西アジア(ペルシャ湾岸)、石炭・LNGはオーストラリアが中心。地域ごとにまとめて覚える
  • 「西アジア=石油」「オーストラリア=石炭・LNG・鉄鉱石」と、資源と地域をペアで整理する

この章でつまずきやすいところ

資源・エネルギーのページは「震災前後の割合の変化」「発電方式ごとの特徴」「輸入相手国」など、数字と因果関係が同時に出てきます。読み進める途中で迷いやすい場面を、見分け方とセットで整理しましょう。

「エネルギー自給率が低い」と「輸入に依存」を別の話だと感じてしまう

  • つまずく場面:資源の輸入相手国の話と、エネルギー自給率が低いという話が、それぞれ独立した知識として頭に入ってしまい、つながりに気づきにくい場面です。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。「国内で資源がとれない→輸入に頼る→自給率が低くなる」という一本の流れとして読み直します。
  • ミニ例:「エネルギー自給率約15%」という数字を見たら、「残りの85%は海外からの輸入で成り立っている」と言い換えられるかを確認します。

震災前後の変化を「原子力が減った」だけで止めてしまう

  • つまずく場面:震災後に原子力の割合が下がったことは覚えても、その分をどの発電方式が補ったのかまで結びつけずに終わってしまう場面です。
  • 克服のコツ:帯グラフのように「合計は必ず100%」という前提で考えます。原子力が減った分は、火力(特にLNG・石炭)が増えて埋め合わせた、とセットで覚えます。
  • ミニ例:「原子力29%→9.4%」という数字を見たら、「その差の分だけ火力か再エネが増えたはず」と自分で計算し直してみます。

再生可能エネルギーを「全部同じもの」として覚えてしまう

  • つまずく場面:太陽光・風力・地熱・バイオマスをひとまとめに「再エネ」として覚え、それぞれの得意・不得意の違いに注目しないまま読み進めてしまう場面です。
  • 克服のコツ:「その土地の何を利用しているか」で分類します。太陽光=日射、風力=風、地熱=火山の熱、バイオマス=生物資源、と利用している自然の力で整理すると、なぜ地熱発電が日本に向くのかも説明しやすくなります。
  • ミニ例:「八丁原発電所」が出てきたら、太陽光でも風力でもなく「地熱=火山の熱を利用」という点を確認します。

練習問題

問題1(資源と輸入)

日本の石油の輸入相手として、もっとも中心となる地域はどこか。

答えを見る

西アジア(ペルシャ湾岸)。サウジアラビアなどが中心。

問題2(発電方式の変化)

2011年の東日本大震災・福島第一原発事故のあと、発電量の割合はどのように変化したか。

答えを見る

原子力発電所が停止し原子力の割合が大きく下がり、その分を火力発電(LNG・石炭など)が補った。その後、再生可能エネルギーの割合も増えてきた。

問題3(地熱発電)

大分県九重町にある、日本最大の地熱発電所を何というか。

答えを見る

八丁原発電所(出力11万kW)。

問題4(エネルギー自給率)

日本のエネルギー自給率はおよそどのくらいか。

答えを見る

約15%(2023年度、主要国の中でも低い水準)。

まとめ

  • 日本はエネルギー資源のほぼ全てを輸入に依存。自給率は約15%(2023年度)。
  • 石油は西アジア、石炭・LNGはオーストラリアなどが中心。
  • 発電の主力は火力発電(約7割)。震災前は原子力が約3割を占めた。
  • 2011年の震災以降、原子力の割合が下がり、再生可能エネルギーが増加。
  • 地熱発電は火山国日本に向いた発電方式。八丁原発電所が代表例。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

2023年度の発電電力量は火力68.6%・再エネ22.9%・原子力8.5%発展

電気事業連合会によると、発電電力量の内訳をみると、2023年度の実績で火力発電が68.6%、再生可能エネルギー(水力発電を含む)が22.9%、原子力発電が8.5%になっています。日本には発電方法や出力規模など様々な発電所があり、その数は1万か所を超えます。

出典:電気事業連合会「日本の電力消費」

日本のエネルギー自給率はわずか約15%(2023年度)発展

資源エネルギー庁のデータでは、日本のエネルギー自給率は2023年度で約15%であり、この脆弱なエネルギー構造のもとで国内の電気事業が多くの課題に対応しながら営まれています。石油だけでなく、原子力の燃料となるウランも世界各地から輸入しています。

出典:電気事業連合会「電源のベストミックス」

震災後、天然ガス・石炭による発電の割合が増加発展

日本原子力文化財団の資料によると、2011年の東日本大震災以降、原子力発電所の停止にともない、天然ガス(LNG)・石炭等による発電の割合が増加しました。近年は地熱および新エネルギーの割合が増加しているとされています。

出典:日本原子力文化財団「エネ百科」電源別発受電電力量の推移

八丁原発電所は標高約1,100mの高原にある発展

JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)によると、八丁原発電所は1・2号機合計出力11万kWで日本最大の地熱発電所です。標高約1,100メートルの高原にあり、深さ760メートルから3,000メートルの蒸気井から取り出した蒸気で発電しています。

出典:JOGMEC「八丁原発電所」