図でつかむ
グラフは階段のように、平らな線が飛び飛びにつながった形になります。同じ段の中では x が増えても y は変わらず、段の境目でだけ急に変わります。
y = ax² だけが「ともなって変わる関数」ではない
身のまわりには、x が増えると y も決まった規則で変わる関係がたくさんあります。中学ではこれまでに比例・反比例・一次関数・y = ax²を学んできましたが、料金のようにある区切りを超えるまでは変わらず、区切りを超えたところで急に変わる関数もあります。
階段状に変わる関数 ── 料金のグラフ
タクシーの運賃、宅配便や郵便の料金、コインパーキングの料金などは、距離や重さ、時間が少し増えただけでは料金が変わらず、ある区切りを超えたところで急に変わるのが特徴です。このような関数のグラフは、四角い階段のような形になるので階段状の関数と呼ばれます。
利用時間 x(分)と料金 y(円)の関係:
0 < x ≦ 30 のとき y = 200/30 < x ≦ 60 のとき y = 400
60 < x ≦ 90 のとき y = 600/90 < x ≦ 120 のとき y = 800
x = 30 のときは「最初の30分」の区切りの中なので y = 200(次の400円にはならない)。
重さ x(g)と料金 y(円):50gまで140円、100gまで180円、150gまで270円、250gまで320円
80gの荷物 → 50 < 80 ≦ 100 の区切りなので180円
120gの荷物 → 100 < 120 ≦ 150 の区切りなので270円
階段状のグラフの読み方 ── 端点の●と○
- 「30分まで200円」のようにその値を含む端点は●(塗りつぶし)で表す。
- 次の区間の始まりでその値を含まない端点は○(白抜き)で表す。
- 同じ x = 30 の位置に ● と ○ が縦に並んでいるように見えても、それぞれが指す y の値はちがう。
既習の関数の総整理 ── 比例・反比例・一次関数・y = ax²
中学で学ぶ4つの関数を、式・グラフの形・変化の割合で比べておきます。
| 関数 | 式 | グラフの形 | 変化の割合 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 比例 | y = ax(a≠0) | 原点を通る直線 | 一定(= a) | 常に y/x = a、x = 0 で y = 0 |
| 反比例 | y = a/x(a≠0) | 双曲線(2つの枝) | 一定でない | 原点を通らない、常に xy = a |
| 一次関数 | y = ax + b | 直線(切片 b) | 一定(= a) | b ≠ 0 なら原点を通らない |
| y = ax² | y = ax²(a≠0) | 放物線(y軸対称) | 一定でない(= a(p+q)) | 原点が頂点、x = 0 で最大または最小 |
ここに、この記事で見た階段状の関数を並べると、グラフの形も変化の割合も4つの関数とはまったく違うことがわかります。階段状の関数は、決まった区間の中では変化の割合が0で、境目だけで値が飛ぶ、という特殊な形です。
どの関数か判断する手順
- x と y の対応表を見る。
- y/x が一定 → 比例(y = ax)。
- xy が一定 → 反比例(y = a/x)。
- yの増加量(差)が一定 → 一次関数(y = ax + b。b = 0 なら比例と同じ形)。
- y/x² が一定 → y = ax²。
- ある範囲では y が変わらず、境界で急に変わる → 階段状の関数。
x:1、2、3、4 に対して y:5、8、11、14 のとき、どの関数か。
y/x は 5、4、3.67、3.5 → 一定でないので比例ではない。
xy は 5、16、33、56 → 一定でないので反比例でもない。
yの増加量は 8−5=3、11−8=3、14−11=3 → 一定なので一次関数。
y = 3x + b に (1, 5) を代入:5 = 3 + b → b = 2 → y = 3x + 2
x:1、2、3、4 に対して y:2、8、18、32 のとき、どの関数か。
yの増加量は 6、10、14 → 一定でないので一次関数ではない。
y/x² は 2、2、2、2 → 一定なので y = ax²、a = 2
→ y = 2x²(確かめ:2×4² = 32 ✓)
- 例1の駐車場料金で x = 10、40、70、100(分)の4点だけを取ると、y = 200、400、600、800 で差はどれも200で一定に見える。
- 一次関数だと思って式を作ると矛盾が起きる。同じ区間の中の別の点、たとえば x = 25(0 < 25 ≦ 30 の中)でもy は 200 のまま変わらない。一次関数なら x が変われば y も変わるはずなので、これは矛盾。
- 4点が均等に並んでいても、区間の中の別の点を確認するまでは一次関数と決めつけない。
この章でつまずきやすいところ
階段状のグラフや、いろいろな関数の見分け方は、今までの一次関数・y=ax²の感覚をそのまま当てはめると迷いが起きやすい単元です。読みながら手が止まりやすい4つの場面を取り上げ、どこで考え直せば前に進めるかを整理します。
階段グラフの端点をどちらに含めるか迷ってしまう
- つまずく場面:駐車場の料金表で「x = 30分のときの料金は?」と聞かれ、200円なのか400円なのか、境目のところで手が止まる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理すると、「30分まで200円」の「まで」という言葉が、x = 30 がどちらの区間に含まれるかを決めます。区間の言葉を 0 < x ≦ 30 のような不等号の形に直してから x = 30 を当てはめると、含まれる側がすぐわかります。
- ミニ例:0 < x ≦ 30 のとき y = 200、30 < x ≦ 60 のとき y = 400 なので、x = 30 は最初の区間に含まれる(●)ので y = 200。x = 30.5 なら次の区間に入るので y = 400。
4点のデータだけで一次関数だと決めつけてしまう
- つまずく場面:駐車場の料金を x = 10、40、70、100 で調べたら y = 200、400、600、800 と差がぴったり200で並んでいたので、「一次関数だ」と安心して式を作り始めてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で考えると、一次関数はxがどこにあっても同じ割合でyが変わるはずです。同じ区間の中の別の点でも確認し、途中の点でyが変わらなければ、それは一次関数ではなく階段状の関数だとわかります。
- ミニ例:x = 25 は x = 10 と同じ「0 < x ≦ 30」の区間なので y = 200 のまま。一次関数なら x が 10 から 25 に増えた分だけ y も変わるはずなのに変わらない → 一次関数ではない。
反比例のグラフでxが増えるとyも増えると思い込んでしまう
- つまずく場面:y = 12/x のグラフを表で確認するとき、比例のグラフの感覚が残っていて「xが大きくなるほどyも大きくなるはず」と考えて、x = 4 のときの y を大きい数だと予想してしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理すると、反比例はxy = a(積が一定)という関係なので、xが大きくなればyは小さくならないと積が一定に保てません。表を作るときは、必ず xy を計算してから予想します。
- ミニ例:y = 12/x で x = 1、2、3、4 のとき y = 12、6、4、3。xが大きくなるほどyは小さくなり、どの組でも xy = 12 のまま変わらない。
1つの確認方法だけで関数の種類を決めてしまう
- つまずく場面:表を見て「yの増加量が同じだから一次関数」とすぐに決めて、比例(y/xが一定か)や階段状(区間の中でyが変わらないか)を確かめずに答えを書いてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理すると、いくつかの関数は同じ手がかりだけでは紙一重に見えることがあります。比例→反比例→一次関数→y=ax²→階段状という順で一つずつ確認する手順を決めておけば、思い込みで飛ばさずに正しい関数を選べます。
- ミニ例:y/xが一定なら比例、そうでなくxyが一定なら反比例、そうでなく増加量が一定なら一次関数、そうでなくy/x²が一定ならy=ax²、そのどれでもなく区間ごとに一定なら階段状の関数。
練習問題
ある駐車場は「0 < x ≦ 30 のとき y = 200」「30 < x ≦ 60 のとき y = 400」(x:分、y:円)。x = 30 と x = 31 のときの料金をそれぞれ答えよ。
答えを見る
x = 30 は最初の区間に含まれる(●)ので y = 200円。x = 31 は次の区間に入るので y = 400円。
x:1、2、3、4 に対して y:4、16、36、64 のとき、どの関数か求めよ。
答えを見る
y/x² は 4、4、4、4 → 一定なので y = ax²。a = 4 なので y = 4x²(確かめ:4×4² = 64 ✓)。
定形外郵便物(規格内)は50gまで140円、100gまで180円、150gまで270円、250gまで320円(日本郵便の料金表より)。80gと120gの荷物を送るとき、料金はそれぞれいくらか。
答えを見る
80g → 50 < 80 ≦ 100 の区切りなので180円。120g → 100 < 120 ≦ 150 の区切りなので270円。
まとめ
- y = ax² 以外にも、比例・反比例・一次関数・階段状の関数など、いろいろな「ともなって変わる2つの量」の関数がある。
- 階段状の関数:ある区間では y が変わらず、境界を超えると急に変わる。料金の仕組みに多い。
- グラフの端点:その値を含む側は●、含まない側は○で区別する。
- 関数の種類の見分け方:y/x(比例)→ xy(反比例)→ yの増加量(一次関数)→ y/x²(y=ax²)→ 区間ごとに一定(階段状)の順に確認する。
- 数点だけで決めつけず、区間の中の別の点も確認すると階段状の関数を見落とさない。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
郵便物の料金は重さで段階的に決まる実生活
宅配便や郵便物の料金は、荷物の重さによって段階的に決まります。日本郵便の定形外郵便物(規格内)では、50gまで140円、100gまで180円、150gまで270円、250gまで320円と、重さの区切りごとに料金が変わります。この記事の例と同じ、階段状の関数そのものです。
タクシーの運賃も「初乗り+距離加算」の段階的な仕組み実生活
タクシーの運賃も、走った距離にそのまま比例して増えるわけではありません。東京23区内では、1.096kmまでの初乗りが500円で、それを超えると255mごとに100円が加算されます。距離が少し増えただけでは料金が変わらず、決まった区切りを超えたところで加算される点は、この記事の階段状の関数と同じ仕組みです。
電気料金にも使用量で単価が変わる「三段階料金制度」がある発展
電気料金にも、使用量に応じて単価が段階的に変わる「三段階料金制度」があります。東京電力エナジーパートナーの説明では、使用量が月間120kWhまでの第一段階は比較的低い単価、120〜300kWhの第二段階は標準的な単価、300kWhを超える第三段階はやや高い単価に分かれています。使う量の区切りによって1kWhあたりの値段が変わる点が、この記事の階段状の関数の考え方と同じです。
コインパーキングの料金も時間ごとに段階的に上がる実生活
コインパーキングの料金も、利用時間が一定の区切りを超えるごとに料金が上がる仕組みになっています。たとえば「30分ごとに300円」のように時間の単位が決まっていて、区切りの中では料金は変わりません。多くの駐車場には、一定額を超えると料金が増えなくなる「最大料金」もあわせて設定されています。
