指示語とは ── 前後の内容を指す働き
指示語自体が代名詞・連体詞・副詞のどれに当たるかは、3章「名詞」の記事でくわしく学びました。この記事では、品詞の分類ではなく、読解問題で指示語が出てきたときにどう対処するかに焦点を当てます。
指示語の指す内容の探し方 ── まず直前を疑う
指示語が指す内容は、直前の文・文節にあることが圧倒的に多いです。読解問題ではまず直前を確認し、答えを指示語の位置に当てはめて意味が通るかを確かめます。
- 指示語を含む文を読み、指示語の直前の文・文節に注目する。
- 指示語の後ろの助詞などから、探す内容の形をそろえる(「それは」なら、探す内容も名詞・名詞句の形にする)。
- 候補が見つかったら、指示語の位置にそのまま当てはめて読み直す。意味が通れば正解(代入検算)。
- 指示語が指す範囲は1語のことも、1文全体・複数の文のこともある。範囲も代入検算で確認する。
①「弟は新しいゲームを買った。それはとても面白かった。」
→ 直前は「新しいゲーム」。代入:「新しいゲームはとても面白かった。」→ 意味が通る。答え:新しいゲーム
②「雨が降ってきたので、遠足は中止になった。このことを先生が朝礼で説明した。」
→ 「この」は「遠足」だけでなく、直前の1文全体を指す。代入:「雨が降ってきたので遠足が中止になったことを先生が朝礼で説明した。」→ 意味が通る。
③「山田さんは毎朝走っている。そうすることで体力がついたそうだ。」
→ 「そう」は直前の動作「毎朝走ること」を指す。代入して確認すると意味が通る。
- 「こう考えてみよう。まず〜」のように、これから話す内容を予告する使い方も存在する(後方指示)。
- ただし中学の読解問題では、基本は直前を確認する手順で対応できる。まず直前、通らなければ後ろも確認する、という順序を守れば困らない。
接続語とは ── 前後の関係を示す働き
接続詞そのものの品詞としての性質(活用しない自立語であること等)は、3章「接続詞・感動詞」の記事で学びました。ここでは、読解問題で接続語が果たす案内役としての働きを整理します。
接続語の種類と読解での役割
接続語は、前後の内容の関係によって6つのグループに分けられます。グループごとに、読解での役割(次に何が来やすいか)が変わります。
| 種類 | 主な語 | 読解でのはたらき |
|---|---|---|
| 順接 | だから・すると・そこで | 前が原因・条件になり、そのままの流れで次に進む |
| 逆接 | しかし・だが・ところが | 前と反対の内容が続く。後ろに筆者の言いたいことが来やすい |
| 並立・添加 | また・そして・そのうえ | 前の内容に別の情報を並べて加える。どちらも大事 |
| 対比・選択 | 一方・それとも・あるいは | 2つ以上の事がらを比べたり、どちらかを選んだりする |
| 説明・補足 | つまり・なぜなら・ただし | 前の内容を言い換えたり、理由・例外を補ったりする |
| 転換 | さて・ところで | それまでの話題を変えて、新しい話題に移る |
特に注目したいのは逆接です。「しかし」「だが」の後ろには、筆者が本当に伝えたい内容・意外な展開が来ることが多いので、逆接を見つけたら後ろの文を重点的に読む、という実践的なコツがあります。
空欄補充問題の解き方
- 空欄の前後の文を読み、内容が同じ方向に進んでいるか(順接系)、反対方向に進んでいるか(逆接系)をまず判断する。
- 選択肢を意味のグループ(順接・逆接・説明・補足など)に分ける。
- グループが決まったら、そのグループの中でどれが最も自然かを、空欄に代入して読み直す(代入検算)。
- 「つまり」と「なぜなら」のように同じ「説明・補足」グループでも役割が違う語もある。後ろの文が言い換えか理由かで最終確認する。
①「電車が急に止まった。( )、歩いて会社まで行った。」
→ 「止まった」→「歩いて行った」で、内容は反対方向にならず原因→結果の流れ。よって順接の「そのため」「だから」が入る。「しかし」を入れると意味が通らない(代入検算でNG)。
②「毎日3時間勉強した。( )、テストの点は上がらなかった。」
→ 「努力した」→「結果が伴わない」で内容が反対方向。よって逆接の「しかし」が入る。
この章でつまずきやすいところ
指示語・接続語の単元は、答えの探し方の「順序」を決めておかないと、読むたびに迷ってしまいます。よくある4つのつまずきを、克服の手順とともに整理します。
指示語の指す内容を探すとき、後ろばかり読んでしまう
- つまずく場面:「それ」が出てきた文の後に続く文をずっと読み進めて、答えを探そうとしてしまう場面。
- 克服のコツ:指示語の答えは基本的に直前にある。まず直前の文・文節を確認してから、代入検算で確かめる順序に固定する。
- ミニ例:「弟は新しいゲームを買った。それはとても面白かった。」の「それ」は、後ろの「面白かった」を探すのではなく、直前の「新しいゲーム」を指す。
指示語の指す範囲を1語だけだと決めつけてしまう
- つまずく場面:答えを探すとき、直前の1つの単語だけを見て満足してしまい、文全体を指している場合に対応できない場面。
- 克服のコツ:答えを代入したあと、文全体を読み直して意味が通るか確認する。1語で意味が通らなければ、文全体・複数の文まで範囲を広げて確認する。
- ミニ例:「雨が降ってきたので、遠足は中止になった。このことを先生が説明した。」の「この」は「遠足」だけでなく「雨が降ってきたので遠足が中止になったこと」という文全体を指す。
逆接の接続語の後ろを軽く読み飛ばしてしまう
- つまずく場面:「しかし」のような逆接の接続語が出てきても、そのまま同じペースで読み進めてしまい、後ろに書かれている重要な内容を読み落とす場面。
- 克服のコツ:逆接の接続語を見つけたら、後ろの文を重点的に読む習慣にする。逆接の後ろには、筆者が本当に伝えたい内容が来ることが多い。
- ミニ例:「毎日3時間勉強した。しかし、テストの点は上がらなかった。」では、「しかし」の後ろの「点は上がらなかった」が、この文章で伝えたい重要な情報。
接続語の意味のグループを混同してしまう
- つまずく場面:空欄補充問題で、「つまり」を逆接のグループだと思い込んで選んでしまうなど、接続語の役割を思い出す前に見た目や語感で選んでしまう場面。
- 克服のコツ:接続語は必ず役割のグループ(順接・逆接・並立・対比・説明・転換)に分けて覚え、空欄の前後の内容が同じ方向か反対方向かを先に確認してから選ぶ順序にする。
- ミニ例:「つまり」は前の内容を言い換える「説明・補足」。「しかし」は反対の内容が続く「逆接」。前後の文の関係を先に見れば混同しない。
練習問題
答えを見る
ピアノを10年間続けていること
直前の内容を代入して確認する。「それ」の位置に当てはめると「ピアノを10年間続けていることが彼女の自信になっている」となり、意味が通る。
答えを見る
②一方
「歩いて15分」と「バスで5分」という2つの手段を比べて述べているので、対比を表す「一方」が入る。「だから」(順接)や「つまり」(説明・補足)を代入しても文意が通らない。
答えを見る
順接
前の内容(雨)が原因となって、そのままの流れで次の行動(傘を持つ)に進んでいるため。
まとめ
- 指示語(こそあど言葉)が指す内容は、基本的に直前の文・文節にある。
- 答えを見つけたら、指示語の位置に代入して意味が通るか確認する(代入検算)。
- 指示語が指す範囲は1語だけでなく、1文全体・複数の文になることもある。
- 接続語には順接・逆接・並立・添加・対比・選択・説明・補足・転換などの種類があり、それぞれ読解での役割が違う。
- 逆接の接続語の後ろには、筆者が伝えたい重要な内容が来ることが多い。
- 空欄補充問題は、前後の内容の方向(同じ方向か反対方向か)を確認してから、選択肢を意味のグループに分けて代入検算する。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「これ・それ・あれ」の使い分けは指す場所の距離で決まる発展
国立国語研究所によると、指示詞は基本的に指示対象までの「距離」に応じて使い分けられ、目の前にあるものを指す「現場指示」と、話や文章の中に出てきた内容を指す「非現場指示(文脈指示)」の2つに分けられます。文章の中で指示語が指す内容を探す読解のテクニックは、この「文脈指示」のしくみを利用したものです。
指示語・接続語の理解は中学国語の学習内容として位置づけられている発展
文部科学省の中学校学習指導要領解説(国語編)では、指示する語句・接続する語句(およびこれらと同じような働きをもつ語句)の役割を理解することが、中学校国語の学習内容として位置づけられています。文と文のつながりや文章の組み立てを読み取る力の基礎になる単元として扱われており、教科書を離れても役立つ読解の技術です。
